Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

東野圭吾『容疑者Xの献身』  ★★★★☆

容疑者Xの献身 東野 圭吾 「人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか。ただし、解答は必ず存在する。どうだ、面白いと思わないか」 「興味深い問題だ」石神は湯川の顔を見つめた。「考えておこう」 このミス・本ミス・週刊文…

秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏(4)』  ★★★★☆

イリヤの空、UFOの夏〈その4〉 秋山 瑞人 正しければそれでいい、という度し難い視野狭窄。それで一歩でも足が前に出るのなら思い上がりでも何でもよかったのだ。カッターナイフで首筋を穿るが如きみみっちい雄雄しさで何事かを成せるなら、この世に不幸など…

秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏(3)』  ★★★

イリヤの空、UFOの夏〈その3〉 秋山 瑞人 「いまっ、おまもりっ、なんてっ、いちどもっ、ほしっ、おもっ、なかっ」 ――今まで、お守りなんて一度も欲しいと思ったことがなかった。 伊里野は、そう言っていた。 読んだのが昔すぎて忘れてしまった……現在3月1…

三崎亜記『となり町戦争』  ★★

となり町戦争 三崎 亜記 「どうぞ、戦争の音を、光を、気配を、感じ取ってください」 「命の尊さ」というものが、戦争という条件をかぶせられることによって、いとも簡単に切り替えられるという仕組みがうまくわからなかった。「人の死」はいつ、いかなる時…

野中柊『あなたのそばで』  ★★★

あなたのそばで 野中 柊 ただただ、私はこわかったのだ。無償といってもいいほどの愛情を注がれ与えられ続けることは、ときとして、愛して尽くして奪われて身も心もぼろぼろにされることよりも、よほど残酷なことではないかしら? と。(オニオングラタンス…

重松清『トワイライト』  ★★

トワイライト 重松 清 「俺たちみんな、のび太になったんだ。ジャイアンもスネ夫もデキスギくんも、シズカちゃんも、結局のび太なんだよな。なにやらせてもだめな、のび太だよ。のび太になっちゃうんだ、みんな、おとなになると」 夢がないんですけどー……。…

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★☆

赤い竪琴 津原 泰水 俘囚のように、私はいわれるがまま動いた。夜の硝子に映った私と竪琴は、記憶のなかの残像のように、輪郭ばかり鮮やかだった。暗い鏡面は私の指と絃の衝突と別離を、ソラシドレミファソラシドレミを、二倍に拡げ、響かせた。脚がふるえた…

三田誠広『天気の好い日は小説を書こう』  ★★☆

天気の好い日は小説を書こう―ワセダ大学小説教室 三田 誠広 彼の人柄は好きになれそうにないけど、後半の具体的な小説の書き方は面白かった。「彼」なんて書くと日本語を使いなさい! って怒られてしまいそうだわ。 だってほとんど自分の自慢話なんだもの。…

井上荒野『森のなかのママ』  ★★

森のなかのママ 井上 荒野 ママの無神経さ、それはトリさんやジンちゃんに言わせれば「無邪気さ」になるらしい。無邪気なのはあなたがたではありませんか? とあたしは言いたくなるけれど。いずれにしても「無」な女、それがママだ。 このママにはついていけ…

荻原浩『噂』  ★★★☆

噂 荻原 浩 「今度、お休みがとれたら、遊園地へ行こうって約束しているんですけれど、いつになることか……」 「俺は、一緒に夕飯を食おうっていう約束を破り続けてる」 「嘘つきは警官のはじまりですねえ」 「ほんとに」 うおおショッキング……! 読み終えて…