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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

小川一水『天涯の砦』  ★★

天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
小川 一水

 地球と月を中継する軌道ステーション“望天”で起こった破滅的な大事故。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船“わかたけ”からなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに漂流を開始する。だが、隔離されたわずかな気密区画には数人の生存者がいた。空気ダクトによる声だけの接触を通して生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する…。真空という敵との絶望的な闘いの果てに、“天涯の砦”を待ち受けているものとは? 期待の俊英が満を持して放つ極限の人間ドラマ。


 気分の悪い本だったな!笑 登場人物の誰にも寄り添えない……二ノ瀬と久我山はまあ好感が持てたかな。ストーリーの予備知識はなかったけど巻頭の見取り図を見ると大体の想像がついた。ああやって名前まで入ってるとちょっと吹雪の山荘っぽいね(笑)
 小川さんは災害物が多い印象。登場人物たちが災害をどう乗り越えていくか。切迫した状況だから先は気になっても、読むのが楽しくはなかった。『復活の地』レベルを望みはしませんが。
 人間ドラマのどろどろが嫌いってわけではなくむしろ嫌な部分が読みたくなったりもするけれど、この本は何かなあ。ことごとくお近づきになりたくない人ばっかりだなあ。自分があの場にいなくて本当によかったよ。色んな人がいるから足並み揃えて頑張ろう! と一致団結ポジティブすぎてもおかしいけど……妹をちゃん付けする兄八歳ってのがしっくりこなくて、キトゥンと功と田窪のごたごたも冷めたし、久我山というとどうも「げんしけん」の彼を思い出してしまい(笑)、ううむ……あ、テルはかわいいよ!
 私はキャラ読みしちゃうから、一人でもこいつ! って思える人がいないと駄目なのかもしれない。真空や死体の描写は怖くて、暴力もなかなか。でも私、気持ちいいのが好きなの(笑)嫌なものはユーモアに包んでもらいたいの。もしくは『航路』を読んだ後だからかな。あれと比べるのは酷だ。

 

 二ノ瀬が落ちた最終試験の内容って何だったっけ? 自分を優先することも仲間を見捨てることもできず行じっとしてたから落ちたんだよね? それがスカウトする理由にあたるの? ぱらぱらめくってその箇所探したんだけど見つかんなかったや。久我山と二人でランデブーってわけじゃないわよね、勘違いしかけたけど(笑)久我山が真空状態から体起こすところはホラーだったな!