Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

歴史・時代小説

冲方丁『天地明察』上  ★★★

天地明察 上 角川文庫 天地明察 上 角川文庫の他のレビューをみる» --- KADOKAWA / 角川書店 --- (2012-09-01) 徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い…

皆川博子『少女外道』  ★★

少女外道 少女外道の他のレビューをみる» 皆川 博子 文藝春秋 ¥ 1,950 (2010-05) この感覚は、決して悟られてはならない。人には言えない歪みを抱きながら戦前~戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のほか、ラスト一頁で彼岸と此岸の境を鮮やかに越え…

クラウス・コルドン『ベルリン1945』  ★★★★☆

ベルリン1945 クラウス・コルドン, 酒寄 進一 ついに戦争終結。三部作も終結。これが一番リーダビリティがあったなあ。一番分厚かったのに、すぐ読みきっちゃったもの。ゲープハルト一家と三十年を歩んできた気分。広く読まれるといいなあ。

クラウス・コルドン『ベルリン1933』  ★★★★

ベルリン1933 クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一 ナチスが政権を握ってしまったー!

クラウス・コルドン『ベルリン1919』  ★★★★

ベルリン1919 クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一 終盤は泣いちゃったよ……。“子どもの本を読む会”なんていうサークル活動をしている母は児童文学を中心に読んでいるので守備範囲が異なるんだけど、そのおかげで自分では目をつけない本とも出会えて…

司馬遼太郎『燃えよ剣』  ★★★★☆

燃えよ剣 (下巻) 司馬 遼太郎 ちょっ、待てよ……! 土方お前そりゃねえよ反則だよ剣も燃えちゃうよ……! と取り乱したくなるほど土方が格好いい小説でした。空知英秋が「銀魂」でいじられキャラにするのもよくわかるってもんです。そうでもしなきゃこんな漢扱…

司馬遼太郎『燃えよ剣』  ★★★★

燃えよ剣 (上巻) 司馬 遼太郎 「副長が、隊士の人気を気にしてご機嫌とりをはじめるときさ。副長が、山南や伊東(甲子太郎)みたいにいい子になりたがると、にがい命令は近藤の口から出る。自然憎しみや毀誉褒貶は近藤へゆく。近藤は隊士の信をうしなう。隊…

森谷明子『七姫幻想』  ★★★☆

七姫幻想 森谷 明子 世界史選択だったためか日本史にはとことん疎く、思う存分味わえ尽くせなかったのが残念無念。何回か読まないと永い歴史の流れを感じ取れないね。古典のうつくしくあやしい要素をぎゅっとつめたような文章でした。

米村圭伍『風流冷飯伝』  ★★★

風流冷飯伝 米村 圭伍 「将棋は最初にすべての駒を盤に並べます。盤面にある駒を動かすのを指すと申します。囲碁は始めは盤に石が置いてございません。交互に黒石と白石を置きますが、これを打ちおろすという意味で打つと称します」 へえ! ヒカルの碁を読み…

あさのあつこ『弥勒の月』  ★★☆

弥勒の月 あさのあつこ 痛みにも、苦痛に耐えることにも、脆くなった。自らの肉を斬らせて相手の骨を断つことにも、心を僅かも乱さず止めを刺すことにも、瞬時の隙をついて急所を抉ることにも、脆くなった。もう、できまい。人というものと結びついた時、人…

古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』  ★★★

ベルカ、吠えないのか? 古川 日出男 二十世紀は二つの大戦が行われた世紀だった。いわば戦争の世紀だった。しかし、同時に、二十世紀は軍用犬の世紀でもあったのだ。 オレハ犯ス、とお前は吠えた。 オレハ孕マセル、と犬神よ、お前は吠えた。 生キルタメニ!…

浅田次郎『蒼穹の昴〈下〉』  ★★★★★

蒼穹の昴〈下〉 浅田 次郎 素晴らしい物語。登場人物全員が良い意味でも悪い意味でも輝いていた。やっぱり文庫じゃなくて単行本で読む方が断然好きだ。 どうにもならない時だってどうにかしなきゃいけない。自分の手で去勢してでも人生を切り拓いていった春…

浅田次郎『蒼穹の昴〈上〉』  ★★★★★

蒼穹の昴〈上〉 浅田 次郎 文句なしに傑作だと思う。真面目な歴史物と思いきや、プリズンホテルなどに通じるユーモアも織り交ぜられていて、最高。 時は清王朝。糞拾いで生計を立てる貧民の子、李春雲は、百発百中の占星術師、白太太に「あまねく天下の財宝…

五十嵐貴久『安政五年の大脱走』  ★★★

安政五年の大脱走 五十嵐 貴久 「皆の言う通りよ」 腕を解いた鮫嶋が履き捨てるようにそう言った。 「済まぬ」 頭を垂れた敬吾の口からつぶやきが漏れた。野呂老人が話を引き取った。 「済まぬでは済まされませぬぞ」声を張り上げる。「さあ桜庭様、この始末…