Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有川浩『図書館内乱』  ★★★★☆

図書館内乱
図書館内乱
有川 浩

 五年前に一回会っただけだけど、
 あたしは今でもあの人に憧れてるし尊敬してるし、あの人が好きです。
 前後の状況からして引っ込みがつかなくなったのは明白だ。
「……かわいそうな顔すんなそこ!」
「あ、ごめんそんな顔になってた?」
「あまつさえ謝るな!」

「読みたいのは今なんだもの。何十年か後の自由のために今ある自由を捨てろとか言えない」


 今回も面白いなあ! シリーズ化してくれてよかったよかった。前作以上にキャラクター小説チックになってきましたけど。ライトノベルだからね! 恋愛小説にカテゴライズしてるけどね!笑
 相も変わらず図書館は四方八方敵だらけ! 山猿ヒロインの両親襲来かと思いきや小さな恋のメロディを 叩き潰さんとする無粋な良化「査問」委員会。 迎え撃つ図書館側にも不穏な動きがありやなしや!? どう打って出る行政戦隊図書レンジャー! いろんな意味でやきもき度絶好調の『図書館戦争』シリーズ第2弾、ここに推参!(Amazon
 山猿ヒロインて……(笑)
 連作短編みたいになってました。前作もだっけ? 前作は一応郁がずっとメインはってたけど、今回はそれぞれメインキャラが違います。多分。最終的に物語は収斂していくので短篇集じゃないけど自分用にメモ。
 両親攪乱作戦:笠原郁は、特殊部隊で日々肉体的に戦っていることを両親に知らせていないのだが、その二人が勤め先の図書館を見学にくることに。切り抜けられるか!?
 恋の障害:ある日、ハンカチを落とした少女を呼び止めようとした郁。高校生の彼女は耳が不自由で補聴器を使っていた。小牧と幼馴染で、長い付き合いがあるようだが……。
 美女の微笑み:図書館利用者に昼を誘われた柴崎。周囲の盛り上がりを見ると断れず、何度か共に食事をすることになった。
 兄と弟:手塚と同室の男が、図書館サイト内で毒舌レビューのページを設けていた。手塚には『図書館未来企画』を立ち上げた有能な兄がいるが……。
 図書館の明日はどっちだ:砂川の共謀者として査問会に引っ張り出された郁。無実の罪で周囲から白い目で見られることになってしまい……。
 んもー早く続きが読みたくて仕方がないなあ! 恋愛自体は結構赤面ものなのに、かわいらしくてかわいらしくて。どこまでもつきつめた思考回路も面白くて。深読み!

 

 君のせいじゃないとか言われてもそんなものは絶対自分のせいだと思う。君のせいじゃないと言われてあたしのせいじゃないなんて思える女はその男のことが好きじゃないのだ。
 そして、相手がその事件に巻き込まれている限り引け目は消えない。更にはその事件が相手の経歴に何らかの瑕を残したら? その瑕を残した原因にされた自分が、一体どのツラ下げて好きですなんて言えるというのか。
「何も言ってないうちから好きな人を諦めなきゃいけなくなるかもしれないのに」(恋の障害)

 人付き合いのコツは周りの誰も信用しないことだと柴崎は本気で思っている。誰かと話すときは基本的に話が漏れることが前提で、漏れる範囲とその範囲に対する相手の影響力を鑑みて開示する情報を斟酌する。そのうえで話をもらされたときのカウンター材料の用意を常に怠らない。大抵はそのカウンター材料が安全弁になって重要な情報の流出は止まる。(美女の微笑み)

「お兄さんにこんなひどいことされてる手塚に、あたしが重ねてひどいことできません。だって、手塚は仲間だから」
 店の入り口でドアベルが鳴った。
「仲間への負い目でなびけなんてひどいこと、お兄さんからだなんて、友達に伝えられません。自分で言ってください。そのほうがまだ手塚は傷つきません」

「自分の部下が信用できないんですか、自分で育てたくせに」
 何か皮肉が来るかなと思ったら、堂上は仏頂面で目を逸らした。
「俺が迎えに来たかったのは俺の勝手だ」
 うわぁ、――ずるい今そんな、(図書館の明日はどっちだ)


 柴崎の論には賛同するおなごが多いのでは? 二十歳までに人を完全に信頼できないと悟る時期がきっとあるはず。私は中学生の時でした。まだ、それは改定されてません(笑)柴崎ほど計算してないけどね。