Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

米澤穂信『愚者のエンドロール』  ★★☆

愚者のエンドロール
愚者のエンドロール
米澤 穂信

「……お前は、お前にしかできないことがあると思うか?」
 あまりに問いが曖昧だった。里志は首を捻り、慎重に答えを返してきた。
「何でそんなことを訊くのかわからないけど……過去未来に亘って、世界の全ての地域の人間を集めてきて、その中で僕にしかできないことはせいぜい一つだと思う」


 思春期や春爛漫の今、こんなことを考えている人は多いのではなかろうか。何で自分は生きているんだろう、生きている意味はあるんだろうか、とか。私も里志と同じことしかできないや。
「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!(Amazon
 『氷菓』に続く古典部シリーズ第二段。どうしてあの冊子が氷菓という名前になったのか、これっぽっちも覚えていないってどういうことだろう。三冊目『クドリャフカの順番』を間違えて読んだから、古典部の面々はよく覚えていますともさ! 古典部入部&冊子の由来判明→カンヤ祭に向けての準備→カンヤ祭当日、って流れになっているのね。これからの人は是非順番どおり読んでください。
 池袋のデニーズで苺パフェを食べながら、読了。小市民シリーズよりこっちの方が好きだなあ。何だかんだ言って、米澤さんの本は『さよなら妖精』以外読んでいます。不思議だ。やる気のない、能力はある男主人公が基本なのかな。小鳩君は少し違うけど。文章は全て砕けた一人称で書かれているので、かーなーりー読みやすい。疲れた時には最適。でも、すっごくよかったってほどではない。
 あとがきにある、『毒入りチョコレート事件』は読んでないんだなあ。有名だけど。『探偵映画』は読みました。あのノリは嫌いでした(笑)五章のタイトル「味でしょう」がどのような意図を持ってつけられたのか、どなたか教えてください。
 たまにある鋭利な皮肉(真実?)そしてほんのりブラックなラスト。高校生を主人公とした青春モノなのに、読後が爽やかじゃないの。この手の話は嫌いではないです。米澤穂信を好きに変わるかは、S&Rシリーズにかかっている。HPを見る限り読者を大切にしているのだなあと思います。

 

 誰も死なないはずのシナリオだったのねー。女帝、グッジョブ(いい笑顔で)! 一度解決したのに、古典部の面々がホータローに疑問点をぶつけ、ホータローの自身がガラガラと崩れていくところは見もの! ホームズ時代には叙述トリックはなかったのか……。ちゃんと古典を読まなきゃこの先大変だなあ。最後には真実をつきとめられてよかったね!
 冒頭とラストのチャットに登場するあ・た・し♪っていうのはホータロー姉ですよね?
 あ、「中村青」ってのは館シリーズじゃないの! こんなことしていいの?笑