Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

有栖川有栖『虹果て村の秘密』  ★★☆

虹果て村の秘密 有栖川 有栖 「でも、そんなの奥ゆかしすぎるよね。ガールフレンドや恋人がいたら一人前になれない刑事なんてどうやっても一人前になれっこない。」 「お、ずばっと言うなあ。経験もないくせに。」 今までミステリーランドの本を何冊か読んで…

横山秀夫『震度0』  ★★☆

震度0 横山 秀夫 誰も何も言わなかった。 音を消したテレビ画面に神戸の惨状が映し出されていた。 震度0――。 N県警の本部長室はそうだった。 うわーどろどろしてた。県警での権力争いの図でした。確かに馬鹿みたいだ。キャリア・ノンキャリアに加えて板ばさ…

懐かしい絵本

ピーターラビットの絵本 第1集 ビアトリクス・ポター, Beatrix Potter, いしい ももこ 友達の家に泊まりに行ったら、クローゼットの中にはピーターラビットの全集が! 死ぬほど懐かしくて嬉々として見せていただきました。 私は中でもブラックユーモアっぽい…

保坂和志『プレーンソング』  ★★☆

プレーンソング 保坂 和志 「ゴンタのそういう考えっていうか、態度がスゴイんだよ。映画やってるやつらなんか、そんなところから出発しようとしないだろ。 面白い話を撮ることしか考えてないじゃん。 ゴンタはねえ。 面白いって、どういうこと? とか、この…

エンツェンスベルガー『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』  ★★★★★

数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜 ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー, Hans Magnus Enzensberger, 丘沢 静也 再読。友達の家にて(笑)はじめて読んだのは中学の時だっただろうか。偶然にも私と主人公・ロバートの学年が一緒で、やけに親近感を覚え…

小川一水『復活の地 Ⅲ』  ★★★★★

復活の地〈3〉 小川 一水 「そもそも差別という心理は、おのれより弱い者を必要とする自己の弱さから生まれます。それを克服するのは、自分の他の欠点をなくそうとすることと同様、努力によって可能ですよ」 「私は何物も惜しみません。帝都も、民衆も、自ら…

小川一水『復活の地 Ⅱ』  ★★★★☆

SF

復活の地 2 小川 一水 「ソレンス、人間にはな」 デスクを回ったセイオが、血色の悪い頬を歪めてにやりと笑みを浮かべた。 「本当に疲れ切った時には、倒れるという機能が備わっているんだ。――その安全装置が働くまで、俺は動けるさ」 「……閣下のそれは壊れ…

小川一水『復活の地 Ⅰ』  ★★★★

SF

復活の地 1 小川 一水 知り合ってまだ半日もたっていない。だがソレンスにはもうわかっていた。 自分には――そして帝国には、この男が必要なことを。 「指導者なんてこんなものだ。他人より損な役回りをするから責任者と言えるんだ。そうでない責任者が存在す…

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(下)』  ★★★★

ダ・ヴィンチ・コード (下) ダン・ブラウン, 越前 敏弥 この本の魅力はストーリーよりもラングドンらによって語られる歴史や物語にあるんじゃないかしら。 映画も見てきました。トム・ハンクスはミスキャストでは(笑)話が大幅に変わってて、こりゃ原作未読…

ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(上)』  ★★★★

ダ・ヴィンチ・コード (上) ダン・ブラウン, 越前 敏弥 まさにアメリカン! ハリウッド! 小学校高学年で私はシドニィ・シェルダンにはまったんだが、彼の作品彷彿とさせる(ただ単に洋書を読まないからかもしれない)。水曜日に映画に誘われたので、その前…

森絵都『風に舞いあがるビニールシート』  ★★★★

風に舞いあがるビニールシート 森 絵都 「犬は、私にとっての牛丼なんです」(犬の散歩) 「自分の子供を育てる時間や労力があるのなら、すでに生まれた彼らのためにそれを捧げるべきだって。それが、富める者ばかりがますます富んでいくこの世界のシステム…

乙一『銃とチョコレート』  ★★★★

銃とチョコレート 乙一 ときには「うっせぇ、この水虫小僧!」や「この外反母趾め!」などとののしられた。 「ははははは! つよいものにしたがうのがわたしの生きかたなのだ!」 最高に乙一が好きだと自覚したんだが、どうだろう。 平仮名が多くてすごく読…

北方謙三『ただ風が冷たい日』  ★★★☆

ただ風が冷たい日 北方 謙三 「俺ができるのは、自分ひとりの命まで。それ以上のことはできないし、やれるとも思ってない」 「おい、聞いたかよ」 私が言うと、波崎が肩を竦めた。 「みんな、誰だって、自分の命以上のことはできはしない」 「生きてる人間は…

伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』  ★★★★

陽気なギャングの日常と襲撃 伊坂 幸太郎 「私も一緒に行こうじゃないか」響野が腕を組み、多忙な上司が、部下のために無理をして助太刀することを決断したかのような、言い方をした。 「急に不安になってきたな」成瀬は言う。 「わたしも」と雪子がうなずく…

米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』  ★★☆

夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤 穂信 「わたしの、この夏の運命を左右する……」 「運命……」 「<小山内スイーツセレクション・夏>」 ぼくはゆっくりと玄関のドアを閉めた。 「残るのは、傲慢なだけの高校生が二人なんだわ……」 ここだけ見てみると、米澤…

福井晴敏『Op.ローズダスト(下)』  ★★★★☆

Op.ローズダスト(下) 福井 晴敏 助けようと思えば助けられない道理はないのに、無名の他者を人間と捕らえられない想像力の欠如、なにごとも合理で量る感性の磨耗が人を殺す。そうして他者への共感を欠いたところで形成される国家は形骸に等しく、その国益が“…

福井晴敏『Op.ローズダスト(上)』  ★★★★

Op.ローズダスト(上) 福井 晴敏 『ねえ、知ってる? 冬になると、ここ“波の花”が見られるんだって』 穏かな三佳の声が沈黙を遮り、ぼくは我に返った思いで顔を上げた。 『波の花……?』 『波飛沫が岩に当たって、砕けてね。それが風に吹き上げられて、ふわふ…

小川一水『第六大陸 2』  ★★★★

SF

第六大陸〈2〉 小川 一水 天竜ギャラクシートランスが開発した新型エンジンを得て、月面結婚式場「第六大陸」建設計画はついに始動した。2029年、月の南極に達した無人探査機が永久凍土内に水の存在を確認、もはや計画を阻むものは存在しないかに思われた。…