Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『I LOVE YOU』インタビュー

ダ・ヴィンチの九月号を図書館でぱらぱらと見ていたら、ふいに目に飛び込む見覚えのある表紙……てか人物……ってこれは! 本多さんじゃありませんか! 男性作家による恋愛アンソロジー『I LOVE YOU』のインタビューが載っていたのです。 伊坂さんと本多さんの夢…

川上弘美『古道具 中野商店』  ★★★

古道具 中野商店 川上 弘美 ヒトミさん、おれ、なんか下手ですいません。タケオが小さな声で言った。 下手って、なにが。 なにもかも。 そうでもないよ、わたしだって、下手だし。 そうすか。あの。タケオは珍しくわたしの目をまっすぐに見ながら、言った。…

大島真寿美『チョコリエッタ』  ★☆

チョコリエッタ 大島 真寿美 「でも、さっき思ったの。私はほんとうは死にたいのかもしれないって」 「はじめて?」 「はじめて」 ジェルソミーナが数秒沈黙してから私に言った。 「それならやっと生まれたのかも。だって死んでいる人間は死にたいなんて思え…

石持浅海『月の扉』  ★★★

月の扉 石持 浅海 「あんたたちは、この世で生きていくうえでは、他人からの悪意や憎悪に耐えられる力が必要だとして、キャンプを開催しているんだからな。でも、思い出してほしい。他人からの悪意に耐えられるということは、他人への悪意を持つことが」 人…

三浦しをん『桃色トワイライト』  ★★★★

桃色トワイライト 三浦 しをん 「私、食べても太んない体質なんですぅ」とかモデルが言ってるのを目にするたびに、「そんな物理法則に反したことがあるか。ふざけんなこのやろ」と怒りに燃えちゃうんだけど、自称「太らない体質」のモデルに、私と同じ食生活…

麻耶雄嵩『神様ゲーム』  ★★★★

神様ゲーム 麻耶 雄嵩 「自分を信じてくれとねだるのは人間の悪い癖だ。まあ社会性を持たせるためにぼくがそういうふうに創ったんだけどね。」 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランド。執筆陣、かなり豪華よねえ。15人くらいは読…

我孫子武丸『殺戮にいたる病』  ★★★★

殺戮にいたる病 我孫子 武丸 そうだ。女は、本当に美しい女は、どんな時でも大理石のように毅然とあるべきだ。氷のように冷たい硬質の輝きは神々しく、卑俗な者が近づくのを決して許さない。神に選ばれたものに近づけるのは、同じく神に選ばれたものだけだ。…

若竹七海『ヴィラ・マグノリアの殺人』  ★★★☆

ヴィラ・マグノリアの殺人 若竹 七海 おいおいおいちょっと待て! と言わずにはいられないラストに乾杯。 海に臨む瀟洒な邸宅、十棟が並ぶ「ヴィラ・葉崎マグノリア」。その一棟、密室状況の空き家で死体が発見された。所持品もなく、顔と手が潰され、身元の…

三浦しをん『白蛇島』  ★★

白蛇島 三浦 しをん 「逃げ出したい場所があって、でもそこにはいつまでも待っててくれる人がいる。その二つの条件があって初めて、人はそこから逃れることに自由を感じられるんだ」 自分も島を離れようとしているくせに、他の誰かが光市を残して島から立ち…

あさのあつこ『NO.6 #4』  ★★☆

No.6 (#4) あさの あつこ, 影山 徹, 北村 崇 ネズミと紫苑はいつ結婚するのかだけ教えて欲しい。

麻耶雄嵩『あいにくの雨で』  ★★★

あいにくの雨で 麻耶 雄嵩 「海援隊の歌にあったよな、信じるのを恐れるより裏切られる方がいいって。おまえもそう思っているかもしれないが、大した目に遭っていないから、あんな甘いことが云えるんだ。俺はあの日以来、人間らしく生きることにした」 麻耶…

日日日『ちーちゃんは悠久の向こう』  ★★

ちーちゃんは悠久の向こう 日日日 「あのひとは私と同じ。この世界に価値なんて一ッつも見いだせないひと。可哀相なひと。夢に憧れ、幻想に溺れ、虚構の生贄となるさだめにあるひと」 やはり――意味がわからなかった。 「幻想は人間を食うわ」 自分も幽霊にな…

藤原伊織『テロリストのパラソル』  ★★☆

テロリストのパラソル 藤原 伊織 ミステリよりもハードボイルドに分類した方が良いのかな……かっこいい男が二人出てくれば、私はもうそれだけで満足であります。ついでにかっこいい女(男よりも気が強そうな)がいると、本当にハードボイルドだと思います(ど…

川上健一『翼はいつまでも』  ★★★☆

翼はいつまでも 川上 健一 若さとパワーがあった。四月になれば~と同じく青春を描いているがこちらの主人公は中学生。中学生……眩しい。 青森県の中学三年生、神山は補欠の野球部員、平凡な生徒だ。ある日米軍放送で聴いたビートルズの「プリーズ・プリーズ…

川上健一『四月になれば彼女は』  ★★

四月になれば彼女は 川上 健一 俺は生きていたんだ。生きていたらやりたいことをやろうと決めてたんだ。 そのことを思い出したら、パッと一気に気分がよくなった。 何をやりたいのかはわからないけど、とにかくやりたいと思ったことができるじゃないか。やり…

重松清『疾走』  ★★★

疾走 重松 清 「だから……寂しいひとなんだ、あのひとは」 「寂しがってないけど、寂しいの?」 「寂しがってないから、寂しいんだ」 優しい子どもだったおまえたちが、ようやく「ひとつのふたり」になって、再び「ふたつのひとり」になってしまう―― き、きっ…

『亡国のイージス』映画

祖父母の家に遊びに行った際、付き合っている人と(彼も実家に帰っていたので)見に行ってきた。原作における素敵エピソードや台詞がばっさりとカットされていて、泣き所がさっぱりわからなかったのだが隣で彼は泣いていたので面白かった(笑)どこで泣くん…

高田崇史『QED 百人一首の呪』  ★★★

QED―百人一首の呪 メフィスト賞作家に懲りずにチャレンジ。タイトルの通り、百人一首の謎を解き明かしてくれている。世界史選択でもあり、ほとんど知識皆無の状態で望んだ私にはかなりきつい場面が多かったが、まあ……頑張って読み進めた次第だ。そんな大層な…

あさのあつこ『福音の少年』  ★★★

福音の少年 ……。ど、どうしよう。私にはこの本が秋帆と陽のラブ(のようなもの)ストーリーに見えてしまうのだけれど……ごめんなさい。あさのさんの書く少年達は危うすぎる。だって、描写、台詞、きっついよ(腐った子には)。Amazonの内容紹介も「二人の少年…