Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

角田光代『これからはあるくのだ』  ★★☆

これからはあるくのだ
これからはあるくのだ
角田 光代
 ついでにもうひとつのなぞを、彼女にぶつけてみた。ねえ、なんでバッグのなかにもうひとつバッグを入れるのさ? 彼女はしばらく考えてから、こう答えた。
 それはねえ、女の子だからよ。
 なるほど、ふたたび私はうなった。バッグのなかからバッグを取り出す女の人は艶っぽいわけである。

 淡々と日常のできごとが綴られているだけなんだけど、不思議と好き。読み始めは、この人どことなくネガティブだよ、と私まで沈んでいってしまいそうだったけれど、海外旅行やら、飲みやら、一体いつ働いているんだい? という生活は羨ましい限りだった。作家ってこんなに自由なの? 彼女未婚? 私も海外旅行沢山行きたいよー。今年はソウルに行く予定ですが、まずは期限切れのパスポートをどうにかしなければいけない。
 四十歳近いのにピンクのワンピースを着て撮影しているところもすごい。しかし顔の部分は丁度ページがおり込まれて(?)いて、どんなに頑張っても半分しか見えない。残念。
 大学のキャンパスのスロープ、私がほぼ毎日登っているあそこで彼女は友達と凧揚げをしたらしい。きっと当時の警備員はもういないだろうけど、凧揚げたらすごい剣幕でまくしたてられるのかなあ。