Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ『How Google Works』  ★★★★

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

 

グーグルは、この方法で成功した!
グーグル会長がビジネスの真髄を初公開!
序文はグーグルCEO兼共同創業者のラリー・ペイジが執筆。

■グーグル現会長で前CEOのエリック・シュミットと、前プロダクト担当シニア・バイスプレジデントのジョナサン・ローゼンバーグは、グーグルに入社する以前から経験豊富なIT業界のトップ・マネジャーだった。だが、2人が入社したグーグルは、「他とは違ったやり方をする」ことで有名だ。これは、ビジョナリーであり、人とは反対の行動をとりがちな共同創業者2人、ラリー・ペイジセルゲイ・ブリンの方針に沿ったものだった。

■入社してすぐにエリックとジョナサンは悟った。グーグルで成功するには、ビジネスとマネジメントの方法をすべて学び直さなければならない、と。本書では、著者2人がグーグルの成長に貢献しながら学んだ「教訓」を豊富な事例とともに語る。

■テクノロジーの進歩は消費者と企業のパワーバランスを激変させた。この環境下では、多面的な能力を持つ新種の従業員――スマート・クリエイティブ――を惹きつけ、魅力的で優れたプロダクトを送り出す企業だけが生き残れる。戦略、企業文化、人材、意思決定、イノベーション、コミュニケーション、破壊的な変化への対応といったマネジメントの重要トピックを網羅。

■グーグルで語られる新しい経営の「格言」(「コンセンサスには意見対立が必要」「悪党を退治し、ディーバを守れ」「10倍のスケールで考えよ」……など)やグーグル社内の秘話を、驚異的なスピードで発展した社史とともに初めて明かす。

■すべてが加速化している時代にあって、ビジネスで成功する最良の方法は、スマート・クリエイティブを惹きつけ、彼らが大きな目標を達成できるような環境を与えることだ。本書は、ただその方法をお教えするものである。(Amazon

 面白かったですよー。すごい面白かった。わたしがまったくスマート・クリエイティブでも何でもなく、今後どうやって生きていけばいいのかな……と遠い目になってしまうところを覗けば。笑

 エンジニアリング系企業の経営層が書く本読むと常にそう思いますよね。エンジニアではなく優れた経営感覚およびキャリアも持っていない人間には生きる道があるのかしらって。2016年現在、何の専門性も無い三十路女性でもごく普通の生活をできておりますが、あと30年以上働かないといけないわけだからね。どうしよう。

 本書内でも言及されていた、同じくGoogleのラズロ・ボック『ワーク・ルールズ!』、わたしも事前に読んでいたので重複している箇所が多々見られました。特に採用について、いかに重きを置いているかというのがよく伝わりました。まあ難しいよね。Googleほどの企業であればスマート・クリエイティブを採用できる可能性はぐんと上がるけど、ぱっとしない企業にそういう人が来てくれることってそうそうないよ。……と言い訳をしているあいだに差がついていくものなんでしょうけど。ジョブスの伝記でもまったく同じ話を読んだけど。

 AppleでもGoogleでも社内の人材交流を活発にするためにオフィスの設計が考えられていたね。これだけインターネットが発達して遠隔勤務やネット会議ができるようになった今、その流れを強化牽引してきた企業であっても、直接会って言葉を交わすことによる化学反応を重要視している、人の脳味噌のクリエイティビティを信じている……つまりそれだけの何かを生み出す社員のみ採用しろということ(堂々巡り)。

 79%(電子書籍で読んだのでページがない)のところで各業界のハブ都市が挙げられていた中に、日本が一つもなかったことを真剣に考えないとまずい。ここはあらゆる意味で他国企業や人を引き付ける場所ではない。

 色んなところで引用されるトヨタ自動車ってやはりすごい会社なのねえ。

ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ Ⅱ』  ★★★★

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II

 

