Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

堀江敏幸『未見坂』  ★☆

未見坂 堀江 敏幸 母さんは、もう家を出ただろうか――。父が去ったあとの母と子の暮らし。あずけられた祖母の家で、あたりを薄く照らしていた小さな電球。子ども時代から三十数年、兄妹のように年を重ねてきた男女の、近いとも遠いとも計りかねる距離。大人の…

津原泰水『たまさか人形堂物語』  ★★★★☆

たまさか人形堂物語 津原 泰水 何度目かは知らぬ。三か四じゃないかな。 冨永くんは素敵男子すぎるだろう……そりゃ人形も売れるよ。コレクターに対してちょっとムキになっちゃうとこ含めて素晴らしいよ。この話は(も)キャラが好きすぎるので津原さん早く続…

エラリイ・クイーン編『シャーロック・ホームズの災難』上  ★★★★

シャーロック・ホームズの災難 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 2‐38)) エラリイ・クイーン,中川 裕朗,乾 信一郎 幼き日に出会った一人の英雄、シャーロック・ホームズが、後年のエラリイ・クイーンを作り上げたと言っても過言ではない。アンソロジストと…

森絵都『架空の球を追う』  ★☆

架空の球を追う 森 絵都 やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微…

ジョージ・R・R・マーティン『洋梨形の男』  ★★★★☆

洋梨形の男 (奇想コレクション) ジョージ・R・R・マーティン,中村 融 都会に潜む“洋梨形の男”の恐怖を描いた傑作ホラーの表題作をはじめ、身勝手な男が痩身願望の果てに“猿”に取り憑かれる「モンキー療法」、変わり果てた昔の友とのおぞましい再会譚「思い…

ロイ・ウォリス編『排除される知』

On the Margin of Science: The Social Construction of Rejected Knowledge Roy Wallis 翻訳はあるけど絶版になってしまったためAmazonにはないみたい。疑似科学についての論文集だからと教えられて借りたらしょっぱなから創造論論争取り扱っててラッキー。…

時雨沢恵一『学園キノ』3  ★★

学園キノ〈3〉 (電撃文庫) 黒星 紅白 もうココまで来たら、誰も彼(←誰?)を止められない!?これは、謎の正義の味方に変身する腰にモデルガンを下げてちょっと大飯喰らいなだけの普通の女子高生・木乃と、人語を喋るストラップのエルメスが繰り広げる、硝煙反応…

クリストファー・プリースト『奇術師』  ★★★★

SF

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT) 古沢 嘉通 北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初…