Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

遠藤秀紀『人体 失敗の進化史』  ★★★★☆

人体 失敗の進化史 遠藤 秀紀 わが遺体解剖も、まったく同じだ。無限に状況設定のある遺体との対面。血まみれの修羅場を思い起こして、何が起こっても大丈夫なように、頭脳を鍛え上げておく。それが私の仕事だ。 「遺体を前にした自分を普段から追い詰めてお…

古処誠二『UNKNOWN』  ★★★☆

UNKNOWN 古処 誠二 「そうだね、負けた方は生涯コーヒーをおごり続ける、というのは?」 「うーん、やめておきます。わたしの方が不利ですから」 「コーヒーの量のことかい? それとも賭け自体のことかい?」 「両方です」 この作家は初。とても読みやすく面…

玄侑宗久『お坊さんだって悩んでる』  ★★★★

お坊さんだって悩んでる 玄侑 宗久 弱者への労わりを制度化するということは、周囲の個人のなかに労る気持ちがなくなっても大丈夫、というシステムを作ることです。そんなことを制度化するから、気持ちの方が萎えていくのでしょう。 お守りやお札に込められ…

竹内薫『99.9%は仮説』  ★★☆

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 竹内 薫 つまり、時代と場所によって「正しいこと」は変わるのです。 世の中に未来永劫正しいことなんて存在しない。なぜなら、人間の考えることはすべて「仮説にすぎない」からです。 ひらたくいえば、理論…

遠藤秀紀『解剖男』  ★★★★

解剖男 遠藤 秀紀 動物の遺体を解剖して研究するということ、この本を読むまでは「気持ち悪い」と言っていたかもしれない。自分が知らない分野について意見を述べることがいかに危険かわかりました。遺体がもたらす知へのあくなき好奇心よ! のどの奥の未知…

藤原正彦『国家の品格』  ★★☆

国家の品格 藤原 正彦 猛烈な胡散臭さに襲われてしまった。それというのも、私が最近著者と同じく日本万歳な気分に陥っていたのだけど、米原万理『魔女の一ダース』内でこんなことを言っていたからだ。 本来人間は生命体固有の自己保存本能を持っており、そ…

綾辻行人『暗黒館の殺人(下)』  ★★★

暗黒館の殺人 (下) 綾辻 行人 「何故、選ばれたのが私だったのですか。よりによってこの私が」 「出会ってしまったから、だよ」 玄児はそう答え、静かに腕を組んだ。 「この春に君と出会って、俺は……」 ミステリじゃねえ……!笑 少なくとも本格ではないでしょ…

長野まゆみ『絶対安全少年』  ★★★☆

絶対安全少年 長野 まゆみ 長野まゆみという人がよくわかる一冊。今まで少年といえばあさのあつこだったんだけど、長野さんも相当なものですね……あさのさんは12~18歳、長野さんは6~15歳の少年を愛しているみたい。私はあさのさんよりかな!笑 長野さんは静…

司馬遼太郎『燃えよ剣』  ★★★★☆

燃えよ剣 (下巻) 司馬 遼太郎 ちょっ、待てよ……! 土方お前そりゃねえよ反則だよ剣も燃えちゃうよ……! と取り乱したくなるほど土方が格好いい小説でした。空知英秋が「銀魂」でいじられキャラにするのもよくわかるってもんです。そうでもしなきゃこんな漢扱…

小川洋子『ミーナの行進』  ★★☆

ミーナの行進 小川 洋子, 寺田 順三 「いいねえ。とてもいい漢字。だってお月様は二つないもの。ないものなのにこうして二つある。ということは、とっても大事な仲間同士ってことよ。同じ大きさで、上と下じゃない。横に並んでる。そこがいいね。平等なの。…

竹内真『自転車少年記』  ★★☆

自転車少年記 竹内 真 たった一人で、好きな方へと走っていける。知らない町を通りすぎ、見知らぬ世界に旅立てる。――きっとそれは、一人ぼっちだからできることだろう。 そんな景色を眺めて進んでいるうちに、失ったものに対する感情だけで走っているわけじ…

北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』  ★★☆

匣庭の偶殺魔 北乃坂 柾雪 「犬猫の尻を追いかけて何が楽しいんだろうねっ? 変態としか思えない。あそうか、探偵って馬鹿じゃなくて変態だったんだなシン。僕に触るなよ!」 「そりゃあ……酷い酷過ぎだよ龍哉。俺が変態の汚名を着せられるのはいいとしても、…

時雨沢恵一『キノの旅 Ⅹ』  ★★★

キノの旅〈10〉the Beautiful World 時雨沢 恵一 「そうですね……、酷い道とか、厳しい天候とか、長くシャワーが浴びられないとか、さっき話した食事のこととか、いろいろと不便なことはありますけど、一番ボクが厄介だと思うのは――」 「思うのは?」 「生き…

都築道夫『七十五羽の烏』  ★★☆

七十五羽の烏 都筑 道夫 「犯罪の捜査ってのは、むずかしいね。それにしても、腹がへったな。犯罪の捜査は、とても個人の手には負えないよ。こっちはやはり、おばけ専門ということで、お茶をにごして、逃げだそう。腹がへったな。今夜、家のまわりをひと廻り…

米原万里『魔女の1ダース 正義と常識に冷や水を浴びせる13章』   ★★★★☆

魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 米原 万里 冷や水浴びた!! 目から鱗がぽろぽろ落ちたよ。見につまされる思いでした。読んで損はないでしょうこの本は。視野を広げ世界に目を向けて、もっと色んなことを知りたい、と思わせてくれる。まだ…

奥田英朗『ガール』  ★★★

ガール 奥田 英朗 でもそれは男たちが勝手に作ったゲームで、聖子には関係がない。そもそも派閥ごっこに、女子は入れてもらえない。(ヒロくん) 女は男の目なんか気にしていない。自分が楽しいからおしゃれをするのだ。若くいたいと思うのだ。(ガール) 女…

石持浅海『顔のない敵』  ★★★☆

顔のない敵 石持 浅海 対人地雷は、殺す兵器ではない。死亡者も数多く出ているが、基本的には殺さずに大怪我をさせることが目的だ。敵の兵士を負傷させ、その兵士の運搬や治療に別の戦力を割かせる。一人の負傷者を後方に送ろうと思えば、最低二名の兵士が担…