Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ダ・ヴィンチ編集部/編『秘密。 私と私の間の十二話』  ★★☆

秘密。―私と私のあいだの十二話
秘密。―私と私のあいだの十二話
ダヴィンチ編集部
「互いに一つずつ願いを叶え合いませんか」
「願い?」
「さしあたり僕は君の電話番号を知りたい」(森絵都

『「毎晩、おぬしのことを夢に見る。これほどだれかを愛しいと思うのははじめてだ」』(三浦しをん

 豪華執筆陣! おいしすぎる! しかし発刊から大分経って読みました。知ってたんだけどね、この本の存在は。写真が多いとの苦情を耳にしましたし。写真よりも文章が欲しいというのはもっとも。全てがAサイドとBサイドに分かれていて、二つの視点から小話が構成されている。ニヤリとしたり、ほろりとしたり。予想以上に一つ一つが短くて、あらすじを書くわけにもいかないのでひと言ずつコメントを。
 吉田修一「ご不在票―OUT-SIDE―」「ご不在票―IN-SIDE―」ひー悲しい。生まれかわりを信じておきたい。
 森絵都「彼女の彼の特別な日」「彼の彼女の特別な日」森絵都もいた! もうヤングアダルトは書いてくれないのかしら。素敵な恋愛の始まり方だと思います。
 佐藤正午「ニラタマA」「ニラタマB」うまそう。
 有栖川有栖「震度四の秘密――男」「震度四の秘密――女」有栖川の恋愛! 『幽霊刑事』は泣けるそうで。火村シリーズしか読んでいない私。女が一枚上手、ということか。
 小川洋子「電話アーティストの甥」「電話アーティストの恋人」電話アーティストの作品の創り方がすごい。
 篠田節子「別荘地の犬 A―side」「別荘地の犬 B―side」犬が幸せなら言うことなし。
 唯川恵「ユキ」「ヒロコ」女にとって容姿とは。現実と夢の中、私は現実を取りたいなあ。
 堀江敏幸「黒電話――A」「黒電話――B」『雪沼とその周辺』しか読んだことない。彼の微妙な三人称が好きになれない。
 北村薫「百合子姫」「怪奇毒吐き女」これぞ裏表って感じだね! この手のものはベタながら好き。
 伊坂幸太郎「ライフ システムエンジニア編」「ライフ ミッドフィルダー編」いーさーか! 『魔王』が早く読みたいな! ああ、やっぱり文章のきれいな雰囲気に惚れ惚れ。
 三浦しをん「お江戸に咲いた灼熱の花」「ダーリンは演技派」評判がとてもよかったこのお話。笑い声をぶわっはっはっと書いてしまう、こういうノリは彼女ならでは! 人気商売も大変ね。
 安部和重「監視者/私」「被監視者/僕」最初の硬い内容はああ繋がっていくのか。でも怖いだろ、あれは。
 軽い読み物としてはいいけれど、やっぱりがっつり読みたいよな! 皆さんの自筆の名前はサインなのかな。三浦しをんは遊んでみたのかな。あんなめんどくさいもの、いちいち書いていられないだろうし(笑)