赤い竪琴 津原 泰水 俘囚のように、私はいわれるがまま動いた。夜の硝子に映った私と竪琴は、記憶のなかの残像のように、輪郭ばかり鮮やかだった。暗い鏡面は私の指と絃の衝突と別離を、ソラシドレミファソラシドレミを、二倍に拡げ、響かせた。脚がふるえた…
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