2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧
ナイチンゲールの沈黙 海堂 尊 「僕は加納を嫌ってはいません。苦手なだけです。加納は組織第一主義でして。行き着く先はファシズムです。だから、個人の自由と享楽を最大限に尊重する僕とは人生哲学上、相容れない存在なんです」 田口は白鳥の加納評に妙に…
アナン〈下〉 飯田 譲治, 梓 河人
アナン〈上〉 飯田 譲治, 梓 河人
火天風神 若竹 七海 台風だってひとの誇りを奪い取ることはできない。たくさんの命を取ることができても、文明の一部を切り取ることができても。台風もひとの暮らしも地球が生み出したもの。拮抗しあい、結果ひとは絶望し続けてきた。けれど、ひとは誇りだけ…
Holes Louis Sachar "Is something wrong?" he asked her. "Oh, Sam," she said. "My hreat is breaking." "I can fix that," said Sam. Zero wrote the letters as Stanley said them. "Zero," he said, looking at his piece of paper. His smile was too …
レインツリーの国 有川 浩 実際に会っての取材に応じてくださった方が偶然にも私の本を全部読んでくださっている方で、「難聴者を主人公にして恋愛物を書く」と申し上げましたら、 「それはあれですか、自衛官が地雷処理とかで失敗して難聴になったりするん…
風が強く吹いている 三浦 しをん さんざん泣いた。いい作品だった。三浦しをんを心底尊敬した。エッセイで駅伝の話を書きたいと言っていたのは知っていたが、ここまでのとは。私の中で女性による女性のための男性メインのスポーツ三大小説が決定しました。森…
ハリガネムシ 吉村 萬壱 こういう事がしてみたかったのだと、この時初めて気付いた。人間の肉体を思い通りに切り刻みたいという欲望を、ハリガネムシのように体の中に飼っていたらしい。 途中のグロ描写が私の嫌なツボに入り、一度断念しかけた。漫画ならい…
鏡地獄―江戸川乱歩怪奇幻想傑作選 江戸川 乱歩 なぜといって、彼女の願いをしりぞけかねて、私がその鞭を彼女のなよやかな肉体に加えたとき、その青白い皮膚の表面に、俄かにふくれ上がってくる毒々しいミミズ脹れを見た時、ゾッとしたことには、私はある不…
NO.6(#5) あさの あつこ, 影山 徹, 北村 崇 「傲慢になるな。もう少し、ありのままの死を敬え。他人に安らかな死を与えられるなどと思い上がるな。もう二度と、他人の頸に指をかけたりするんじゃない」 そうだ、ネズミ。ぼくは自信がある。きみの傍らにいる…
図書館内乱 有川 浩 五年前に一回会っただけだけど、 あたしは今でもあの人に憧れてるし尊敬してるし、あの人が好きです。 前後の状況からして引っ込みがつかなくなったのは明白だ。 「……かわいそうな顔すんなそこ!」 「あ、ごめんそんな顔になってた?」 …
三四郎はそれから門を出た 三浦 しをん 「私、けっこう本読むんだー。『冷静と情熱のあいだ』はすっごくよかったよ」なんて言う、おまえらなんてみんな死ね。合コン中の男女を横目に、居酒屋で一人、苦々しい思いでビールを飲んだことが何度あっただろう。私…
アーモンド入りチョコレートのワルツ 森 絵都 信じられないほどよかった。図書券があったので購入したんだけど、買ってよかった。小さい頃に一度読んでいるはずなのに内容をすっかり忘れていて、でもあの頃じゃこんなに「いい」と思えなかっただろう。あんま…
ホワイトアウト 真保 裕一 富樫の全身全霊でぶつかっていく姿勢はすさまじい。
友情 武者小路 実篤 「恋はあつかましくなければできないものだよ」 「ほんとうの恋はあつかましいものにはできない」 「ともかく恋も一種の征服だからね」 「僕だって君の位置にいれば、きっと積極的に出ろと言うかもしれないがね。あつかましく出る人がい…
暗黒館の殺人 (上) 綾辻 行人 亡びてしまつたのは 僕の心であつたらうか 亡びてしまつたのは 僕の夢であつたらうか 記憶といふものが もうまるでない 往来を歩きながら めまひがするやう(中原中也) いかがわしー!笑 私はこれを求めていたのよっていういか…
星降り山荘の殺人 倉知 淳 男が喋っている。和夫も、テレビで見慣れた顔だ。彫りの深い、日本人離れした甘い顔立ち。顎はギリシャ彫刻のようにすっきりとなだらかなラインを描き、眉は柳さながら優美に美しく、その黒い瞳はどこまでも深く、黒曜石の湖のごと…