Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

瀬名秀明『第九の日』  ★★★★

第九の日 (光文社文庫)
第九の日 (光文社文庫)
瀬名 秀明
 イギリスで一人旅をつづけるケンイチが迷い込んだ「永遠の町」は、人間のいないロボットだけの町だった―。なぜ、ぼくたちは、痛みを感じないのか? 心は、神の奇跡なのか? AIとロボティクスの近未来を描いて、瀬名秀明が永遠の命題に挑む、畢生の恋愛科学小説。憧れと驚き、そして歓び。思索の沃野を翔ける「物語」の力が、いま、世界を救う。(Amazon

 デカルトがフランシーヌという名の人形を「私の娘」といってかわいがっていたのを、全て読み終わってから知った私です。……教養ってある種の身体化されたものだから今更身に付かないんじゃない?笑
 それはさておき、面白かった。『デカルトの密室』より分かりやすい(短編だし)ので本としてはこっちの方が好きかもしれない。シリーズ一作目の「メンツェルのチェスプレイヤー」は、ケンイチを知っているからこその驚きが味わえたし(笑)あ、そういうネタだったの! と。
 ただし結構な欝展開ですね。短編集ってシリーズ番外編・裏話みたいなものだと思ってたから、こんなにガッツリ話が動くとは。あと最後の話を読んで、「ぼく」一人称の文章は平易なものだったんだなと気付いた。この「ぼく」好きだから、また続き書いてくれないかなー。もう無理かなー。瀬名さんのラブストーリーを読む気にはあまりなれない。