江國香織『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』 ★☆
江國香織、長編には当たり外れが大きいなあ。これはわたし個人の意見としては外れ。
小さな動物や虫と話ができる幼稚園児の拓人の目に映る、カラフルでみずみずしい世界。ためらいなく恋人との時間を優先させる父と、思い煩いながら待ちつづける母のもと、しっかり者の姉に守られながら、拓人は大人たちの穏やかでない日常を冒険する。(Amazon)
長編だとどうしても起伏とコンセプトをはっきり伝わるように書いてほしいと思ってしまうのよね、エンタメ好きだから。
わたしは江國香織の書くいわゆる良妻賢母的な存在、経済的階層が中の上以上のやつ、が非常に苦手である。DVをあれだけ鮮やかに書きながらもフェミニズムっぽさはずっとないですよね、エッセイは読んでませんが。いや、皆無ってわけじゃないんだけど、「良妻賢母」が勝ってるから志向としてはないんだろうな、みたいな。
なお当事者間での合意のない浮気や不倫は倫理的にアウト派なので基本的に思想は合いません。それでも最新作の長編以外全て読んだのは、文章が上手いと思っているからである。