Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

水田美意子『殺人ピエロの孤島同窓会』  ★

殺人ピエロの孤島同窓会
殺人ピエロの孤島同窓会
水田 美意子
「あのさメグちゃん、ぼ、ぼくとマヨネーズのどっち、好き?」

 おおお、命が、軽い……!笑 このミス特別賞受賞作。著者は当時12歳。12って……中学一年生って……信じられない。
 日本から1500キロ離れた、東硫黄島。島の外輪火山が噴火し、住民は東京に強制移住させられ、現在は、観測所を守っている老人が1人住むだけの孤島である。そんな島で同窓会が開かれることになり、4年ぶりに東硫黄高校同窓生が集まった。出席者はクラスメイト36人中、不登校だった1人を除いた35人。和やかムードで進んでいた同窓会は、突如現れた殺人ピエロにより恐怖の孤島と化す。次々と同窓生たちを惨殺し始める殺人ピエロの正体は?(Amazon
 バトル・ロワイアルを髣髴とさせる内容ですが、彼女はテレビニュースを三大噺の要領でまとめあげたとのこと。何か、ものすごかった。人が死ぬのにすぐあとで能天気に笑っていられるとは。そこにリアリティを求めるべく作品ではないのかもしれないが、私はバトロワが好きなので(笑)やりきれなさを覚えた。解説にあるように、リアリティのなさが生み出すリアリティとブラックユーモアがいいのかなあ。そういわれるとそんな気もしてくるな。徹底的な真剣味のなさや、馬鹿馬鹿しさが逆にうまく働いているっていうか。
 12歳が書いたにしては信じられないほど素晴らしいと思うけど、それを抜かすと……やはり、ねえ。悪く言ってしまえば悪趣味ですよねえ。