2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧
少女には向かない職業 桜庭 一樹 ――強くなりたいな。 そしたら、こんなに泣かないし、無抵抗の山羊を殴ったりしないし、ママに向かってバカなんて言わないだろう。 強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな? 作者は女性だった…
殺人ピエロの孤島同窓会 水田 美意子 「あのさメグちゃん、ぼ、ぼくとマヨネーズのどっち、好き?」 おおお、命が、軽い……!笑 このミス特別賞受賞作。著者は当時12歳。12って……中学一年生って……信じられない。 日本から1500キロ離れた、東硫黄島。島の外輪…
文庫版 百器徒然袋―雨 京極 夏彦 彼の作品を読み始めたのは私が高校二年生の夏だった。かれこれ三年ほどになるけど、まだ七作目とはね。しかも『百鬼夜行―陰』は飛ばしているからね。一つ一つが長くて全ての事件を曖昧にしか把握していないから、しばらく読…
まほろ駅前多田便利軒 三浦 しをん しをんファンの友だちに「この挿絵見てよ!」と差し出されて、ちょっと待てと突っ込みを入れてしまったほどの挿絵です。え、これ、何の本……? しかし内容は普通でした。安心、少し残念(笑)好きな絵です。
僕たちの終末 機本 伸司 <僕たちの宇宙船構造は、まだまだ貧弱だ。それを非難するのも自由だ。けどその先に待っているのは自滅でしかない。だったら、僕たちと一緒に新しいアイデアを出し合えばいいじゃないか。(中略)これでもまだごちゃごちゃ抜かす奴は…
バスジャック 三崎 亜記 「信じてるんだね」 「信じている、というより信頼しているんだ」 「どう違うの?」 これはファンタジーみたいでホラーっぽくもあり、不思議な短篇集でした。前作も設定は不思議だったけど。川上弘美のようなうそと現実の境界がとろ…
風流冷飯伝 米村 圭伍 「将棋は最初にすべての駒を盤に並べます。盤面にある駒を動かすのを指すと申します。囲碁は始めは盤に石が置いてございません。交互に黒石と白石を置きますが、これを打ちおろすという意味で打つと称します」 へえ! ヒカルの碁を読み…
かめくん 北野 勇作 なぜなら、この世界は、甲羅の内側と外側で出来ているのだから。甲羅が動くということは、その内側と外側、つまり世界すべてが動くということだ。 カメは甲羅といっしょに世界を動かすことが出来る。 それゆえに、カメは神を必要としてい…
されど君は微笑む 北方 謙三 「友だちだと思う男を、何人も何人も死なせた。惚れた女も、死なせた。そんな俺が、自分が生き残るために、カーテンなんか引けると思うのか?」 しゃ、しゃ、社長! 読み始めてすぐにこれじゃあ、動悸息切れを起こすってもんです…
地に埋もれて あさの あつこ これはファンタジーにジャンル分けしたほうがいいの? 『透明な旅路へ』の続編です、やっと(『弥勒の月』だと勘違いしていた)字が大きくて分かりやすい内容なのでかなり速く読める。 相変わらず白兎が色っぽいことで!
終末のフール 伊坂 幸太郎 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。「あなたの今の行き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」 公式サイトにあるように「派…
いつか海に消え行く―約束の街〈5〉 北方 謙三 「俺は、もしかして一番厄介なタイプの男を同時に二人相手にすることになったのかな」 「心臓に弾を食らえば死ぬ。厄介でもなんでもないじゃないか」 死んで当然の男だ、と私は自分に言い聞かせた。死ぬことで、…
蛇を踏む 川上 弘美 「うそばなし」を書いているときには、顔つきもうそっぽくなり、そんなときに誰かが話しかけてきたりしたら、うそばっかりぺらぺら言うような気がします。 「うそ」の国に入り込んでしまっているのでしょう。 「うそ」の国は、「ほんと」…
愚者のエンドロール 米澤 穂信 「……お前は、お前にしかできないことがあると思うか?」 あまりに問いが曖昧だった。里志は首を捻り、慎重に答えを返してきた。 「何でそんなことを訊くのかわからないけど……過去未来に亘って、世界の全ての地域の人間を集めて…
れんげ野原のまんなかで 森谷 明子 「最初は休憩所で結構。でも足を休めてほっとした人が、ついでに目を上げて自分は魅力的な本に囲まれていると気づいたら、どう? 誰でも自由にうちまで連れて帰れる、レンゲ野原散策の副産物としての、古今東西の素敵な本…