Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北原みのり『フェミの嫌われ方』  ★★★★

フェミの嫌われ方
フェミの嫌われ方
北原 みのり
 私のオンナを、あなたのオンナを、知りたくなった。オンナの共通項…があるとしたら、それは何なのかを、知りたいと感じた。この本は、私(著者)が怒ったり、喜んだり、悲しんだり、嬉しがったりしながら、オンナのことを考えながら書いた本です。(Amazon

 私がフェミ的になった記念すべききっかけ本。
 著者は性向けアダルトグッズショップ・ラブピースクラブ代表で、ネット上でブログなど読めます。面白かった! まずはそれ。笑 読み物として単純に面白いので、「うーん、フェミかあ」と言っていた母も読み進めている様子w
 クボジュン支持層にふーんと思ったり、つんくLOVE論つんくはそんなこと考えてプロデュースしてんのかと呆れたり、都条例と表現の自由について考えたり。
 私は世代が違うのと腐女子なのとで、そうでもないなーってとこもたくさんあった。「エロ」「セックス」という言葉にさほどマイナスイメージを持っていない。基本的にはハッピーなもんだと思ってる。攻受表示は男女カップリングにもあって、往々にして女が攻めだったりするから、女性主導のセックスイメージも持ってる。女性がセックスしたがるのは、って言う人もいない。
 てかこれ十年前の本だw それにしては変化がないかも。男性性の性的な消費の仕方を教わったやおいには感謝してるけど、やおいの受け攻めって結局はペニス行使する方に「男らしさ」とか付与しちゃったりするわけで(少なくとも私は)、せっかくなのにそれってやっぱりどうなのとも思う。
 セックスにおいて力強さや激しさが強調されるのは女性向けも同じで、そこにいまいち乗り切れない自分としては、そういうのをはっきり「激しくされればよけい冷めることもある、そんなんオンナの常識だから」(P143)って言ってくれる人がいるのは有難いと思ったよ。
 オトコが抜けるように作られてるAVやエロ同人で、男が快感を得やすい動き=女の快感として描かれるのはもちろん分かるんだけど(ゲイポルノもってことは、つまりそうよね)、女性向けやおいでもそうなので(女性は実用性を求めていないというのが通説ですが)、ああでも男の快感だもんな……。男(攻)の快感を描くために男性向けポルノをなぞるってのは正しいのかも、でも受けに焦点が当たっていることが多いわけじゃないですか。人それぞれでFAだろうけど、こう、もうちょっと北原さんのいうところの「オンナの常識」が見たいなと思ってしまう 双方男ですけども!笑
 たとえば、私がなかなかイカないと、力強く指でヴァギナを掻き回したり、激しくペニスをつつくオトコ。アダルトビデオの見すぎじゃないだろうか。激しくされればよけい冷めることもあるもんだよ。そんなこと、オンナの常識だ。自分の「力」で相手をいかせることが、まるで自分のオトコとしての能力だとでも思うんだよね。

「セックスは楽しい。だけど、完全に、アウト・オブ・コントロールになるなんて、ないな。」と一致したのだ。しかし、今さらオンナたちがこんなことを互いに確かめ合わなくてはいけないくらいに、「セックスして気持ちいいと、もう、ワケわかんなくなっちゃって、頭、真っ白になっちゃってぇ」と、セックスとはそんなもんだと思っているオンナはたくさんいるなと思う。そう信じ込んでいるオトコはたくさんいるんだと思う。そして、セックス・メディアときたら、そんなイメージばかりを再生産しているのだ。