Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

2010-01-01から1年間の記事一覧

P.G.ウッドハウス『がんばれ、ジーヴス』

がんばれ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション) P.G. ウッドハウス,森村 たまき “あの男がドライマティーニ以外に何かを深く愛したことがあるとは思いません”こうまで腐されたバーティーの今回の運命は?爆笑短篇3作も収録した、シリーズ第11弾。(Amazon…

藤原伊織『遊戯』  ★★★

遊戯 藤原 伊織 「現実とネットの関係は、銃を撃つのに似ている」。ネットの対戦ゲームで知り合った本間とみのり。初対面のその日、本間が打ち明けたのは、子どもの頃の忌まわしい記憶と父の遺した拳銃のことだった。二人を監視する自転車に乗った男。そして…

北原みのり『フェミの嫌われ方』  ★★★★

フェミの嫌われ方 北原 みのり 私のオンナを、あなたのオンナを、知りたくなった。オンナの共通項…があるとしたら、それは何なのかを、知りたいと感じた。この本は、私(著者)が怒ったり、喜んだり、悲しんだり、嬉しがったりしながら、オンナのことを考えな…

堀江敏幸『未見坂』  ★☆

未見坂 堀江 敏幸 母さんは、もう家を出ただろうか――。父が去ったあとの母と子の暮らし。あずけられた祖母の家で、あたりを薄く照らしていた小さな電球。子ども時代から三十数年、兄妹のように年を重ねてきた男女の、近いとも遠いとも計りかねる距離。大人の…

津原泰水『たまさか人形堂物語』  ★★★★☆

たまさか人形堂物語 津原 泰水 何度目かは知らぬ。三か四じゃないかな。 冨永くんは素敵男子すぎるだろう……そりゃ人形も売れるよ。コレクターに対してちょっとムキになっちゃうとこ含めて素晴らしいよ。この話は(も)キャラが好きすぎるので津原さん早く続…

エラリイ・クイーン編『シャーロック・ホームズの災難』上  ★★★★

シャーロック・ホームズの災難 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 2‐38)) エラリイ・クイーン,中川 裕朗,乾 信一郎 幼き日に出会った一人の英雄、シャーロック・ホームズが、後年のエラリイ・クイーンを作り上げたと言っても過言ではない。アンソロジストと…

森絵都『架空の球を追う』  ★☆

架空の球を追う 森 絵都 やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微…

ジョージ・R・R・マーティン『洋梨形の男』  ★★★★☆

洋梨形の男 (奇想コレクション) ジョージ・R・R・マーティン,中村 融 都会に潜む“洋梨形の男”の恐怖を描いた傑作ホラーの表題作をはじめ、身勝手な男が痩身願望の果てに“猿”に取り憑かれる「モンキー療法」、変わり果てた昔の友とのおぞましい再会譚「思い…

ロイ・ウォリス編『排除される知』

On the Margin of Science: The Social Construction of Rejected Knowledge Roy Wallis 翻訳はあるけど絶版になってしまったためAmazonにはないみたい。疑似科学についての論文集だからと教えられて借りたらしょっぱなから創造論論争取り扱っててラッキー。…

時雨沢恵一『学園キノ』3  ★★

学園キノ〈3〉 (電撃文庫) 黒星 紅白 もうココまで来たら、誰も彼(←誰?)を止められない!?これは、謎の正義の味方に変身する腰にモデルガンを下げてちょっと大飯喰らいなだけの普通の女子高生・木乃と、人語を喋るストラップのエルメスが繰り広げる、硝煙反応…

クリストファー・プリースト『奇術師』  ★★★★

SF

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT) 古沢 嘉通 北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初…

伊藤計劃『ハーモニー』  ★★★☆

SF

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 伊藤 計劃 「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」―御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実…

山本弘『MM9』  ★★★

SF

MM9 山本 弘 地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。多種多様な怪獣た…

森奈津子『耽美なわしら』下  ★★★★

耽美なわしら 完全版(下) (Book of dreams) 森 奈津子 愛原ちさとこと千里の書く少女小説を愛しながら、本人が能天気な男であることを許せず、危険な妄想を膨らませていく彩子。いっぽう千里は、ある誤解から志木の恋人であると宣言してしまう。「世界一美し…

森奈津子『耽美なわしら』上  ★★★

耽美なわしら 完全版(上) (Book of dreams) 森 奈津子 ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、ノンセクシュアルの作家・漫画家が繰り広げるちょっと際どいドタバタ恋愛コメディの名作。角川書店より1996年、97年に刊行されたものに単行本未収録作品を加え、上…

