Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』  ★★★★

青年のための読書クラブ
青年のための読書クラブ
桜庭 一樹
 東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。(Amazon

 これはっ……ツボをついてくるぞ……! 良家の子女が通う女子校、その中の王子様、エス、シスター、そして読書クラブ……言葉遣いはお嬢様、一人称が「ぼく」だったりするんだぜ。桜庭一樹は我々オタクの乙女心をこれでもかとくすぐってくれますね。負けたよ。正直作家自体にはそれほどいい印象を抱いていなかったんだ、でも負けたよ。好きだよ。女子校モノが好きな人にはお薦めだ。
 この人は本当に演出が上手。演出めいた語り口が上手。女の子を「作る」ことにかけては素晴らしいと思うよ。個人的に男の子を作る作家ベストは恩田陸(笑)趣味です!
 全部で五章で、それぞれの時代の読書クラブ員が匿名でクラブ誌に記録しているという形式で、聖マリアナ学園創設秘話から2019年に激変を迎えるまでが収められている。共闘やバブル期、桜庭さん好きよね。ジュリアナなんて言葉、最近の本では滅多にお目にかかれない。単に古いものとしてではなく、輝いていたような描写がされてるので抵抗はない。
 注目すべきは全校生徒の投票で決められる王子でしょう。王子だよ。擬似恋愛だよ。楽しそうじゃない! 皆サムワンを求めてるんだよ! くそー身を置きたいとは思わないけどガンガン萌えるのでこういう話をもっと読みたい。恋愛未満の女子校男子校モノが大好きです!
 漫画も出ているようで。Amazonで試し読みができたよ。