Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

時雨沢恵一『リリアとトレイズ(2)』  ★★★

リリアとトレイズ〈2〉そして二人は旅行に行った〈下〉
リリアとトレイズ〈2〉そして二人は旅行に行った〈下〉
時雨沢 恵一

「――そうだ。全てがうまくいって終わったら」
「終わったら?」
「ご褒美にキスしてあげるわ」
「いっ――?」


 1巻読んだの、いつですかー……。うっすらとしか覚えていません。二つのカップルの進行具合とか。本筋に全く関係ない。いや、裏に何が働いているのかよりも、いつリリアとトレイズがくっつくのか、って方が大事かも。しかしもっと大事なのは言うまでもなく、前シリーズの二人のラブラブっぷりです!
 リリアは、幼馴染であるトレイズと、夏休みを利用して旅に出る。たまたま乗った遊覧水上飛行で、二人は湖に不時着している飛行機を発見し、助けるために近づく。しかし、相手のパイロットから発砲されてリリア達が乗っている飛行機のパイロットが死んでしまう。理由もわからないまま二人は数機の飛行機に追われることとなる。彼らが知らずに巻き込まれた事件とは――?(カバー折り返し)
 キノでもそうですが、時雨沢さんは哲学や皮肉や裏にあるブラックさを書くのがお上手で。本書の真相は結構ブラックでございました。あんなに若かったあの人達も、しっかりとその真相を知った上で任務をこなしている。それが大人になったってことなのかしら。
 黒星さんの絵が本当にかわいいですねー! 表紙もカラーもモノクロも。キノ1の頃とは大部絵柄は変わってしまったけれど。私はアリソン1の表紙が一番好きかなあ。キノよりアリソンシリーズの方が女の子がかわいいですね。キノはエルメスとシズ様がかわいいですね。かわいいばっかり言ってるけど引き続き言います。
 リリアちゃんが段々かわいく見えてきたよ。トレイズはヘタレっぷりも見れて面白かった。何でもそつなくこなす人の、唯一の欠点。それがあれなら可愛さも増すってもんです。「情けない」と「いとしい」はすごく似てるとあの山田詠美も言ってたじゃないか! 頑張れトレイズ! リリアちゃんよりトレイズのが可愛いのは仕方ない。
 この本にはサイドストーリーとして『遺書』『メグとリリア』も入ってます。前者はアリソン→ヴィルに宛てたもの。これが涙なしには読めません。アリソンのまっすぐさが眩しい。後者は学校に通うリリアちゃんと、スー・ベー・イルから来たメグのお話。んでもって後書きはとんでもないところにありました。やってくれるぜ、シグちゃん。フォントもちゃんと違うのか。

 

 ペンダントはやっぱり、結婚する時に渡すよってことですよねー。きゃー! 結婚式、ヴィルはバージンロードを並んで歩けないのかな……アリソンとヴィルみたいに、二人も教会でキスしてくればいいよ。『遺書』読んでアリソン死んだの!? と思いきや……。ヴィルもアリソンも、一回は死んだ風に見せかけられてんのねえ。
 本編の真相の方を、忘れないように記しておきます。モルソーはスー・ベー・イルのスパイで、ロクシエに潜伏し、孤児院を運営していた。金持ちに子供を売りさばき、弱みを握るのが目的。全てが嫌になったのか、モルソーは子供たちを飛行船事故に見せかけて殺すつもりだったのだが(両国は都合がいいので傍観)、リリアとトレイズ(王子!)が乗り込んでしまったため、墜落は阻止されたのでありました。モルソーはヴィルとアリソンによって、殺されました。
 読者としては彼らが殺人すらやってのけてしまう、というのが多少ショックですよね。んんん、でもそれが正義なら仕方ないんでしょう。私が彼らを好きなことに変わりはありません!
 158ページあたりのヴィルとアリソンのやりとりの意味がわからない。誰か教えてっ……!