Memoria de los Libros Preciosos

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国内文学

谷崎潤一郎『刺青・秘密』  ★★★★☆

刺青・秘密 (新潮文庫) 作者: 谷崎潤一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1969/08/05 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 115回 この商品を含むブログ (110件) を見る 肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった…

坂口安吾『桜の森の満開の下・白痴』  ★★★★☆

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫) 作者: 坂口安吾 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2008/10/16 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (39件) を見る 桜の森の満開の下は怖ろしい。妖しいばかりに美しい残酷な女は掻…

川端康成『雪国』  ★★★

雪国 (新潮文庫 (か-1-1)) 作者: 川端康成 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/05 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 118回 この商品を含むブログ (196件) を見る 親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の…

太宰治『女生徒』  ★★

女生徒 作者: 太宰治 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る 「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「文學界」[1939(昭和14)年]。5月1日の起床から就寝までの少女の…

谷崎潤一郎『春琴抄』  ★★★★☆

春琴抄 作者: 谷崎潤一郎 発売日: 2016/02/02 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が侭な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻…

太宰治『ヴィヨンの妻、駆込み訴え』  ★★★★

久々にKindleで小説を読みました。どちらも良かった。文学をちゃんと勉強しておらず申し訳ないのだが、自殺未遂を繰り返したのちようやく心中が成功した作家なのにか、だからか、明るくユーモアのある文章が魅力的ですね。『人間失格』『斜陽』くらいしか読…

夏目漱石『草枕』  ★★★★☆

草枕 (新潮文庫) 夏目 漱石 智に働けば角がたつ、情に棹させば流される―春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を…

夏目漱石『道草』  ★★

道草 (岩波文庫) 夏目 漱石 漱石の作品中、自叙伝的小説とも言うべき唯一のもの。健三、お住の夫婦生活を中心に、養父母、姉夫婦、舅と健三との関係を心理的に掘り下げ、日本的家族構成の内包する重圧感と、それから起こるどうしようもないトラブルを描いて…

夏目漱石『彼岸過迄』  ★★★

彼岸過迄 (角川文庫クラシックス) 夏目 漱石 え、ええっ、これで終わり!? 消化不良の残る作品でした。もうちょっとオチをつけてもらえると凡人としては有難いんだがなあ……そこに至るまでの話はすごい好きなんだけど……もうちょっと何か……。 須永は世の中と…

夏目漱石『門』  ★★★☆

門 (新潮文庫) 夏目 漱石 三部作の個人的評価は、それから>門>三四郎 でした。御米かわいいよ御米。 「誠の愛」ゆえに社会の片隅に押しやられた宗助とお米は、罪の重荷にひしがれながら背をかがめるようにひっそりと生きている。宗助は「心の実質」が太く…

夏目漱石『坊っちゃん』  ★★★★☆

坊っちゃん (新潮文庫) 夏目 漱石 これは面白かった! 今まで読まなかったのを後悔したよごめん漱石! 著作の中でも一番親しみやすいね、文体・キャラクター造詣・ストーリーなど全ての面において。清には泣きました。 一本気な江戸っ子「坊ちゃん」が四国・…

夏目漱石『三四郎』  ★★☆

三四郎 (岩波文庫) 夏目 漱石 何か消化不良。解説で言われているようなあっさりしたラストは逆に木の実なんだけど、そこに至るまでが結構長かったので割に合わないと感じる。あの全てのエピソードは必要だったのかな? 長さの分だけカタルシスや盛り上がりを…

森鴎外『雁』  ★★★

雁 岩波文庫 緑 5-5 森 鴎外 よかった。お玉の恋心はどうなるの! と最後まで読んでしまった。 生まれてすぐに母を亡くし、貧困の中で父親に育てられたお玉は、高利貸末造の妾となり、上野不忍池にほど近い無縁坂にひっそりと住んでいる。やがて、散歩の道す…

夏目漱石『こころ』  ★★★★☆

こころ (岩波文庫) 夏目 漱石 今更な一冊。高校時代に挫折したんだ確か。年を重ねた今はどうして挫折したんだろ? と思います。面白くてすぐ読み終えちゃった。 親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治…