ジョブズiPodの中身は?デザインスタジオで「3年先の未来を見る」、「宇宙に衝撃を与える」製品の開発秘話、禅、京都、イッセイミヤケを愛する日本通、はじめて明かされた家族との私生活、何度も命を落としかけた壮絶な闘病、終生のライバル、ビル・ゲイツとの最後の対面、政治改革から新社屋まで、亡くなる直前まで情熱を注ぎ続けていたもの、最後のカリスマ、ジョブズのすべてが明らかに。(Amazon

 春節開けだったかな読み切ったの……既に内容忘れてるんだが、読みましたというメモだけ。

 全体的に面白かったのだけど、今でも覚えているのは、ジョブスに寄り添い自伝を書くことを託されたこの作者自身がTIMEの編集長をつとめたこともあるスーパーキャリアで、超ど級のスマート・クリエイティブ(『How Google Works』より)の周りには同類が集まるんだわ、ということでした。読み終わった後の著者紹介が一番の驚きだった。笑

 あとゲイツとの関係性が最高にやおいでした。びっくりするわ。

皆川博子『双頭のバビロン』  ★★★★☆

双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)

双頭のバビロン〈上〉 (創元推理文庫)

 
双頭のバビロン〈下〉 (創元推理文庫)

双頭のバビロン〈下〉 (創元推理文庫)

 

世紀末ウィーンに生まれた貴族の血を引く双生児、ゲオルクとユリアン。だが、前者は名家の跡取りとして陸軍学校へゆき、後者は存在を抹消され、ボヘミアの廃城で世間から隔絶され育てられる。やがて、ある事件からゲオルクは故郷を追われ、野心と欲望の都市ハリウッドで映画制作の道に足を踏み入れるが……動乱の1920年代、西洋と東洋の魔都で繰り広げられる、壮麗なる運命譚。(Amazon

 いや〜面白かった。面白かったねー。もはや面白いとしか言いようがなかったよ。

 でも『開かせていただき光栄です』シリーズよりはわたしの中では下かな。単純にあっちの方が自分のBL嗜好に合っていたからです。あと「皆川博子だから面白くないはずがない」「わたしの好きな読書家の人がべた褒めしていたから確実だ」とハードルを上げまくって臨んだせいもあるかも。笑

 この小説の冒頭は上海から始まるんですけど、何を隠そうわたしの現居住地でありまして、ああこういう雰囲気わかる〜!! と興奮してしまった。やはり知っている土地の風俗が出てくると面白いんですよ。行ったことがあるのとないの、更に住んだことがあるのとないので、全然感じ方が変わって来るからな。

 相変わらずの時代考証盛り込みまくりっぷりで、その上実在の人物まで混ぜ込んできて、教養の無いわたしはどこからどこまでが史実なんだ……と迷いまくりでしたが、上海マフィアの話は面白かったね〜。さっきから面白かったしか言ってない。ヨーロッパ側の出来事ももちろん面白かったよ。たくさんの知識を元によりいっそう深く調べまくって書いているんだろうなあ。

 BL嗜好としては、まずは双頭の二人に萌えないと始まらないじゃないですか。でもわたしあんまり兄弟・双子ものって……ハリー・ポッターのウィーズリー双子以外はピントこないんですよね……笑 まあ一番ガチなところは別なわけだけど。それはきちんと萌えたけど。

 いかにも小説っぽいものが読みたくなったら読むといいです。

岸見一郎、古賀史健『幸せになる勇気』  ★★

幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

 

人は幸せになるために生きているのに、なぜ「幸福な人間」は少ないのか?アドラー心理学の新しい古典『嫌われる勇気』の続編である本書のテーマは、ほんとうの「自立」とほんとうの「愛」。そして、どうすれば人は幸せになれるか。あなたの生き方を変える劇薬の哲学問答が、ふたたび幕を開ける!!(Amazon

 前作はおおいに楽しんだのですが、このテンションが二度目であるのと、飛行機遅延待ちながらのメンタル最悪コンディションで読んだせいで、イマイチ楽しみきれませんでした。あ、申し訳ないけどエンタメBLとして読んでます。先生と青年のすったもんだを楽しむもんだと思ってます。アドラーの教えよりもそっちが気になる。

