Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

川端康成『伊豆の踊子』  ★★★★

伊豆の踊子・禽獣 (角川文庫) 川端 康成 この美しく光る黒眼がちの大きい眼は踊子のいちばん美しい持ちものだった。二重瞼の線が言いようなく綺麗だった。それから彼女は花のように笑うのだった。花のように笑うと言う言葉が彼女にはほんとうだった。(伊豆…

三浦しをん『シュミじゃないんだ』  ★★★★☆

シュミじゃないんだ 三浦 しをん しをんちゃんのエッセイやら書評にはほんと参っちゃう。一生ついていきます姉さん! って思う。これからも素敵な小説とはっちゃけたエッセイを書きつづけてください! 追いかけるから! ボーイズラブ漫画にまみれた日常……。…

紅玉いづき「ミミズクと夜の王」  ★★★☆

ミミズクと夜の王 紅玉 いづき 「なんでだろう。わかんない。たくさん嫌だーって思ったよ。痛いのやだし、苦しいの嫌だったよ。誰かが手を差し伸べてくれる夢、何度も見たあ。んでも、なんでだろ」 思えば本当に不思議でたまらない、というようにミミズクは…

バートン版『千夜一夜物語 1』  ★★★☆

千夜一夜物語〈第1〉―バートン版 (1966年) 大場 正史 「栄えある神、偉大な神、アラーのほかに主権なく、権力なし。アラーの力をかりて、女の邪心と手管をのがれよう。まことに、アラーの力におよぶものとてない。われわれよりずっと力のある魔神を、あの不…

夏目漱石『夢十夜』  ★★★★☆

夢十夜 他二篇 夏目 漱石 「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」 自分は黙って首肯た。女は静かな調子…

フランツ・カフカ『変身』  ★★☆

変身 フランツ カフカ, Franz Kafka, 中井 正文 「あれがグレゴールだという考え方を、まずおすてにならなくちゃいけないのよ。あたしたちが長い間そう信じてきたことが、あたしたちの不幸の原因だったんだわ。あれが、いったいどうして、グレゴールなんかで…

本多孝好『正義のミカタ』  ★★★★

正義のミカタ―I’m a loser 本多 孝好 「豊かさはそこまで行き着いちゃったのさ。自分は満足している。そのツギにはどんな欲求が生まれるか。他人の満足を否定したくなるんだよ。お前はそんなところで満足しているのか。俺はもっと上にいるぞ。その感覚がその…