Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

道尾秀介『向日葵の咲かない夏』  ★★★☆

向日葵の咲かない夏
向日葵の咲かない夏
道尾 秀介

「ミチオ君も、みんなと同じだったんだね」
 ――そのとき、僕を襲った恐怖。
 自分がやっている、そのこと自体が、僕に与えた恐怖。自分自身に対する恐ろしさ。

「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。そして、その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」


 怖すぎるwww 他の作品もずっとこの調子だったら読みたくないくらいだ。ミステリ作家じゃないじゃんw ミステリはしてるけど私にとってはホラーだよ。でも一ページ読んだらあとは終わりまで止まらない。わざとらしく思わせぶりな描写入れるんだもの。「そのときはまだ」系の。見届けないと終われないじゃないか。
 明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。――僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。(Amazon
 全体的に狂ってますよ。人間の狂気って怖ろしい。この後味の悪さ、嫌いじゃないですけどね。麻耶と殊能のミステリーランドに通じるところがあるな。

 

 主人公病み過ぎワロタw S君が蜘蛛なだけじゃなくミカ=蜥蜴、トコお婆さん=ネコ、スミダさん=百合の花だったなんてwww 全てが一人芝居。脳内ごっこ。お爺さんじゃないけど「きみは、いったい何を――」って言いたくなるよ。お爺さんまで殺して、両親も死んで何らかの生き物に……何という鬱展開……。
 一番怖ろしいのはあの子だったのか。ミチオめ。笑いでもしなけりゃ乗り越えられない。怖いよー。
 でも『死んでくれない?』という言葉だけで人が死ぬだなんてw