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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件』  ★★★

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
米澤 穂信
 ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど……ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ――。(Amazon

 おお! おお! このいやーな後味、よかったな! 上巻読み終わったときは「……」って感じだったけど、下巻で巻き返してくれたのでよかったです。「小市民じゃないけど小市民を気取るぜ」「俺は頭がいいから色々お見通しなんだぜ」な上から目線スタンスはやっぱり気に障るけど、米澤さんの描く人間関係は苦味があって好きだなあ。基本、腹に一物抱えてるよね。抱えながら、解消される目処があるわけでもなく、一緒にいるんだよね。古典部シリーズも『遠まわりする雛』で好きになったんだわ。
 つうか、小山内さんこえー。今回ようやく怖いなあと思うことができたわ。小鳩くんは尻に敷かれているな(笑)
 上巻だけだと投げたくなるのでセットで読むのをお薦めします。