Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』  ★★★

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂 幸太郎
 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。(Amazon

 友達と集まる際の課題本になったので四年ぶりに再読。懐かしかった!
 大体は覚えていたのでドッキリはなかったけど、思ってたより好ましかった。伊坂作品の中でもイマイチな記憶があったもんで。いつも通りなんだけど、好きになれないっていうか……チルドレン並みのハッピーエンドが好きだからさ。河崎もドルジも、琴美はそれほどではないにしろ(笑)、好きだったんだもの。
 現在と過去、各章の終わりが対応していることに二度目で気付く。こんだけあからさまなのに気付かなかったって私の目は節穴か。
 伊坂さん初期は特に、善悪の区別がはっきりしてて分かりやすいね。嫌なやつはとことんそうなの。痛い目に遭ってもちっとも同情できないように描かれてる。やってることの善し悪しではなくて、むしろ法的に悪いことは積極的にやらせてるんだけど(政治家が間違ってるらしいのでw)、この場合は人間的な部分ね。
 前は単行本、今回は文庫。このフォント、読点がやや強すぎる気がするんだけど(笑)すごい目立つ。文字自体はかなり好きな方なんだけどな。