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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

古川日出男『ロックンロール七部作』  ★★★★☆

ロックンロール七部作
ロックンロール七部作
古川 日出男
 何が何だかわからないけどとにかくすごい。ロックンロールに興味の欠片もないのに、泣きたくなったりもした。文章に力があって、ストーリーにも力があって、古川日出男はすごいなあ……と思った。あらすじを書くなんて野暮なことはしません。読めばわかるから。
 ロックでポップな、新たなる20世紀神話。“あたし”が語るのはロックンロールの誕生と隆盛。爆発的に広がるロックを追いかけつつ、物語は20世紀という時間、七大陸という空間を呑み込んでゆく。壮大なヴィジョンで描き直す新・20世紀史。(Amazon
 『ベルカ、吠えないのか』に似ている。でもベルカより読みやすかったし、ノリやすかった。七部作に分かれているからかもしれない。これを長編で一気にやられたら……それを成功させることができるのが古川さんですが。
 古川日出男って何考えてるんだろうなあ。どうやればこんな話が書けるんだ? 登場人物の名前、日本人のものだけでも熊吉=幸運な熊、英子=優秀なガール、だからね。無理でしょ。こんな話を書くの、他の人には(もし古川日出男みたいな作家を見つけたら是非教えてください)。大学でやってたトークショー、行っておくんだったなあ……。何を喋るのか、口調は、見ておけばよかったぜ。畜生。
 壮大って言葉が似合いすぎるなあ。世界を駆け巡って、20世紀を駆け巡って、地球は丸いんだとか全ては繋がっているんだとか、ギター一本背負って旅に出たくなっちゃうよね。クラシックバージョンも描いてくれればいいのに(笑)わはは。