島崎藤村『破戒』  ★★★★

破戒 (岩波文庫) 島崎 藤村 「下等人種?」 「卑しい根性を持って、いやにひがんだようなことばかり言うもの、下等人種じゃなくて君、なんだろう。へたに社会へでしゃばろうなんて、そんな思想を起こすのは、第一大間違いさ。獣皮いじりでもして、神妙に引っ…

川端康成『伊豆の踊子』  ★★★★

伊豆の踊子・禽獣 (角川文庫) 川端 康成 この美しく光る黒眼がちの大きい眼は踊子のいちばん美しい持ちものだった。二重瞼の線が言いようなく綺麗だった。それから彼女は花のように笑うのだった。花のように笑うと言う言葉が彼女にはほんとうだった。(伊豆…

夏目漱石『夢十夜』  ★★★★☆

夢十夜 他二篇 夏目 漱石 「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」 自分は黙って首肯た。女は静かな調子…

横光利一『夜の靴・微笑』  ★★★★

夜の靴・微笑 横光 利一 米は勿論、味噌も醤油も金銭では買えない。それにも拘わらず、ほそぼそながら一家四人が野菜を喰べていられるというのは、不意に近所から貰ったり、清江が知っていて、そっと私たちにくれるからである。妻は毎日あちらに礼をいい、こ…

谷崎潤一郎『痴人の愛』  ★★★★☆

痴人の愛 谷崎 潤一郎 私のナオミを恋うる心は加速度を以て進みました。(中略)「馬鹿!」と云いながら自分で自分の頭を打ったり、空家のように森閑としたアトリエの壁に向かいながら「ナオミ、ナオミ」と叫んでみたり、果ては彼女の名前を呼び続けつつ床に…

夏目漱石『それから』  ★★★

それから 正直私には荷が重いというか、わからない……! この時代の言葉遣いや風習、人の考え方にはとても心惹かれるものがあるけれど、読書量が足りないから、それが果たして夏目漱石によるものなのか、時代によるものなのか、わからない。何となくよかった…

太宰治『人間失格』  ★★☆

人間失格 太宰 治 「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」 自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。 ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本質を知らしめ給え。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに…

三島由紀夫『仮面の告白』  ★★★★★

仮面の告白 三島 由紀夫 その絵を見た刹那、私の全存在は、或る異教的な歓喜に押しゆるがされた。私の血液は奔騰し、私の器官は憤怒の色をたたえた。この巨大な・張り裂けるばかりになった私の一部は、今までになく私の行使を待って、私の無知をなじり、憤ろ…

武者小路実篤『友情』  ★★☆

友情 武者小路 実篤 「恋はあつかましくなければできないものだよ」 「ほんとうの恋はあつかましいものにはできない」 「ともかく恋も一種の征服だからね」 「僕だって君の位置にいれば、きっと積極的に出ろと言うかもしれないがね。あつかましく出る人がい…

遠藤周作『海と毒薬』  ★★★☆

海と毒薬 遠藤 周作 良心の呵責とは今まで書いた通り、子供の時からぼくにとっては、他人の眼、社会の罰に対する恐怖だけだったのである。勿論、自分が善人だとは思いもしなかったが、どの友人も一皮むけば、ぼくと同じだと考えていたのだ。 圧倒的な息苦し…

太宰治『斜陽』  ★★★

斜陽 太宰 治 たまにものすごい痺れる。破壊力のあることを言う。文学もしっかり読んでおくべきなのかもねーと実感しなおす一冊でした。

安部公房『砂の女』  ★★★★

砂の女 安部 公房 「助けてくれえ!」 きまり文句!……そう、きまり文句で、結構……死にぎわに、個性なんぞが、何んの役に立つ。型で抜いた駄菓子の生き方でいいから、とにかく生きたいんだ!……いまに、胸まで埋まり、顎まで埋まり、鼻の下すれすれまでやって…