Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2006-12-13から1日間の記事一覧

万城目学『鴨川ホルモー』  ★★☆

鴨川ホルモー 万城目 学 もはやそこには恥も外聞もなかった。寒さや痛みさえなく、むしろ奇妙な高揚感すら存在した。“冬”の舞は終局へと突き進み、我々はえも言われぬ開放感、充足感に奮えながら、ついにぺらぺらパンツを吉田の空へと旅立たせたのである。 …

米原万理『不実な美女か貞淑な醜女か』  ★★★★

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か 米原 万里 言葉というのは、表現の手段であるだけでなく、思考の手段でもあり、いわば人間の考え方の型を如実に反映するものである。通訳するとき、あるいは翻訳するとき、役者はスピーカーや原文作者の思考の型をも他言語に…

三島由紀夫『仮面の告白』  ★★★★★

仮面の告白 三島 由紀夫 その絵を見た刹那、私の全存在は、或る異教的な歓喜に押しゆるがされた。私の血液は奔騰し、私の器官は憤怒の色をたたえた。この巨大な・張り裂けるばかりになった私の一部は、今までになく私の行使を待って、私の無知をなじり、憤ろ…