2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 冲方 丁 (私は生きていていいの――?) 誰もイエスと言ってはくれない気がする。それが、無条件に愛された経験がない人間が抱える欠落だった。その欠落に従うか、それとも――イエスという答えを探すた…
もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅 ニール・F. カミンズ, Neil F. Comins, 増田 まもる, 竹内 均 もしも月がなかったら? 月のない地球は、自転速度が地球よりずっと速く、1日は8時間となる。強風が絶えず荒れ狂い、高山も存在せず、…
科学者たちの陰謀 福島 正実, 大海 赫, 赤木 かん子
イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 秋山 瑞人 (中略)大体、この廊下の光景を見ておかしいと思わないのか、何かが間違っていると思ったことは一度もなかったのか。これまでずっと、防空訓練があるたびに、この廊下の光景をその身の丈の高さから見下ろしてきたく…
リリアとトレイズ〈2〉そして二人は旅行に行った〈下〉 時雨沢 恵一 「――そうだ。全てがうまくいって終わったら」 「終わったら?」 「ご褒美にキスしてあげるわ」 「いっ――?」 1巻読んだの、いつですかー……。うっすらとしか覚えていません。二つのカップル…
池袋西武の本屋で色々物色してたらこのミス2006が!! がーん。もう発売されていたのか。疎すぎる。 ついでに本ミス2005も、この恋愛小説がすごい! も出ていました。でもSFはなかったな。これから開拓したいジャンルなのに。 暫く読みふけって幸せに浸る。 …
風味絶佳 山田 詠美 食べること。セックスをすること。眠ること。彼のそれらの行為に、自分が、どの女よりも有効であるのを確認したかった。空腹を満たすことから、すべては始まる。私は、彼の始まりを独占しようとしていたのだ。(夕餉) 「大人が初恋やり…
オロロ畑でつかまえて 荻原 浩 「代理店、雇うだ」 映画『七人の侍』の長老のような重々しい口調で言った。 「ダイリ……テン?」 「日本生命?」 「んにゃ、広告代理店だば。アメリカじゃ選挙に勝たすために、広告代理店が大統領のネクタイの色まで決めるっち…
オンリー・ミー―私だけを 三谷 幸喜 しかしこうしてみると、これほど読んで役に立たないエッセイも珍しいかもしれない。だんだん心配になって来た。 ふと考える。 いったい読者はここから何を得るのだろうか。 ここにしか書かれていない新情報というものは、…
魔王 伊坂 幸太郎 「でもよ、この道をあと何年進もうと、格好いい大人には辿り着かない気がするんだ」 「『でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば』」 「いけば?」 「そうすりゃ、世界が変わる。兄貴はそう言っていた」潤也君は起きな…
クラインの壷 岡嶋 二人 呑み終えた時、そこには何が残るのだろう。皮膚と胃袋が裏返しになった自分の姿だろうか? それとも、なにもかもが消え失せ、それでも呑み足らないと思い続ける意識だけになってしまうのか? 神! 岡嶋二人は神ですよ! 「驚愕の結末…
狐罠 北森 鴻 「時間の流れとは、果たして平等であろうか、と。やさしさは必要ありませんが、時の流れだけは誰に対しても、どこに対しても平等でなければならない。(中略) けれど時間は本当に平等だろうか。もしかしたら絶対主たる存在にも好き嫌いがあっ…
犬はどこだ 米澤 穂信 「こいつは貸しとくぜ、ボス!」 退職してからおそらく初めて、私はそうしたいのだという意志に基づいて行動している。(中略)単に社会的モラルに基づいてのことだろう。私は波風のない人生を送ってきた人間であり、どこまでも社会的…
Harry Potter and the Philosopher¥'s Stone (UK) (Paper) (1) J. K. Rowling "Bye, Harry!" "See you, Potter!" "Still famous," said Ron, grinning at him. "Not where I'm going, I promise you,"said Harry. ここ三日ほど読書が滞っているのは大分今更…
短篇集H(エッチ) 姫野 カオルコ 女から見た図太さは、男から見れば魅力に変わる。ミステリアス、とかって表現するんだって? 女から見たふてぶてしさは、男から見れば魅力に変わる。コケティッシュ、とかって表現するんだって? 女から見たたくましい渡世術…
ヘビイチゴ・サナトリウム ほしお さなえ 「なんだか気味が悪いな。いくら仲がいいって言ったって。これじゃあ、レズみたいじゃないか。女の子っていうのはこんなもんかね」 (中略) 「どうも女っていうのは、子どものころから別の生きものって感じでな。ど…
冬に光は満ちれど―約束の街〈3〉 北方 謙三 「人を殺しても、殺したと思わずにいられそうだな、山南」 心のどこかを刺された。そう思えなければ、仕事は踏めない。 見返したが、群は笑っているだけだった。 いやあかっこいいね! 読み始めはそうでもないんだ…