Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

あさのあつこ『NO.6 #1』  ★★★

NO.6(ナンバーシックス)#1 あさの あつこ

五十嵐貴久『安政五年の大脱走』  ★★★

安政五年の大脱走 五十嵐 貴久 「皆の言う通りよ」 腕を解いた鮫嶋が履き捨てるようにそう言った。 「済まぬ」 頭を垂れた敬吾の口からつぶやきが漏れた。野呂老人が話を引き取った。 「済まぬでは済まされませぬぞ」声を張り上げる。「さあ桜庭様、この始末…

はな『Oops! ゆっくり英語を好きになる』  ★

Oops! ゆっくり英語を好きになる はな 普通というしかない。日常で使えるフレーズをいくつも紹介してくれて、おおいいんじゃないとは思ったけどね。まあ普通のエッセイだよね。可愛らしい絵が描け、美しいスタイルの個性あるモデル・はなさん。オルビスのイ…

安部公房『砂の女』  ★★★★

砂の女 安部 公房 「助けてくれえ!」 きまり文句!……そう、きまり文句で、結構……死にぎわに、個性なんぞが、何んの役に立つ。型で抜いた駄菓子の生き方でいいから、とにかく生きたいんだ!……いまに、胸まで埋まり、顎まで埋まり、鼻の下すれすれまでやって…

赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』  ★★★

三毛猫ホームズの推理 赤川 次郎 一体こいつはどういうつもりなんだろう。本当に何かを教えようとしているのだろうか? ――ホームズはまた目を閉じてしまった。そうなると、もう何の変哲もない猫である。 「本当におまえも妙な奴だよ。森崎さんじゃないが、そ…

湯本香樹実『夏の庭』  ★★★★

夏の庭―The Friends 湯本 香樹実 死んでもいい、と思えるほどの何かを、いつかぼくはできるのだろうか。たとえやりとげることはできなくても、そんな何かを見つけたいとぼくは思った。そうでなくちゃ、なんのために生きてるんだ。 小学6年の夏、ぼくと山下、…

有栖川有栖『マレー鉄道の謎』  ★★★☆

マレー鉄道の謎 有栖川 有栖 マレー半島を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件! 外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事…

島本理生『リトル・バイ・リトル』  ★

リトル・バイ・リトル 島本 理生 「怖いとき、どうするんですか」 「死んだみたいに目をつむってじっと我慢している。そうすれば、いつかは通りすぎるから」 「なんで怖いって言わないんですか?」 『ナタラージュ』の評判が良いので読んでみたかったのだが…

島田荘司『御手洗潔のダンス』  ★★★

御手洗潔のダンス 島田 荘司 「他者の多数決におもねろうと血道をあげているのがこの国の人々だよ」 「じゃあ君はどうだというんだ?」 「僕は宇宙からつり革のようにぶら下がる真理を常に鼻先に見ている。こいつを右手で掴んで立っているから、このぎゅうぎ…

瀬尾まいこ『優しい音楽』  ★★★★

優しい音楽 瀬尾 まいこ カップラーメンも缶ジュースもとてもおいしかったし、のんびり過ごすのは気持ちよかった。すごく時間を無駄にしているようなのに、とても満たされた気持ちがした。こんな所で何もせずに過ごすなんて、友達ともしないだろうし、一人じ…

若竹七海『依頼人は死んだ』  ★★★★

依頼人は死んだ 若竹 七海 「どんな動機があったにしても、それを聞いたところで、不意の死、平和な日常をぶったぎる死を、納得できるわけなどない。死を納得できる理由なんか、どんなすご腕の探偵にも見つけられっこないもの」(都合のいい地獄) ……『プレ…

あさのあつこ『スポットライトをぼくらに』  ★★

スポットライトをぼくらに あさの あつこ, 狩野 富貴子 「言うわよ。いっちゃん、わたしたちって、すごいスピードで生きてんだよ。のんびり、ゆっくりなんてしてたら、間に合わないんだよ。幼稚園や小学校の時みたいにさ、ほわほわしてたらだめだよ」 ずき!…

森絵都『いつかパラソルの下で』  ★★★★☆

いつかパラソルの下で 森 絵都 この人の本はこの人の本ってだけで私はまいっているのかもしれない。

北村薫『空飛ぶ馬』  ★★☆

空飛ぶ馬 北村 薫 「――どうです、人間というのも捨てたものじゃないでしょう」 その≪人間≫という言葉は、ごくごく真面目な意味で≪男と女のつながり≫といい換えることも出来そうだった。 私は、紅茶茶碗のように暖かい気持ちになって、こくんと首を縦に振った…

