Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

クリストファー・プリースト『限りなき夏』  ★★☆

限りなき夏 (未来の文学)
限りなき夏 (未来の文学)
クリストファー プリースト,Christopher Priest,古沢 嘉通
 ふたりの若い恋人たちが囚われの身になった夏の日は、長く伸ばされた一瞬となった―過去と未来を彷徨する人間たちの愛と焦燥をロマンティックかつ技巧的に綴る2篇のマスターピース「限りなき夏」「青ざめた逍遥」、狂騒にみちた終末のビジョンを描くデビュー作「逃走」、混乱するアイデンティティをめぐる初期の代表作「リアルタイム・ワールド」、そして数千年にわたって戦争状態がつづく世界“夢幻群島(ドリーム・アーキペラゴ)”を舞台にした美とエロスと眩惑と恐怖にみちた物語4篇(「赤道の時」「火葬」「奇跡の石塚」「ディスチャージ」)。“物語の魔術師”プリーストの洗練された流麗な語りが堪能できる全8篇+書き下ろし序文を収録。(Amazon

 面白かったとはいえ、限りなく読みにくかったのは翻訳のせいですか? 私にはとても「平易で明晰な文体」には見えなかったんだが……。それでも性的な場面になると俄然興奮しましたが(笑)、他の著作もこの人の翻訳ならちょっと敬遠してしまいそう。ウィリスと並んでわかりやすいらしいのに残念だ。
 よくわからないながらも「火葬」がダントツに面白かったと思います。ラストはあまりの気持ち悪さに顔をしかめたよ! あああ取り返しがつかない……。
 SFシーンについてのあとがきは面白かったな。SF翻訳者たちの名前とか、見覚えがある人がちらほら。ふんふん、そういう系譜があるのねえ。