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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

麻耶雄嵩『まほろ市の殺人 秋 闇雲A子と憂鬱刑事』  ★★★

まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事
まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事
麻耶 雄嵩

「あなた、慰めるときにちゃんと相手の目を見てる? そうでなければ誠意も何も伝わらないわよ」
「いや、見てるつもりだけど……」
 天城は口ごもった。思わず俯く。自分が責められている、そんな視線に耐えられなくなったからだ。
「あなた、相手の目を見ないと感じ取れないこともあるのよ」


 麻耶コンプリート! アンソロジーや未収録のものは抜かしてですけど。間に合ってよかった。
 いや……えぐいな(笑)これは『神様ゲーム』と同じ方向性みたい。私が好きな方。麻耶には大雑把に言うと、読後放り出したくなる長編・わりと常識的しかしコンビの関係性は非常識な短編・ひーえぐいぞこれって話の三つがあると思う。勝手に分けた。いや、どれも確かにえぐいけど前者二つは主人公や語り手に直接降りかかってくるものではない(烏有はおいておこう)から……ってかシリーズかそうでないか、長編か短編かで方向性が決まるんですね。『あいにくの雨で』は例外か。
 真幌市を舞台にして、春・夏・秋・冬と四冊あるんだね。執筆陣は倉知・我孫子・麻耶・有栖川。おおー。舞台が同じってだけで話が繋がっていないから助かりました。全部なんて読んでる暇ない。明日が講演会なのに借りたのは今日。ついでにサインもらう為の本も買っていない(だって普通の書店には麻耶おいてないんだもん! ノベルスじゃなきゃ嫌だって文庫を避けるからだけど)。ギリギリの生活はそろそろ終わりにしたい。
 地の文がわりと口語的で翼なんかと比べると格段にとっつきやすいけど、どこか読みにくいんだよなあ麻耶って。するすると頭に入ってこないのは集中力が足りないせいか。

 

 人を人偏に見立て、右に旁となるものをおいていったのか……なんつー思い付きだ。真幌キラーは耿子。右耳に火をつける署名の仕方。憂はうすうす感づいていて、最後は自分が殺されるのではと思っている。でもそのままにしておく。おいおいちょっと待てよ! どんな夫婦だよ! それを言っちゃおしまいなんですけどね(笑)
 この作品で絶対神的な位置にいるのは誰なのか。怪盗ビーチャム(名前の由来は一体)? それとも耿子?