Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2007-01-01から1年間の記事一覧

三浦しをん『きみはポラリス』  ★★★★☆

きみはポラリス 三浦 しをん 「俺の考える本物のロハスはこうだ」 と俊明が言った。「死期を悟った時点で富士山頂に上り、ご来光とともに切腹する」 「な、なんで」 「なんででもだ。そして己れの内臓をつかみだし、『有機栽培の礎とならんことを……!』と祈…

武田龍夫『物語 北欧の歴史』 ★★★

物語 北欧の歴史―モデル国家の生成 (中公新書) 武田 龍夫 物語、と銘打たれているだけあって、なかなかドラマチックな描き方をしていた。ヘタリア効果も相まって国たちにすごい感情移入(笑)特に、ノルウェー・フィンランドが長い間一緒にいたデンマーク・…

島崎藤村『破戒』  ★★★★

破戒 (岩波文庫) 島崎 藤村 「下等人種?」 「卑しい根性を持って、いやにひがんだようなことばかり言うもの、下等人種じゃなくて君、なんだろう。へたに社会へでしゃばろうなんて、そんな思想を起こすのは、第一大間違いさ。獣皮いじりでもして、神妙に引っ…

浅田次郎『月島慕情』  ★★★★

月島慕情 浅田 次郎 みんな、一緒に食べよう。少し冷めてしまったけれど、蜥蜴や蛆虫や、戦友の肉よりもずっとうまいぞ。そして腹が一杯になったら、今夜のうちに敵陣に斬りこんで、兵隊らしく死のうじゃないか。兵隊らしく、男らしく、人間らしく。(雪鰻)…

川端康成『伊豆の踊子』  ★★★★

伊豆の踊子・禽獣 (角川文庫) 川端 康成 この美しく光る黒眼がちの大きい眼は踊子のいちばん美しい持ちものだった。二重瞼の線が言いようなく綺麗だった。それから彼女は花のように笑うのだった。花のように笑うと言う言葉が彼女にはほんとうだった。(伊豆…

三浦しをん『シュミじゃないんだ』  ★★★★☆

シュミじゃないんだ 三浦 しをん しをんちゃんのエッセイやら書評にはほんと参っちゃう。一生ついていきます姉さん! って思う。これからも素敵な小説とはっちゃけたエッセイを書きつづけてください! 追いかけるから! ボーイズラブ漫画にまみれた日常……。…

紅玉いづき「ミミズクと夜の王」  ★★★☆

ミミズクと夜の王 紅玉 いづき 「なんでだろう。わかんない。たくさん嫌だーって思ったよ。痛いのやだし、苦しいの嫌だったよ。誰かが手を差し伸べてくれる夢、何度も見たあ。んでも、なんでだろ」 思えば本当に不思議でたまらない、というようにミミズクは…

バートン版『千夜一夜物語 1』  ★★★☆

千夜一夜物語〈第1〉―バートン版 (1966年) 大場 正史 「栄えある神、偉大な神、アラーのほかに主権なく、権力なし。アラーの力をかりて、女の邪心と手管をのがれよう。まことに、アラーの力におよぶものとてない。われわれよりずっと力のある魔神を、あの不…

夏目漱石『夢十夜』  ★★★★☆

夢十夜 他二篇 夏目 漱石 「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」 自分は黙って首肯た。女は静かな調子…

フランツ・カフカ『変身』  ★★☆

変身 フランツ カフカ, Franz Kafka, 中井 正文 「あれがグレゴールだという考え方を、まずおすてにならなくちゃいけないのよ。あたしたちが長い間そう信じてきたことが、あたしたちの不幸の原因だったんだわ。あれが、いったいどうして、グレゴールなんかで…

本多孝好『正義のミカタ』  ★★★★

正義のミカタ―I’m a loser 本多 孝好 「豊かさはそこまで行き着いちゃったのさ。自分は満足している。そのツギにはどんな欲求が生まれるか。他人の満足を否定したくなるんだよ。お前はそんなところで満足しているのか。俺はもっと上にいるぞ。その感覚がその…

ドリトル先生シリーズが

ドリトル先生アフリカゆき ヒュー・ロフティング, 井伏 鱒二 英語版だと一巻以外絶版になっているらしいですよ。差別的表現がみうけられるせいかもしれない、とか。 ぶあっかやろおおおおお!!! 頭がおかしいんでしょうかね。世界の名作に何てことしやがる…

草野たき『透きとおった糸をのばして』  ★★★★

透きとおった糸をのばして 草野 たき 「世の中も時計も地球も動いてて、なのにあたしだけが動いてないなんて、死人みたいなもんだよ。あのブリキの人形といっしょ。それに、動かなかったら、先に進めないでしょ。それがどうかしたの?」 るう子ちゃんは言っ…

笹生陽子『ぼくらのサイテーの夏』  ★★★

ぼくらのサイテーの夏 笹生 陽子, やまだ ないと やまだないとってどこかで聞いたことある名前だと思ったら、「西荻夫婦」の人だったのか! 未読ですけど。カバー絵がツボでした。ナマ足! 一学期の終業式の日、ぼくは謎の同級生、栗田に「階段落ち」の勝負…

ゲーテ『若きウェルテルの悩み』  ★★★☆

若きウェルテルの悩み ゲーテ, Johann Wolfgang Von Goete, 竹山 道雄 ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェル…

