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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

時雨沢恵一『キノの旅 Ⅹ』  ★★★

キノの旅〈10〉the Beautiful World
キノの旅〈10〉the Beautiful World
時雨沢 恵一
「そうですね……、酷い道とか、厳しい天候とか、長くシャワーが浴びられないとか、さっき話した食事のこととか、いろいろと不便なことはありますけど、一番ボクが厄介だと思うのは――」
「思うのは?」
「生きている人間です」(インタビューの国)

「“守られている”ということは、“力がある”ということではないのですよ。あの国で本当に力があったのは、あの国の人達です。あなた達ではありませんでした」(保護の国)

 もう10巻だなんて信じられないなあ。私はいつから追ってたんだろうか?
 ――「いい歌だった。歌もいいけど、歌手の声と歌い方がとても素敵だった。気に入った」「おや、キノがそこまで満足げに言うとは珍しい」歌が終わった直後から、まるでそれがスイッチだったかのように、広場には人の動きが生まれていた。歩いて城壁へ向かう人や、店のシャッターを開く人、馬車を用意する人、または自動車のエンジンをかける人。そんな中の一人、エプロン姿の中年の女性が、キノを目に止めて話しかけてきた。「旅人さん。さっき入国したのよね? 今の歌聴いたかしら? いい歌だったでしょう?素敵な歌声だったでしょう?」(『歌姫のいる国』)――他全11話収録。そして、今回の“あとがき”は……?(カバー折り返し)
 11話も入ってるのかよ! とツッコミをいれたくなるけど、カラーページに2話載ってるんでした。あとがきが楽しみにされてしまうなんて時雨沢さんも大変ね(笑)そろそろつきたようですよ、ネタが。
 全体的にいつもと変わらず、って感じかな。目次は:ペットの国、ティーの願い、在る男の旅・b、インタビューの国、ホラ吹き達の話、保護の国、電柱の国、こんなところにある国、ティーの一日、歌姫のいる国、在る男の旅・a。「歌姫のいる国」が全体の半分以上を占めているのは普通じゃないか。私は残念ながらその短編があまり好きではなかったので……好きなのは「ペットの国」と「保護の国」。趣味がまるわかりって感じで(笑)皮肉さや残酷なまでのシビアさが好きなんだよ。
 表紙のキノはずいぶん女っぽくなってしまったのね! この腰つき! 昔は男の子かと信じていたほどだったのいなあ。性徴ですね。黒星さんのからイラストの色味が好き。アリソンシリーズではもうちょっと明るめだから、作品によって変えてるんだろうね。
 次は何の仕事するんでしょう。リリアちゃん? 学園キノ続編?笑