 ちょいちょい吹き出しかけたとこはあるんだけどね、「ふふふ、相変わらず人のことをボロ雑巾のように扱うのですね」なんて言われた日には笑うしか無いよね。古賀さんはセンスあると思いますよ(何様)。でもやはり、青年の生い立ちを明らかにしていき傷口をえぐりまくる前作のインパクトには勝てないじゃないですか。勝てないですよ。

 別離で終わらせるのはよかった。最後まできれいなBLだった。

津原泰水『たまさか人形堂それから』  ★★★★☆

たまさか人形堂それから (文春文庫)

たまさか人形堂それから (文春文庫)

 

「玉阪人形堂」を祖父母から譲り受け、店主となった元OLの澪。今日もこの小さな店には人形に関する様々な難題が持ち込まれる。赤いマーカーの汚れがついてしまったリカちゃん人形、髪が伸びる市松人形、盲目のコレクターが持ち込んだ「小田巻姫」の真贋―。人形と人間の不思議な関係を円熟の筆で描く、人気シリーズ第二弾。(Amazon

 文庫化おめでとうございます! 帰国時ちょうど発売してたので買ってきました。

 津原さんに関しては盲目的に好きだし何度も読み返しているので今更言うことはないのだが、短編のラストでいちいち泣けてしまう。好きです。冨永くんが復活する続編をお待ちしております。

柚木麻子『ランチのアッコちゃん』  ★

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

ランチのアッコちゃん (双葉文庫)

 

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!(Amazon

 小説としての稚拙ではなく、自分の心にびっくりするほど響かなかったゆえのこの評価です。びっくりしたー。柚木麻子、『終点のあの子』は楽しく読めたんだけどなあ。だめだったな。最初から最後までこれはNot for meとしか思えなかった。文章がどうこうとか展開がどうこうじゃなく、純粋にノリが合わなかっただけです。わたしにとってのリアリティが皆無。

 何で読んだかというと、飛行機乗る前に会った友達が「要る?」ってくれたからです。タイトルは知っていた(柚木さんの代表作として)ので読んでみたのだった。

 女性目線の労働者小説といえば圧倒的に津村記久子だけど、新しい作家のストックもほしいよー。津村記久子三人くらい欲しい。松浦理英子は労働って感じじゃないけど十人くらい必要。笑

ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ Ⅰ』  ★★★★

ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 1

ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 1

 

取材嫌いで有名なスティーブ・ジョブズが唯一全面協力した、本人公認の決定版評伝。全世界同時発売!

未来を創った、今世紀を代表する経営者スティーブ・ジョブズのすべてを描き切った文字どおり、最初で最後の一冊!!

本書を読まずして、アップルもITも経営も、そして、未来も語ることはできない。

アップル創設の経緯から、iPhone iPadの誕生秘話、そして引退まで、スティーブ・ジョブズ自身がすべてを明らかに。本人が取材に全面協力したからこそ書けた、唯一無二の記録。

伝説のプレゼンテーションから、経営の極意まで、ジョブズの思考がたっぷり詰まった内容。ビジネス書、経営書としても他の類書を圧倒する内容。

約3年にわたり、のべ数十時間にもおよぶ徹底した本人や家族へのインタビュー。未公開の家族写真なども世界初公開。

ライバルだったビル・ゲイツをはじめ、アル・ゴアルパート・マードックスティーブ・ウォズニアック、そして後継者のティム・クック…世界的に著名なジョブズの関係者百数十名へのインタビュー、コメントも豊富に。まさに超豪華な評伝。(Amazon

 長い紹介文だね。笑 まだ一冊目しか読んでないんだけどメモ代わり。面白いです。パーソナルコンピュータの歴史としても(わたしの知識がなさすぎるがゆえにこの程度の記述ですら)面白いです。

 iPhone4からAppleユーザーですが、会社自体や創立者についてはジョブズとウォズが始めたってことしか知らなくて(この二人およびビル・ゲイツとの関係がBL的に美味しそうというのは彼らを主人公にした漫画の紹介で知ってた笑)、ジョブズがここまでぶっ飛んだ人だと本当に知らなくて。

