Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

グレッグ・イーガン『しあわせの理由』  ★★★★

SF

しあわせの理由 グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真 というわけで……あたしは死も踏みにじったし、母性も踏みにじった。ざまあみろだ。生け贄が必要だというなら、感情の奴隷監督であるそのふたつ以上にふさわしい犠牲者がいるだろうか? それに、そうす…

アシュリー・ヘギ『アシュリー』  ★★★★

アシュリー ~All About Ashley~ アシュリー・ヘギ 「おい見てみろよ。エイリアンがいる」って言われたり、ジロジロ見られたりすることはあるけど、わたしはそんなこと気にしないわ。 だって、彼らがわたしをからかおうと思ってやっているんじゃないことはわ…

桐生操『世界禁断愛大全』  ★★☆

世界禁断愛大全―「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛 禁断の愛……。なんと甘美な響きだろう。禁じられているからこそ、人はなおさら燃える。なおさらそれを手に入れたくなる。自分が危険な岐路に立っていることは重々承知ながら、その愛に自分を、自分の未来を…

東浩紀『動物化するポストモダン』  ★★★

動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 東 浩紀 つまりオタク系の消費者たちは、ポストモダンの二層構造にきわめて敏感であり、作品というシュミラークルが宿る表層と設定と言うデータベースが宿る深層を明確に区別しているのだ。 小さな物語は大き…

クラウス・コルドン『ベルリン1933』  ★★★★

ベルリン1933 クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一 ナチスが政権を握ってしまったー!

オリヴァー・サックス『火星の人類学者』  ★★★★☆

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 オリヴァー サックス, Oliver Sacks, 吉田 利子 もともと大脳生理学や心理学などに興味があって、好きなブロガーさんがべた褒めしていたので。期待を裏切らずに面白い本でした。 自らを「火星の人類学者」と呼ぶ…

保江邦夫編『早分かり物理50の方式』

早わかり物理50の公式 岡山物理アカデミー, 保江 邦夫 天文学に興味がある者としては物理もかじろうかなあなんて思ったわけだけど……最初の方はまだしも、段々放り出したくなりますね! 数式の変形が理解できないというか頭が考えるのを拒否している(笑)単…

田中芳樹『銀河英雄伝説(6)』  ★★★★

SF

銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 田中 芳樹 「あなたは以前から良心的な政治家といわれておいでですし、実際にいくつかの行動でそれを証明していらっしゃる。そのあなたにして、国家のために個人の人権が犠牲になるのは当然だ、と、そうお考えですか」 レベロの表情…

河野博子『アメリカの原理主義』  ★★★★☆

アメリカの原理主義 河野 博子 原理主義、ファンダメンタリズムを辞書で引くと、聖書に書いてあることが歴史上起こった事実であり、そこに預言された通りのことが起きるとの信条を指す、とある。もともとは、公立小中学校で進化論を教えることに反対し、聖書…

畑村洋太郎『数に強くなる』  ★★☆

数に強くなる 畑村 洋太郎 これは筆者が考える「数(かず)」を表現した図である。「数」とは、次の三つの構成要素から成り立つものである。すなわち、 ①種類 ②狭い意味での数 ③単位 である。 読み物として軽口で面白いなあと思いましたが、そんな簡単に数に…

田中芳樹『銀河英雄伝説(5)』  ★★★☆

SF

銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 田中 芳樹 残酷さが彼らの戦う目的ではなかった。だが、正義と信念こそが、この世でもっとも血を好むものであることを、誰もが理解せずにはいられなかったであろう。最高指導者が呼号する正義を実現させるため、彼らの信念が飽食す…

池田理代子『47歳の音大生日記』  ★★★★

47歳の音大生日記 池田 理代子 ああ、やっぱりさすがに音楽大学の声楽専攻のクラスなんだ、と、いたく感激したら、やはり他の女子学生たちも同じように感じていたらしい。 このような間隙をどうかいつまでも忘れずに、愛する音楽とともに学生時代という人生…

イアン・アーシー『怪しい日本語教室』  ★★★★☆

怪しい日本語研究室 イアン アーシー, Iain Arthy 古今東西を通じて、日本語ほど煩雑な表記法があれば会ってみたいぐらい。変な文字と言えば、古代エジプトのヒエログリフを連想する人が多いだろう。男女、鳥や爬虫類に、ばらばら死体を彷彿とさせる目、手や…

クラウス・コルドン『ベルリン1919』  ★★★★

ベルリン1919 クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一 終盤は泣いちゃったよ……。“子どもの本を読む会”なんていうサークル活動をしている母は児童文学を中心に読んでいるので守備範囲が異なるんだけど、そのおかげで自分では目をつけない本とも出会えて…

横光利一『夜の靴・微笑』  ★★★★

夜の靴・微笑 横光 利一 米は勿論、味噌も醤油も金銭では買えない。それにも拘わらず、ほそぼそながら一家四人が野菜を喰べていられるというのは、不意に近所から貰ったり、清江が知っていて、そっと私たちにくれるからである。妻は毎日あちらに礼をいい、こ…

ジョン・クラカワー『信仰が人を殺すとき』  ★★★★☆

信仰が人を殺すとき - 過激な宗教は何を生み出してきたのか ジョン・クラカワー, 佐宗 鈴夫 「だが、人生には、幸せよりも大事なことがあります。たとえば、自分で自由にものを考えることです」 信仰全般についてではなく、モルモン教について。最近起きた事…

時雨沢恵一『リリアとトレイズ(5)』  ★★☆

リリアとトレイズ 5 (5) 時雨沢 恵一 「トラヴァス少佐さんと会ったあとのママは、かなり幸せそうです。ああいうのを見ちゃうと、彼氏っていいなって思うのと同時に、ママにはもっとずっと幸せになってもらいたいなって思うんです。だから、わたしもちゃんと…