Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2009-01-01から1年間の記事一覧

東川篤哉『もう誘拐なんかしない』  ★★★☆

もう誘拐なんてしない 東川 篤哉 俺が、おまえを誘拐してやろうか? ひょんなことからヤクザの組長の娘を誘拐する羽目になった翔太郎。関門海峡を挟んで、脱力感あふれる青春が、小気味よい九州弁が、驚愕のミステリーが炸裂する。とびきりキュート、空前の…

梨木香歩『f植物園の巣穴』  ★★

f植物園の巣穴 梨木 香歩 歯痛に悩む植物園の園丁がある日、巣穴に落ちると、そこは異界だった。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、愛嬌のあるカエル小僧、漢籍を教える儒者、そしてアイルランドの治水神と大気都比売神……。人と動物が楽しく語りあい…

米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件』  ★★★

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6) 米澤 穂信 ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事…

瀬名秀明『第九の日』  ★★★★

SF

第九の日 (光文社文庫) 瀬名 秀明 イギリスで一人旅をつづけるケンイチが迷い込んだ「永遠の町」は、人間のいないロボットだけの町だった―。なぜ、ぼくたちは、痛みを感じないのか? 心は、神の奇跡なのか? AIとロボティクスの近未来を描いて、瀬名秀明が永…

藤川洋子『わたしは家裁調査官』  ★★★★

わたしは家裁調査官 藤川 洋子 面接室から聞こえてくる非行少年のつぶやき、家族のため息。報告書からはうかがいしれない無数のやりとりのなかから生まれる人間模様。家庭裁判所の調査官がみた「家族の深層」。(Amazon) 資料用に。『家裁調査官の仕事が分…

H.コリンズ、T.ピンチ『迷路のなかのテクノロジー』

迷路のなかのテクノロジー ハリー コリンズ,トレヴァー ピンチ,Harry Collins,Trevor Pinch,村上 陽一郎,平川 秀幸 科学や技術の成果が生み出され、使われるプロセスを、その社会的背景も含めて理解し、疑いを持つことができるような科学社会学的な洞察を示…

瀬名秀明『デカルトの密室』  ★★★★

SF

デカルトの密室 (新潮文庫) 瀬名 秀明 ヒト型ロボットが実用化された社会。ロボット学者の祐輔と進化心理学者の玲奈は、ロボットのケンイチと共に暮らしている。三人が出席した人工知能のコンテストで起こった事件から、悪夢のようなできごとは始まった。連…

東川篤哉『交換殺人には向かない夜』  ★★☆

交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス) 東川 篤哉 浮気調査を依頼され、使用人を装って山奥の邸に潜入した私立探偵・鵜飼杜夫。ガールフレンドに誘われ、彼女の友人が持つ山荘を訪れた探偵の弟子・戸村流平。寂れた商店街の通りで起こった女性の刺殺事件…

東川篤哉『完全犯罪に猫は何匹必要か?』  ★★☆

完全犯罪に猫は何匹必要か? (カッパ・ノベルス) 東川 篤哉 回転寿司チェーンを経営する資産家・豪徳寺豊蔵が殺された。犯行現場は自宅のビニールハウス。そこでは、十年前にも迷宮入りの殺人事件が起こっていた……。豊蔵に飼い猫の捜索を依頼されていた探偵・…

山本弘『神は沈黙せず』  ★★★★

SF

神は沈黙せず 山本 弘 この世界は、人類は「神」と呼ばれる知性体のシミュレーションなのではないか? 人工知能学者である兄の行方を追ううちに、妹・優歌がたどり着いた世界の真相とは!? 山本弘が放つ、長編SFエンタテインメント!(Amazon) 人工知能が…

東川篤哉『学ばない探偵たちの学園』  ★★★

学ばない探偵たちの学園 (ジョイ・ノベルス) 東川 篤哉 呑気な雰囲気の私立鯉ヶ窪学園。転校生の赤坂通は非公認サークル・探偵部に入部させられた。彼らの目前で起きた密室殺人。被害者は、芸能クラスのアイドル目当てで侵入した盗撮カメラマン。事件後には…

恩田陸『象と耳鳴り』  ★★☆

象と耳鳴り 恩田 陸 「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは、少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。だが婦人が去ったのち…

東川篤哉『殺意は必ず三度ある』  ★★★

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス) 東川 篤哉 のんきを絵に描いたような鯉ヶ窪学園。敗退を続ける野球部グラウンドからベースが盗まれてしまう。オレ(=赤坂通)が唯一の下級生として在籍する探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部とラ…