 冒頭はドラッグと菜食主義と禅の話ばっかりだったんでびっくりした。ウォズが常に大きな熊さんみたいに書かれていることもびっくりしました。でもってビル・ゲイツと生年が一緒っていうのも、初期はAppleの方が売上げ上だったってのも、お互いの認め方も(ゲイツは一定認めているのにジョブズは認めてない)、おい漫画かよ。

 開発したコンピュータの写真を入れといてほしいよねえ、その都度ググるの面倒くさいし。権利もらえなかったのかな。AppleⅡってあんなマシンだったのね〜マッキントッシュのCMはオーウェルだったのか〜Apple店舗の階段はNeXTから来ていたのか〜等、写真欲しかったです。

 AppleⅡやマッキントッシュがものすごい美しいマシンだと散々情報を入れられた後でググったら、文章で書かれているよりは美しくなくてw、ちょっぴり残念でした。わたしのAppleの最古の記憶はあのiMacだからな……カラフルなやつ……あれは子供心にすごいかわいいと思ったしまだ覚えてる。

 ピクサージョブズの個人資産を投じられて生きながらえたとかディズニーとの取引とかまーアンタ本当に知らなかったの? と言われそうですが知りませんでした。引き続き下巻を読んでiPhoneの開発ネタを知りたいです。

 彼の恋愛遍歴をここまで書く必要はあったのだろうか……というのは若干疑問だ。別にコンピュータやAppleの歴史本じゃないからいいのか。ジョブズの伝記だから。

ブラッド・ストーン『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』  ★★★★☆

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

 

インターネットに大きく賭け、買い物や読書の習慣を大きく変えてしまったアマゾン創業者、ジェフ・ベゾス。本書は、その奇才の生い立ちから現在までをベテランジャーナリストが追った物語である。フィナンシャル・タイムズ紙、ゴールドマン・サックス共催ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2013受賞!(Amazon

 いやー面白かったです。こんだけの会社を作った人の伝記(まだご存命ですが)はさすがに面白いですね、エンタメとして十分に成立する。面白かった。ベゾスの本をKindleで読み通すというAmazon様の望んだ形で体験した。Kindle端末も持ってるんだけど、ついiPad miniiPhoneで読んでしまうんだよな。

 ほぼ同時にスティーブ・ジョブズの伝記も読み始めたせいで、子供時代のエピソードがどっちがどっちかわからなくなってしまった……お二人とも養子なんですよね。著者がベゾスの本当の父親に会いにいくエピソードが入っていて、それがなかなか人間味のあるものだった。いやその他の部分に人間味欠けてるからさ。

 Amazonヨドバシの翌日配達、中の人が無茶なハードワークを重ねた上で達成されるブラックの象徴みたいな印象があったけど、その側面は完全に捨て切れないにしても、超優秀な頭脳を集めてシステムを最適化した結果なんだなと分かりました。

 ビジネスの根幹となる部分を立ち上げるときに彼らが優先的に集めるのはその分野の経験者よりも数学や物理や工学の、日本ではいわゆる理系と括られる分野の上澄みの人々であり、わたしの脳内のエリートイメージがどんどんそっちの方向に強化されていく。頭悪いコンプレックスの強化……。

 にしても倉庫担当アルバイトの待遇が悪すぎる点を改善しようとは一切思ってないし、評価は減点制だし、彼らは盗みを働いて当然だと認識しているし、地方の仕事のなさを逆手に取った地獄のような環境だよな。環境がよくないのは上層部も同じで、ばかすか人が辞めるし入ってもくる。この本を読んでいるとグーグルの職場環境が天国に見える笑 実際(優秀な)社員のことを考えている会社だと思うけど、あそこの人事が書いた『ワーク・ルールズ』面白かったし。

 実はAmazon中途採用面接に行ったことがあるんですけど(結果が出る前に他社に決めた)、進んだとしても落とされたと思うけど、行かなくて本当によかったなと思います……。超優秀じゃないと死ぬだけだこれ。ジョブズがいた頃のAppleもそうだろうな。

 面白かったです!

