Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2008-01-01から1年間の記事一覧

2008年まとめ

受験と卒論と何よりイベントに翻弄されて終わった今年。あっという間だったな! 色々と無事に終えることができてよかった。来年も頑張ろう。 航路(上) コニー・ウィリス 天才です。天才です。今年のぶっちぎりナンバーワン。まずは読め、話はそれからだ。 最…

若竹七海『閉ざされた夏』  ★★★

閉ざされた夏 (光文社文庫) 若竹 七海 夭逝した天才作家の文学記念館で、奇妙な放火未遂が相次いだ。和気あいあいとした記念館の雰囲気は一変し、職員たちの言動にもおかしな様子が……。新入り学芸員とミステリ作家の兄妹が、謎を追い始める。そんな折り、同…

トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の彗星』  ★★☆

ムーミン谷の彗星 (ムーミン童話全集) 下村 隆一,トーベ・ヤンソン,Tove Jansson 赤く長い尾を光らせた彗星が地球にむかってすすんできます。ムーミン谷は大さわぎ! ムーミントロールは彗星をしらべるために、遠い天文台へとでかけますが……。(Amazon) 実…

アヴラム・デイヴィッドスン『どんがらがん』  ★★★★

SF

どんがらがん (奇想コレクション) 殊能 将之 空前絶後の輝かしい受賞歴をもち、キプリングやサキ、G・K・チェスタトンに比肩すると評されるアヴラム・デイヴィッドスン。この才気と博覧強記の異色作家が遺した短篇を、日本の誇る才気と博覧強記の作家殊能将…

テリー・ビッスン『ふたりジャネット』  ★★★★

SF

ふたりジャネット (奇想コレクション) テリー・ビッスン,中村 融 本邦初のテリー・ビッスン短篇集。サリンジャー、ピンチョンら有名作家たちが続々と田舎町に引っ越してきた? 英国が船みたいに動きはじめた・ 万能中国人がヘンテコなす牛木で事件を解決? …

グレッグ・イーガン『ひとりっ子』  ★★★★☆

SF

ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF) グレッグ イーガン,Greg Egan,山岸 真 「この子がわたしの娘なの。生まれるのがほんの何年か遅くなったけれど」―待望の第一子となるはずだった女の子を失った科学者夫婦が選択した行動とは!? 子どもへの“無償の愛”を量子論と…

ポール・オースター『幽霊たち』  ★★★☆

幽霊たち (新潮文庫) ポール・オースター,柴田 元幸,Paul Auster 私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何も変化もない。彼は、ただ毎…

シオドア・スタージョン『輝く断片』  ★★★★

SF

輝く断片 (奇想コレクション) 大森 望 雨降る夜に、瀕死の女をひろった男。友達もできず顔も醜い孤独な男は決意する。おれやる、全部やる……。「自分がいままで書いた短篇の中でももっとも力強い作品」と著者みずからが語る表題作「輝く断片」、スタージョン…

時雨沢恵一『学園キノ 2』  ★★☆

学園キノ〈2〉 (電撃文庫) 時雨沢 恵一 人間・木乃と言葉を話すストラップ・エルメスの学園のお話。「宿題~真夜中のデッドリミット~」―Dead Limit、第四部・学園編第四話「茶子の爆弾物語」―Tea Breaks!、第四部・学園編第五話「千の鉄砲を持つ少女」―Role P…

P.G.ウッドハウス『ジーヴスと封建精神』  ★★★★

ジーヴスと封建精神 P.G.ウッドハウス,森村 たまき バーティー、またもや婚約か!?お相手は、灰色の脳細胞が破裂寸前までオツムに詰まったあのフローレンス嬢?―大好評シリーズ第9弾。(livedoorBOOKS) いつもながら面白い! 笑った! ジーヴスシリーズは…

若竹七海『心のなかの冷たい何か』  ★★★☆

心のなかの冷たい何か (創元推理文庫) 若竹 七海 失業中のわたしこと若竹七海が旅先で知り合った一ノ瀬妙子。強烈な印象を残した彼女は、不意に電話をよこしてクリスマス・イヴの約束を取りつけたかと思うと、間もなく自殺を図り、植物状態になっているとい…

夏目漱石『道草』  ★★

道草 (岩波文庫) 夏目 漱石 漱石の作品中、自叙伝的小説とも言うべき唯一のもの。健三、お住の夫婦生活を中心に、養父母、姉夫婦、舅と健三との関係を心理的に掘り下げ、日本的家族構成の内包する重圧感と、それから起こるどうしようもないトラブルを描いて…

コニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』  ★★★★☆

SF

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション) 大森望編 愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟……。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメリカ…

ダン・シモンズ『夜更けのエントロピー』  ★★★★

SF

夜更けのエントロピー (奇想コレクション) 嶋田 洋一 ミステリ、SF、ホラー、現代文学のジャンルを超えて、「すこし不思議な物語」の名作を集めたシリーズ“奇想コレクション”刊行開始!第1回配本は、『ハイペリオン』でその人気を不動にした、まさにジャンル…

アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』  ★★★

SF

ゴーレム100 (未来の文学) アルフレッド・ベスター,渡辺 佐智江 22世紀のある巨大都市で、突如理解不能で残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔ゴーレム100。事件の鍵を握るのは…

時雨沢恵一『キノの旅 11』  ★★☆

キノの旅 11―the Beautiful World (11) (電撃文庫 し 8-23) 時雨沢 恵一 安心して読める一冊。この人は安定してるなー、上にも下にも行かないって感じ。さらさら進むから目にも優しいです。12巻が出てる読まなきゃ、と思ったらちょうど棚にあった11巻読んで…

森奈津子『先輩と私』  ★★★★

先輩と私 森 奈津子 女子大生・光枝は、好色文学研究会の一員。官能小説を書いては妄想に浸り、自慰に耽る日々。そんな折、ライバル団体であるエロティック文学研究会の会長・華代から、引き抜きの誘いを受ける。やがて華代のたくらみは度を越したものとなり…

森奈津子『姫百合たちの放課後』  ★★★★

姫百合たちの放課後 (ハヤカワ文庫 JA モ 3-3) 森 奈津子 女子校を舞台に繰り広げられる、少女たちの可笑しくも甘酸っぱい青春から、大人同士のディープな恋愛遊戯までを描いた「百合コメディ」8編を収録。団鬼六や女教師ポルノのパロディであるレズビアンSM…

トーマス・マン『ヴェニスに死す』  ★★☆

ヴェニスに死す (岩波文庫) Thomas Mann,実吉 捷郎 旅先のヴェニスで出会った、ギリシャ美を象徴するような端麗無比な姿の美少年。その少年に心奪われた初老の作家アッシェンバッハは、美に知性を眩惑され、遂には死へと突き進んでゆく。神話と比喩に満ちた…

コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック 下』  ★★★★☆

SF

ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) コニー ウィリス,Connie Willis,大森 望 もーやだーもーやだー! つらいー! 私はとことん登場人物に感情移入してしまう性質で、うまい人の書くつらい話ってのは本当につらくて、この先もつらいって分かって…

コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック 上』  ★★★☆

SF

ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) コニー ウィリス,Connie Willis,大森 望 歴史研究者の長年の夢がついに実現した。過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。オックスフォード大学…

ジーン・ウルフ『デス博士の島その他の物語』  ★★★★

SF

デス博士の島その他の物語 (未来の文学) ジーン ウルフ,Gene Wolfe,浅倉 久志,柳下 毅一郎,伊藤 典夫,伊藤 典夫,柳下 毅一郎 「だけど、また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ…きみだってそうなんだ」孤独な少年の元に物語の登場人物が訪…

P.G.ウッドハウス『ジーヴスと恋の季節』  ★★★★

ジーヴスと恋の季節 (ウッドハウス・コレクション) P.G.ウッドハウス,森村 たまき 間違った相手と結ばれかかった4組のカップルのこんがらがりを解消する、天才執事ジーヴスの一石四鳥の大技とは?(ビーケーワン) 前半の怒涛のおかしさは神の御業としか思…

小川一水『天涯の砦』  ★★

SF

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 小川 一水 地球と月を中継する軌道ステーション“望天”で起こった破滅的な大事故。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船“わかたけ”からなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに漂流を開始する。だが、…

コニー・ウィリス『航路』下  ★★★★★

SF

航路(下) 大森 望 最高だよ! 何個★をつけても足りないくらい! こんなブログを読んでいないで今すぐ読んで! お願い! 面白い本を読むと人に読ませたくて仕方がなくなるの! 読んで! 2002年あたりの「SFが読みたい!」一位の作品だから、とても今更なんだ…

コニー・ウィリス『航路』上  ★★★★☆

SF

航路(上) コニー ウィリス,大森 望 トンネル、光、天使、亡くなった家族など、心停止から蘇生までの間に見る不可思議な世界。認知心理学者のジョアンナは、これらの臨死体験を科学的に検証するため聞き取り調査を行っている。そんな彼女の元に、化学物質を投…

青木保他『新たな人間の発見』

岩波講座 文化人類学〈第1巻〉新たな人間の発見 青木 保 第1部 ヒトが人間であるために ヒトはいつから人間であったのか こころも進化する―進化的人間理解と人間文化の同質性 笑いと人間 第2部 創られる人間世界 構築される身体 東方の驚異、ワイルド・マ…

シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX』  ★★★★☆

SF

ヴィーナス・プラスX (未来の文学) Theodore Sturgeon,大久保 譲 チャーリー・ジョンズが目を覚ましたのは、謎の世界レダム。銀色の空に覆われ、荒唐無稽な建物がそびえ立ち、奇天烈な服を着た“男でもなく女でもない”住人が闊歩している世界だった。故郷に戻…

若竹七海『猫島ハウスの騒動』  ★★★

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス) 若竹 七海 葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。そんなある日、ナンパに勤しむ響子の同級生…

恩田陸『黒と茶の幻想』  ★★★★

黒と茶の幻想 (Mephisto club) 恩田 陸 目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数…