東川篤哉『館島』  ★★★☆

館島 (ミステリ・フロンティア) 東川 篤哉 巨大や螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘にふたたび事件関係者が集められた…

東川篤哉『密室に向かって撃て!』  ★★★

密室に向かって撃て! (カッパ・ノベルス) 東川 篤哉 烏賊川市の外れ、鳥ノ岬にある十条寺食品社長宅に銃声が轟いた。撃たれたのは、偶然居合わせた「名探偵」鵜飼杜夫。失われた銃声の謎と「衆人環視の密室」に、鵜飼とその弟子が挑む。書下ろし長編推理小説…

東川篤哉『密室の鍵貸します』  ★★☆

密室の鍵貸します (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン) 東川 篤哉 その日、烏賊川市立大学映画学科の四年生・戸村流平は、二つの死への嫌疑をかけられた。大学の先輩である茂呂耕作と、元彼女の紺野由紀。流平は、由紀の死に関しては完璧にアリバイがあるのだが…

Rebecca Brown『The Dogs』  ★

The Dogs: A Modern Bestiary Rebecca Brown 一人暮らし女性の部屋に唐突に現れた犬。孤独だった女性は、その犬の出現を受け入れるが、やがてその生活は次第に不可解な方向へ……。陶酔と恍惚と幻想性あふれる、ある“愛”の物語。『体の贈り物』、『私たちがや…

ハーヴェイ・ジェイコブズ他『グラックの卵』  ★★★

SF

グラックの卵 (未来の文学) ハーヴェイ ジェイコブズ,Harvey Jacobs,浅倉 久志 アンソロジー“未来の文学”第二弾は、浅倉久志選による“ユーモアSF”傑作集。太陽系のかなたから巨大な鳥が地球へと飛んできた―幻のナンセンスSFがついに翻訳、ボンド「見よ、かの…

渡辺淳一『失楽園』上  ★

失楽園 (上) 渡辺 淳一 凛子と久木はお互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく。己れの心に従い、育んだ“絶対愛”を純粋に貫こうとする二人。その行きつく先にあるものは…。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛=エロス”を徹底的…

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』  ★★★★☆

体の贈り物 (新潮文庫) レベッカ ブラウン,Rebecca Brown,柴田 元幸 食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼ら…

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』  ★★★★

青年のための読書クラブ 桜庭 一樹 東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たち…

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』  ★★★

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) 伊坂 幸太郎 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!? そんなお…

ジョアオ・マケイジョ『光速より速い光』  ★★★★

光速より速い光 ~アインシュタインに挑む若き科学者の物語 ジョアオ・マゲイジョ,青木 薫 科学の新発見は「常識を疑うこと」から生まれる。しかし、アインシュタインの相対性理論に反論することは、科学者にとって自殺行為にも等しい。若き天才科学者マゲイ…

三浦しをん『光』  ★★

光 三浦 しをん 暴力はやってくるのではない。帰ってくるのだ。 理不尽をかいくぐり生きのびた魂に、安息は訪れるのか。 三浦しをん、渾身の最新長編。 天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。二…

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』  ★★★★

儚い羊たちの祝宴 米澤 穂信 面白かった! 米澤さんはもっとこういうのを書けばいい! 現代ものが古風になってしまうなら本書みたいにちょっと昔の話を書けばいいのよ。……現代じゃないよね? 現代? 金持ちは今もああいう世界で暮らしているの? とてもいい…

グレッグ・イーガン『ディアスポラ』

SF

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) 山岸 真 30世紀、人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた。ごく少数の人間だけが、ソフトウェア化を拒み、肉体人として地球上で暮らして…

米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件』上  ★★

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫) 米澤 穂信 あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち…

工藤純子『ピンポンはねる』  ★☆

ピンポンはねる (TEENS’ENTERTAINMENT 3) 工藤 純子,勝田 文 はじめは卓球ドシロウトだった若菜が、友情のために猛特訓!小さな球に魂をこめて、強烈スマッシュをたたきこむ。(Amazon) 読むものがない……! ということで母の借りてたヤングアダルトを。挿絵…

クリストファー・プリースト『限りなき夏』  ★★☆

SF

限りなき夏 (未来の文学) クリストファー プリースト,Christopher Priest,古沢 嘉通 ふたりの若い恋人たちが囚われの身になった夏の日は、長く伸ばされた一瞬となった―過去と未来を彷徨する人間たちの愛と焦燥をロマンティックかつ技巧的に綴る2篇のマスター…

桜庭一樹『ファミリーポートレイト』  ★★★★☆

ファミリーポートレイト 桜庭 一樹 ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。 怒涛のごとき展開と濃密な物語に圧倒されながら…