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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北方謙三『いつか海に消え行く』  ★★★

いつか海に消え行く―約束の街〈5〉
いつか海に消え行く―約束の街〈5〉
北方 謙三

「俺は、もしかして一番厄介なタイプの男を同時に二人相手にすることになったのかな」
「心臓に弾を食らえば死ぬ。厄介でもなんでもないじゃないか」

 死んで当然の男だ、と私は自分に言い聞かせた。死ぬことで、なにかがつぐなえる。それなら、死んでもいい。
 死ぬ理由を見つけることに、私は懸命だった。死ぬ理由を、たやすく見つけることができない自分に、戸惑っていた。つぐなえるのだ。しかし、何を、誰に対して。


 ええええ!
 某人のあれやこれやに驚き、川中が出てこなかったことに驚く。タイトルが切ねえよ! 某人はネタバレになるからやめるとして。私はてっきり五巻で出てくるのかと思ってたんですよ……『されど君は微笑む』までおあずけだってさ。坂井~。
 私はただの漁師のはずだった。妻を事故で亡くし、島へ流れてきてからは。あの男、「殺し」から身を退いた薔薇栽培師、山南との出会いが、私の忘れていた何かを目覚めさせた。街に流入する覚醒剤を執拗に阻止しようとする山南、その瞳に映っているもの、それが見たかったのかもしれない。そして私も、もう一度自分に賭けてみたくなった、これ以上失いたくはないものがあるから――。街はふただび静かなる日々に別れを告げ、そして海は残酷なまでにやさしく男たちを誘う。(Amazon
 ブラディ・ドールシリーズがあまりにも私のツボにヒットし、個々の登場人物も濃かったのだが、その影響か約束の街シリーズにはいまいちのめり込めなかった。山南は前巻の田村と混ざり、派崎に至っては何も思い出せない。感想書かなかった自分が悪いけど。ソルティが中心人物ってのはわかるんだけど、いかんせん川中社長のようなカリスマ性が……! 須田さんってどうして今の状態になったんだっけ? でも五巻になってようやく、皆に親しみが湧き始めましたよ。山南さんのせいだと思う。新撰組、好きだし(関係はありません)
 あと、皆の冗談やおふざけに気がつくようになったよ! 木野がソルティを呼ぶ場面は可愛いですね。どんだけ流し読みしていたんだか。
 シリーズものは前の巻に書かれていることを理解していないと、深く読み取れないどころか内容がさっぱりわからん、なんてことになりかねません。私はその一歩手前です。でも頑張る!
 登場人物の年齢差がよくわからない。山南>木野(三か四)てのは書いてあったね。読本出してほしいな。もう完結しているのだろうか。次の巻でまたソルティが語り手になるんじゃないっけ。

 

「おまえが呼んでも、怒るよ、木野」
「そうかい、ソルティ」
「殴り合いをしたいんなら、そう言えよ」
「別に、俺の潜在意識は殴り合いを求めてはいないな、ソルティ」


 最後は「おやすみ、ソルティ」ですからね。木野も勇気あるね。笑
 山南さんがお亡くなりになって残念です……ボートから忽然と消えていた、あの最期はいいけどさ。誰かに殺されるより。強さとしては、山南=水村>ソルティ・波崎>木野、なんでしょうか。水村が最近株をあげています。 

「甘いと言っただろう。プロを相手にする時は、拳銃一挺ぐらいで安心するな」
「俺を、その気にさせるなよ。その気になったら、俺はおまえの背後にいる。どこでなにをしていようがだ。俺をその気にさせた時が、おまえの人生の終わりだ」


 山南語録でした。かっこいー!