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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

桜庭一樹『ファミリーポートレイト』  ★★★★☆

ファミリーポートレイト
ファミリーポートレイト
桜庭 一樹
 ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。
 怒涛のごとき展開と濃密な物語に圧倒されながらページを繰る手が止まらない第一部「旅」、紙上の文字がいまにも叫び出しそうな言葉の力に溢れ、この作品を同時代に読めた喜びに震える第二部「セルフポートレイト」――二部構成となる本書は、進化と深化が止まらないモンスター作家・桜庭一樹の新たな金字塔となった!  面白くて、どこまでも凄い!!!(Amazon

「面白くて、どこまでも凄い」という文句がぴったりという事実がほんと凄い。これは面白かった。
 桜庭さんの本にはべったりとしたフィクション感がぷんぷん漂っていて、私はそれを現実と重ねたりはできず、きっぱりはっきりフィクションなんだなあと思って読んでいる。台詞回しも正にフィクション、エンターテイメントで、とにかくパワーがすさまじい。『赤朽葉家の伝説』も相当だったけど、これも負けていない。怖いわ。そういえば家族をテーマにした本が多いね。
 コマコの舌ったらずな一人称もよかった。一旦入ると読みやすかった。コマコの作り話は長すぎて流し読みしてしまったものの、他は本当に読みやすかった。ああいう演出、うまくいってると思うな。
 最後は涙が出ました。感動とは違うんだけども。愛に圧倒されたのかな。