Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

麻耶雄嵩『神様ゲーム』  ★★★★

神様ゲーム
神様ゲーム
麻耶 雄嵩

「自分を信じてくれとねだるのは人間の悪い癖だ。まあ社会性を持たせるためにぼくがそういうふうに創ったんだけどね。」


 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランド。執筆陣、かなり豪華よねえ。15人くらいは読んでおきたい。
 さて、麻耶先生の本書はというと……ネット上での評判はものすごい。少年少女には間違っても薦められない、という意見が圧倒的。そして私もそう思う。読了後、ひどい! と近くにいた友達に訴えてしまったくらいに。まあ、それは麻耶作品らしいんだが。カタストロフというの? あれは。『殺戮にいたる病』に続き、再読。一回じゃよくわからないし。ネット上で感想をこれでもかと検索し、ネタバレ掲示板を見つけ、やっと自分なりに納得のいく答えに辿りつく。しかし、答えは果たして一つなのか? 決め付けちゃいけないのか? やっぱり投げたい(笑)
 小学4年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき? それとも何かのゲーム? 数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を? 芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが……。(Amazon
 冒頭、字の大きさやルビの多さに児童向けだなあと。文章もめちゃくちゃ読みやすくなってる。文体も内容も親しみやすい。台詞の最後に句点がついているのも、そんな感じだ。このシリーズ装丁も凝っているのよね……その分値段も張るんだけど。でも欲しいわ。
 そんな風に児童向けに見せかけておきながら、えぐいよ。殺人事件の被害者はあの人だし犯人に至っては、……ああ、ネタバレになってしまう。神様の鈴木君が教えてくれることは、世の中の汚さだったり寿命だったりするし。神様もえぐいぞ。
 殺人が起こったのは、探偵団の秘密基地。憧れたわーこういうの。家の周りの草が茂った空き地とか、基地にできそうな場所を探したな。男の子だったら実際に作ったりするのかな。
 ジェノサイドロボってすごいよ……(笑)

 母に読ませてみた。「この人の本っていつもこういうのなの?」「えぐいっていうかひどいってこと?」「そう」うーむ、結構ひどいですね大抵。読後に割り切れなくて必ず誰かと話し合いたくなるという点が、共通してるかな。

 

  母さん! 母さんが燃えちゃったよ! 読み終えて愕然。父さんが犯人という推理で納得したのに関わらずひっくり返されてしまった。母さんがミチルちゃんとエッチなことを……母さんは同性愛者かつ幼女趣味があったのか。おいおい。父さんが犯人だとしてもひどいのに、母さんかい。
 親友が殺され、犯人は淡い恋心を抱いていた相手で、その共犯者は母さん……可哀相すぎる。芳雄のこの先が不安でなりません。三十六で死んでしまうのかな。それまで精神を病まずに生きていけるのかな。
 そうなると「小さな躯」の母さんは、たらいの下に隠れていたのかしら。四年生の僕ならともかく、いくら小さいとしても可能だったのか? ミチルちゃんが芳雄の父さんに電話したのは意味がなかったのか? 万が一母さんが見つかっても、父さんだったら見逃すとでも踏んでいたのでしょうか。よくわからないなー。神様の鈴木君が語る言葉は真実だとして、ミチルちゃんが犯人ってのも母さんが共犯者ってのも間違いないのだとしたら……ネットを漂っていたら、「犯人は父さんだが母さんを殺すということが間接的な天誅」という意見もみかけました。どうなのかな。読者の判断に委ねられちゃうのかな。夏と冬みたいなもやもやが残ります。誰か解明してくれー。