Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

太宰治『女生徒』  ★★

女生徒

女生徒

 

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「文學界」[1939(昭和14)年]。5月1日の起床から就寝までの少女の一日を描いた話で、少女の心理の移り行く様を丹念に写し取っている。当時、文芸時評を担当していた川端康成は、「「女生徒」のやうな作品に出会へることは、時評家の偶然の幸福なのである」と賛辞を送った。(Amazon

 Kindleでこの短編だけ読んだ。『文豪失格』という漫画内で取り上げられていて面白そうだったからです。ちょうど日本文学を読み直したい気分のときに出会えてよかったです、2巻も期待している。

文豪失格 (リュエルコミックス)

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 女生徒に関しては、漫画内での取り上げられ方の通りの印象でした、太宰は有名どころをちょろっと読んだだけだけどこんなふざけた文体(失礼)も使えるだなんてな。くらくらしました。自分のファンのリアル女子学生の日記を元にして書いたらしいですが、これを編集者に出したのだと思うとすごい、天晴と言いたい。東北のお金持ちの家に生まれ、遊び、自殺未遂や心中を繰り返した男がこれを書いたのかと。すごい。それ以外の感想がないです。

 中身を楽しんだかと言われたら読み進めるのが苦痛だったというほかなく、その意味で星は二つにしたものの、読むべきか読まざるべきかといったら他の作品と彼の生い立ちに目を通した上での必読書であろう。薬キメてたのかな。

 あとわたしは津原泰水という作家が非常に好きなのですが、彼が先日こんなツイートをしていたのを思い出して、太宰、やるなあと思った次第です。「眼鏡は魔法」もすごかったけど、「わたしは、王子さまのいないシンデレラ姫」も相当キてて、彼の文章のユーモア力はあの辺の文豪の中で頭一つ抜けているんじゃないでしょうか。