ゲルト・ギーゲレンツァー『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』  ★★★

数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために ゲルト ギーゲレンツァー, Gerd Gigerenzer, 吉田 利子 私たちは日ごろ、統計数字に囲まれて暮らしている。降水確率が0%なら傘は要らないし、ある薬で死亡率が50%も減るなら飲ま…

時雨沢恵一『リリアとトレイズ(6)』  ★★

リリアとトレイズ 6 (6) 時雨沢 恵一 「わたくしの命を守るために――、外にいるという者達を皆殺しにするというのですか?」 「御意」 トラヴァス少佐が、うつむいたまま短く鋭く返した。 「それは、あなたやあなたの部下の命も守ることになるのですか?」 「…

トルストイ『クロイツェル・ソナタ/悪魔』  ★★★★☆

クロイツェル・ソナタ/悪魔 トルストイ, 原 卓也 「女性の無権利状態とは、投票ができないとか、裁判官になれないとかいうことじゃないんです。そんな仕事にたずさわるのは、何の権利にもなりませんからね。そうではなく、性関係において男と対等になり、自…

田中芳樹『銀河英雄伝説(10)』  ★★★★☆

SF

銀河英雄伝説〈10〉落日篇 田中 芳樹 本編読了! これぞエンターテイメント! とても楽しませてもらいました。面白かった! よく泣いた! 特に七巻以降は面白すぎて一気に読んだ。同時に悲しみにも打ち震えた。 新帝国暦003年、皇帝ラインハルトは、ヒルデガ…

スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学』  ★★★★

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー, 望月 衛 経済学なんて知らなくても楽しめる、全米100万部超のベストセラー アメリカに経済学ブームを巻き起こした新しい経済学の書、待望の翻訳。 不動産…

ローワン・フーバー『脳とセックスの生物学』  ★★★★☆

脳とセックスの生物学 ローワン・フーバー, 調所 あきら カタツムリは両性具有、つまりひとつの身体にオスメス両方の性機能を持っている。魚類のなかには、成長のある時点ではオスとなり、別の時点ではメスになるものがあるけれど、カタツムリはそれとは異な…

田中芳樹『銀河英雄伝説(9)』  ★★★★★

SF

銀河英雄伝説〈9〉回天篇 田中 芳樹 何という盛り上がり。八巻に続いて泣かされてしまった。次で完結、早く読みたいような勿体無いからとっておきたいような。まずは借りに行かなきゃなんだけど。

田中芳樹『銀河英雄伝説(8)』  ★★★★☆

SF

銀河英雄伝説〈8〉乱離篇 田中 芳樹 フェザーンでの不幸な事件に関して、ミッターマイヤーの感想は痛烈をきわめた。 「あのオーベルシュタインは死ななかったか。奴が人間であると証明する、せっかくの好機であったのにな。まあルッツが軽傷であったのはせめ…

田中芳樹『銀河英雄伝説(7)』  ★★★☆

SF

銀河英雄伝説〈7〉怒濤篇 田中 芳樹 「おれにはまともな家庭など持つ意志もないし、その資格もない。誰よりも卿はそのことを知っているはずではないか」 「さあ、そんなことは知らぬ」 ミッターマイヤーが突き放したように応じると、金銀妖瞳の名将は彼らし…

マーク・ジュリー、ダン・ジュリー『おじいちゃん』  ★★★★☆

おじいちゃん Mark Jury, Dan Jury, 重兼 裕子, マーク ジュリー, ダン ジュリー うちのおじいちゃんも二人とも痴呆になってしまって、片方は喋ることも出来なくなってしまった。両方とも寝たきり。本人は果たして生きたいと思ってるのかなあ。 もの忘れがひ…

グレッグ・イーガン『しあわせの理由』  ★★★★

SF

しあわせの理由 グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真 というわけで……あたしは死も踏みにじったし、母性も踏みにじった。ざまあみろだ。生け贄が必要だというなら、感情の奴隷監督であるそのふたつ以上にふさわしい犠牲者がいるだろうか? それに、そうす…

アシュリー・ヘギ『アシュリー』  ★★★★

アシュリー ~All About Ashley~ アシュリー・ヘギ 「おい見てみろよ。エイリアンがいる」って言われたり、ジロジロ見られたりすることはあるけど、わたしはそんなこと気にしないわ。 だって、彼らがわたしをからかおうと思ってやっているんじゃないことはわ…

桐生操『世界禁断愛大全』  ★★☆

世界禁断愛大全―「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛 禁断の愛……。なんと甘美な響きだろう。禁じられているからこそ、人はなおさら燃える。なおさらそれを手に入れたくなる。自分が危険な岐路に立っていることは重々承知ながら、その愛に自分を、自分の未来を…

東浩紀『動物化するポストモダン』  ★★★

動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 東 浩紀 つまりオタク系の消費者たちは、ポストモダンの二層構造にきわめて敏感であり、作品というシュミラークルが宿る表層と設定と言うデータベースが宿る深層を明確に区別しているのだ。 小さな物語は大き…

クラウス・コルドン『ベルリン1933』  ★★★★

ベルリン1933 クラウス コルドン, Klaus Kordon, 酒寄 進一 ナチスが政権を握ってしまったー!