2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧
あと2時間ほどで今年も終わります。いかがお過ごしでしょうか。せっかくなので、今年印象に残った本をいくつか挙げてみることにします。 風が強く吹いている 三浦 しをん 今年一番楽しませてもらったのは、やっぱりこれかなあ。興奮しすぎてろくな感想書いて…
ロックンロール七部作 古川 日出男 何が何だかわからないけどとにかくすごい。ロックンロールに興味の欠片もないのに、泣きたくなったりもした。文章に力があって、ストーリーにも力があって、古川日出男はすごいなあ……と思った。あらすじを書くなんて野暮な…
新訳 君主論 ニッコロ マキアヴェリ, Machiavelli, 池田 廉 これにつけても覚えておきたいのは、民衆というものは頭を撫でるか、消してしまうか、そのどちらかにしなければならない。というのは、人はささいな侮辱には復讐しようとするが、大いなる侮辱にた…
ブラウザをOperaに変えてからは、メモが簡単に取れるようになりまして、気になる本があったらひたすらメモしています。もはや自分でもどこでメモったのか覚えていない。極めて読みにくいんだけど、ご紹介。 死日記 桂望実 天才たちの値段 門井慶喜 接近 古処…
本当はちがうんだ日記 穂村 弘 面白い! 実は初めて読みました穂村さん。エッセイが人気なので気にはなってたんだけどね。他のも是非読んでみたいです。面白かったー。ダメ人間のようだけど、恋人いるし最後には結婚もしたし、まだダメっぷりが足りないんじ…
階段途中のビッグ・ノイズ 越谷 オサム 「楽しいから」自分でも不思議なほど、自然にそのひと言が出てきた。「最近、四人で演るのがすっごく楽しくって。一人でギター弾いてたときは、こんな楽しさは一回も感じられなかった。たまに、いやしょっちゅう、想像…
一瞬の風になれ 第三部 -ドン- 佐藤 多佳子 人生は、世界は、リレーそのものだな。バトンを渡して、人とつながっていける。一人だけではできない。だけど、自分が走るその時は、まったく一人きりだ。誰も助けてくれない。助けられない。誰も替わってくれない…
一瞬の風になれ 第二部 佐藤 多佳子 意味がないのが最高によかった。 相手より早く走るのに、何の意味もない。 だけど、命まで賭けちゃって、足が動かなくなるまで走れる。 馬鹿。 そういうのがいい。 物語が本格的に進み始める。一つ学年があがり、後輩が入…
一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ-- 佐藤 多佳子 「俺は、おまえがみっともないのはイヤなんだっ!」 自分の股間に向かって叫んでいた。 「そういうのは絶対イヤなんだ。俺がみっともないより、もっとイヤなんだっ」 こんな泣き声でしゃべりたくない。 …
マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 冲方 丁 「クリストファー教授と一緒に行けば、俺を受け入れてもらえるのか? 研究所の外に、そういう相手がいるのか? 俺を廃棄しようとする相手ばかりじゃなくて?」 「いよいよマルドゥック・スクランブル-09が本格実働…
少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭 一樹 「君がそんなに美しく生まれてしまったのは」 「ええ、ええ」 「母親がいんらんだったからだ」 「ええ……」 超自然的な理由にさせて。 これはけして。 遺伝では。 ないよ。 ベルカ? うぉん言うたびにベルカベルカ…
少年たちの密室 古処 誠二 生徒の前を歩くか、後ろを歩くか――教師は、そのどちらかに分かれると、宮下は言った。 「前を歩くには『知力』が要るし、後ろを歩くには『腕力』が要る。――知力っていうのは、まあ平たく言えば、生徒に合わせて思考の速度と方向を…
人間失格 太宰 治 「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」 自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。 ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本質を知らしめ給え。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに…
陰の季節 横山 秀夫 柘植は絨毯に額を近付けた。頬が火を吹く。こめかみで血流が波打つ。絨毯との数センチの間隙がプライドだった。それすらも捨てた。化繊の臭いにむせそうになった。心がその場から逃げた。蛇の目をした少年と守夫の顔が見えた。底からも逃…
鴨川ホルモー 万城目 学 もはやそこには恥も外聞もなかった。寒さや痛みさえなく、むしろ奇妙な高揚感すら存在した。“冬”の舞は終局へと突き進み、我々はえも言われぬ開放感、充足感に奮えながら、ついにぺらぺらパンツを吉田の空へと旅立たせたのである。 …
不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か 米原 万里 言葉というのは、表現の手段であるだけでなく、思考の手段でもあり、いわば人間の考え方の型を如実に反映するものである。通訳するとき、あるいは翻訳するとき、役者はスピーカーや原文作者の思考の型をも他言語に…
仮面の告白 三島 由紀夫 その絵を見た刹那、私の全存在は、或る異教的な歓喜に押しゆるがされた。私の血液は奔騰し、私の器官は憤怒の色をたたえた。この巨大な・張り裂けるばかりになった私の一部は、今までになく私の行使を待って、私の無知をなじり、憤ろ…
沖で待つ 絲山 秋子 「子供は、そこで人生を知るんです」 水谷は真面目な顔で言った。私は吹き出した。 「やな人生だね」 「他人事じゃありませんよ。私達もう、カイコ蛾になっちゃったんですから」(勤労感謝の日) 134回芥川賞受賞作。ここにきてようやく…
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ リリー・フランキー オマケして星2つだな。書道の先生が貸してくれました。 これは小説なのかもしれませんが私は断固小説カテゴリに入れることを拒否します(笑)エッセイでいいじゃんね。最初からエッセイの形…
チョコレートコスモス 恩田 陸 まさか。まさかそんな。神谷は混乱し、客席も混乱した。恐怖に満ちたざわめきが、客席に渦巻き、オーケストラの演奏と重なり合う。 少女は動かない。顔のないマネキン人形のように、こちらを向いてじっと立っている。 ひょっと…
数学的思考法―説明力を鍛えるヒント 講談社現代新書 芳沢 光雄 数学で学ぶ考え方のなかには、経済やビジネスだけでなく、社旗問題であれ政治的問題であれ、身のまわりのさまざまな問題を考えるときにヒントになるものがたくさんある。そして、「説明力」にお…
のための哲学 講談社現代新書―ジュネス" /> のための哲学 講談社現代新書―ジュネス 永井 均 子どもの哲学の根本問題は、存在である。森羅万象が現にこうある、というそのことが不思議で、納得がいかないのだ。 青年の哲学の根本課題は、人生である。つまり、…
からくりアンモラル 森 奈津子 美花に触れた瞬間、強烈な快感が押し寄せてきた。 あの行為の最中だわ! 思わずわたしはシャーペンを放り出し、床に転がった。手足の力が抜けて、まるで軟体動物になってしまったみたい。(一卵性) 調教型セクサロイドの悲し…
モップの精は深夜に現れる 近藤 史恵 シリーズ二作目だったー!
未完成 古処 誠二 というより、我々は、この島へやって来てからというもの、そういう話ばかりを聞かされていないか? 自衛隊においては、それが当たり前過ぎることだけに、意識していなかっただけではないのか? ――丸腰。 ――銃が持てない。 前作と変わらない…