ムーギー・キム『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』  ★

【発売たちまち5万部突破! 読者からも反響続々!
佐藤優氏絶賛! 「抜群に面白い。2013年ビジネス書の最高傑作だ」
竹中平蔵氏絶賛! 「驚くほど読みやすい。世界標準の仕事術が笑って学べる」】

年間3000万PV突破! ビジネスマンにいま一番読まれている「東洋経済オンライン」人気No1コラム
「グローバルエリートは見た!」の著者、待望のデビュー作!(Amazon) 

 いや〜胸糞悪いコラムでした、「特別編でエリートの恋愛・結婚・離婚事情も徹底解説!」という部分! これが好評であるというのが本当なら、日本の職場における女性の人権がないに等しいのも納得。こんなの冗談としても受け付けないよ。金融について何も知らないので知識部分はへえ〜と思いながら読みましたけど、読後感は最悪です。何でこんなものを読んだって、弟の電書アカウントに入っていたからです……あいつ趣味悪いな。

 中途半端なライターやビジネスパーソンが書いたものより、誰でも知ってるような人の伝記的文章を他者が書いているやつの方が当たり外れ少ないな。あと人権先進国の書き手を選ぶのがジェンダー地雷の多い人間には大事だと思いました。建前でもいいんだ、何が下衆なのかを意識するしないで全然違う。

 あと気づきとして、わたしがIT業界の端っこにいるからだと思うんですけど、自分のイメージしているエリート=GoogleApple等のテクノロジー系であり、金融・コンサルに興味が無いというのがよく分かりました。以前バズった、IT系はもはやマイノリティからマジョリティへの転換を果たした、的な翻訳記事を思い起こした。見つけられなかった。

荒木飛呂彦『超偏愛! 映画の掟』  ★★

クション映画、恋愛映画、アニメ…取り上げたジャンルを問わぬ映画作品の数々には、その全てに、まさに荒木飛呂彦流の「サスペンスの鉄則」が潜んでいる。本書は、その一つひとつを徹底的に分析し、作品をまったく新しい視点から捉え直した映画論であり、エンターテイメント論である。『ジョジョの奇妙な冒険』を描かせたとも言える、荒木飛呂彦独特の創作術とは?映画の大胆な分析を通じて、その秘密が明らかに。(Amazon

 何でも良いから軽くて短い文章が読みたいな、と思って弟の電子書籍アカウントからピックアップしました。思った通り軽くて短かったです。笑 荒木ファンが読めばとても面白いと思いますが、そうではない人や、物書きでサスペンスの鉄則が知りたい人なんかは『ベストセラーの書き方』読んでればいいんじゃないかな。 これはためになるし笑える。

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

 

 表題に戻って、本書の目次をぱらぱらめくると「第二章 名作の条件とは『男が泣けること』」と、見ただけで作品を読む気を失くす地雷が埋め込まれており、実はこの時点で本を読むことを断念しかけたんだけども、一応目を通してみた。

 すると、いわゆる「男ですいません」節をそこここに感じつつも、男性同士の同性愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」、レズビアンカップルを中心に据えたサスペンスの「バウンド」、ディカプリオと今をときめくアミハマがゲイカップルを演じる「J. エドガー」あたりを割合フラットに好意的に紹介していたので、ジェンダー観に疎い人って本当に疎いんだな〜と至極当たり前の感想を抱きました。

 わたしは映画に疎いから、初めての知識として触れる事もかなりあったけれど、映画に詳しい人が読んでどう感じるのかは分からない。そこまで深くも分析的でもないし。荒木さんが好きな映画について語っていること自体は微笑ましかったけれども。

 わたし自身は、ジョジョを読む日は来ないと思う。笑