角田光代『これからはあるくのだ』  ★★☆

これからはあるくのだ 角田 光代 ついでにもうひとつのなぞを、彼女にぶつけてみた。ねえ、なんでバッグのなかにもうひとつバッグを入れるのさ? 彼女はしばらく考えてから、こう答えた。 それはねえ、女の子だからよ。 なるほど、ふたたび私はうなった。バ…

我孫子武丸『8の殺人』  ★

8の殺人 我孫子 武丸 では、どうやったのか? 上からが駄目なら下からか? 中庭から飛び上がる? いやいや、竹馬でも使えばどうだろう。しかしそんな不安定な状態でボウガンが発射できるだろうか? それにそんなことをして一体何になるというのだ? 島田荘司…

恩田陸『ロミオとロミオは永遠に』  ★★★★☆

SF

ロミオとロミオは永遠に 恩田 陸 先人たちは、自分の子供たちのことなど何も考えてはくれなかった。自分たちさえよければ、自分の孫が野垂れ死にしても平気だったのさ。 分かっているね? 我々は、どこまでも、救いようのないほど愚かなのだ。 この愚かさは…

瀬名秀明『パラサイト・イヴ』  ★★★☆

パラサイト・イヴ 瀬名 秀明 もうすぐだ。彼女は全身を震わせ、利明の声を、表情を、体温を思い浮かべた。 利明のような男が現れるのを待っていた。利明こそ、本当の彼女を理解してくれる男だった。絶対に逃すわけにはいかない。 利明とひとつになるのだ。 …

はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』  ★★★

都会のトム&ソーヤ〈1〉 はやみね かおる 「きみよいっしょなら、なんとかなるような気がするんだ」 ……まったく。 ここまで無条件に信用されると、期待にこたえるしかないじゃないか。 「わかったよ。三十分で謎を解いてくれるんだね、名探偵ホームズ」 「脱…

浅田次郎『プリズンホテル秋』  ★★★★☆

プリズンホテル秋 浅田 次郎 「いえ、たとえどのような罪を犯されても、お客様の人生はお客様おひとりのものでございます。尊い、かけがえのない、誰のものでもない人生でございます。出会いがしらのパトカーなどにからめとられてなるものですか」 「タキシ…

京極夏彦『塗仏の宴』  ★★★☆

塗仏の宴 宴の始末 京極 夏彦 「黙れないな。あんたが催眠術を使うなら、僕の武器は言葉だ。しかし**さん、催眠術など所詮意識下にしか語りかけられない。だがね、言葉と云うのは意識の上にも下にも届くんだ。軽はずみに催眠術など使う奴は――二流だよ」 よ…

北方謙三『遠く空は晴れても』  ★★☆

遠く空は晴れても 北方 謙三 「肉体は、どんなにでかくても二メートル。心は無限だ。わかるか?」 「なんとなく」 「嘘をつけ。おまえの頭でわかるわけがない。いいか、ソルティ。肉体が傷ついても、せいぜい二メートル分だ。それ以上だと、死ぬ。心は、無限…

北村薫『夜の蝉』  ★★☆

夜の蝉 北村 薫 「でも、あの時に、わたし達が同じ血を持った姉妹なんだって、理屈でなく分かったの」 姉の視線は落ちて、玉砂利を見た。 「――あの時にね、あんたは何度も同じ叫び声を上げた」 「どんな?」 「あんた、わたしを呼ぶ時に何ていう?」 ミス研…

山本文緒『ブルーもしくはブルー』  ★★★

ブルーもしくはブルー 山本 文緒 「どうすれば、満たされるんだと思う?」 彼女は額から手を外し、私の目を見てそう質問した。私はただぎこちなく首を傾げる。 「私達、ちゃんと愛されてたのよ。河見君にも牧原君にも。佐々木さんでさえ、結婚した時はあなた…

長野まゆみ『サマー・キャンプ』  ★★

サマー・キャンプ 長野 まゆみ 「……おれが生まれるのを希んだ人間なんて、いるのかな。……ひとりでも確認できれば、今より楽になれそうな木がする。」 よく、わかりませんでした! 耽美な雰囲気とヘテロな男の登場はいつも通り。それにしても最後の温の台詞の…

綾辻行人『時計館の殺人』  ★★★★★

時計館の殺人 綾辻 行人 「お前にとって時間の本質とは何か、と質問された時、僕はいくらか考えあぐねた末、多分に自嘲的な気分でこう答えざるをえない。つまりそれは、時計の動きであると。この機械によって初めて、僕たち現代人は“時間”を明確な形として捉…

島田荘司『御手洗潔の挨拶』  ★★★

御手洗潔の挨拶 島田 荘司 「今は言いたくない。だが今夜、この魂九歳の夜、僕は一人の孤独な魂を、はたして救えたんだろうか? 自分のつまらぬ功名心のため、弄んだだけなんじゃないだろうか?」 み、御手洗がしおらしい台詞を! 頭撫でてあげたくなるね(…