サンティアーゴ・パハーレス『螺旋』 ★★★★
すごく面白くて読みやすかった。デビュー作に全てが詰まってる、のお手本みたいな話だ。木村榮一氏の翻訳は愛してるんだけど、現代小説を翻訳する際は女性の台詞の言葉遣いを一新してくれたら嬉しい。
- 作者: サンティアーゴパハーレス,木村榮一
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2010/02/27
- メディア: 単行本
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絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても彼を見つけ出せ!」出版社社長に命じられた編集者ダビッドは、その作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』をふと読み始めるのだが…。いったいトマス・マウドとは何者なのか?2つのストーリーが交錯する時、衝撃の事実が明らかになる!驚異のストーリーテラーが放つ、一気読み必至の長編小説。(Amazon)
ラテンアメリカ諸国の小説は頑張って読もうとしているんだけどスペイン本国ってあまり知らないのよね。600ページほどの一段組長編だけど、一段組とあってそこまでのボリュームはないし読み口も軽いので、新しめの(といっても2004年刊だが)スペイン小説を読みたいときに適している。マドリードでも仕事の面接に行くと面接官は残業代を支払わずに働く気があるのかを問うてくると言ってる。悲しいことである。
『キャンバス』を先に読んでから本書に来たのだが、こちらの方が断然好きです。プロットが練り込まれているというのと、ストーリーを語ることに重きをおいているのと、人の良さが前面に出ていて読後感が爽やかでした。おすすめ。