伊藤計劃『虐殺器官』  ★★★

SF

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 伊藤 計劃 9・11以降、激化の一途をたどる“テロとの戦い”は、サラエボが手製の核爆弾によって消滅した日を境に転機を迎えた。先進資本主義諸国は個人情報認証による厳格な管理体制を構築、社会からテロを一掃…

パウロ・コエーリョ『ベロニカは死ぬことにした』  ★★☆

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫) Paulo Coelho,江口 研一 ベロニカは全てを手にしていた。若さと美しさ、素敵なボーイフレンドたち、堅実な仕事、そして愛情溢れる家族。でも彼女は幸せではなかった。何かが欠けていた。ある朝、ベロニカは死ぬことに決…

時雨沢恵一『キノの旅』12  ★☆

キノの旅〈12〉the Beautiful World (電撃文庫) 黒星 紅白 そして、すぐに、キノとエルメスは大きな病院の前にさしかかった。玄関ドアの前に、数人の看護婦が見送りをするために並んでいた。さらに、一台の黒塗りの車が道に止まっていて、運転手がそのドアを…

ロベルト・ボラーニョ『通話』  ★★★★☆

通話 (EXLIBRIS) ロベルト ボラーニョ,Roberto Bolano,松本 健二 『通話』―スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。『…

ガルシア・マルケス『ある遭難者の物語』  ★★★☆

ある遭難者の物語 (叢書 アンデスの風) 1955年2月のある日,荒天下のカリブ海で、コロンビア海軍の駆逐艦から数名の水兵が海に落ちた。全員が絶望視されていたにもかかわらず,10日後、1人の水兵が瀕死の状態で母国に漂着した。太陽に焼かれ、鮫と闘い、友人の…

テッド・チャン『あなたの人生の物語』  ★★★★

SF

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) テッド・チャン,浅倉 久志・他 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく……ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、…

ガルシア・マルケス『コレラ時代の愛』  ★★★★☆

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985)) 木村 榮一 二度目。二度目の後半にして、フロンティーノじゃなくフロレンティーノだということに気付いた……ずっとフロンティーノ・アリーサだと思ってた……いい話よね。マルケスの描く老人はいいね。

ガルシア・マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』  ★★★★★

わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004)) ガブリエル・ガルシア=マルケス,木村 榮一 度目。全身にキスするところは本当にエロくて大好きなんだけど、これは改正案が通ったら規制されてしまうのかしら?笑 希望と愛に満ち満ちたラスト…

トマス・M・ディッシュ『歌の翼に』  ★★★★

SF

歌の翼に(未来の文学) 友枝康子 歌をうたうことによって肉体から精神を解き放つこと、それが「飛翔」である。宗教と経済に支配され食料危機が慢性化した近未来アメリカにおいて禁止されている「飛翔」の魅力にとりつかれた少年ダニエルは、ある日突然アイオ…

山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』  ★★☆

SF

まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション) 山本 弘 時間的同一性交換によって6カ月前の世界へ向かった俺が見たのは、すべてが燃えあがり、あらゆる生命が死滅した終末のパノラマだった―タイムトラベル実験の恐るべき顛末を描いた表題作、謎…

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』  ★★★

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) 海堂 尊 チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) 海堂 尊 東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門…

藤原伊織『シリウスの道』  ★★★★

シリウスの道 藤原 伊織 東京の大手広告代理店の営業部副部長・辰村祐介は子供のころ大阪で育ち、明子、勝哉という二人の幼馴染がいた。この三人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。それは…。月日は流れ、三人は連絡をとりあうこともなく、…

若竹七海『サンタクロースのせいにしよう』  ★★★★

サンタクロースのせいにしよう 若竹 七海 築25年の一戸建て。料理さえ作れば家賃はただ。そんないい話を見逃す手はない。こうして私は変わり者の銀子さんの家に居候することになったのだが、珍事件が次々と……。(Amazon) 一話読んだら原稿、と思ってたのに…

津原泰水『赤い竪琴』  ★★★★★

赤い竪琴 津原 泰水 ブログには既に三つも記事があるんだが、この際四つ目を立てて、五つ星をつけよう。何か気付いたら泣いてた。入栄さんといるときいつも笑ってた、はもうひどいでしょう。 これ映画化しないかな。適してると思うんだけど(見る見ないは別…

古川日出男『ルート350』  ★★

ルート350 古川 日出男 いっぱいの現実と、いっぱいの絵空事。何十、何百もの小説へと続く可能性を秘めた、虚実のあわいを走るルート350-。小説の地平を切り拓く、著者初の衝撃短編集。表題作の他、「カノン」「飲み物はいるかい」等7話を収録。(Amazon) …