Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ムーギー・キム『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』  ★

【発売たちまち5万部突破! 読者からも反響続々!
佐藤優氏絶賛! 「抜群に面白い。2013年ビジネス書の最高傑作だ」
竹中平蔵氏絶賛! 「驚くほど読みやすい。世界標準の仕事術が笑って学べる」】

年間3000万PV突破! ビジネスマンにいま一番読まれている「東洋経済オンライン」人気No1コラム
「グローバルエリートは見た!」の著者、待望のデビュー作!(Amazon) 

 いや〜胸糞悪いコラムでした、「特別編でエリートの恋愛・結婚・離婚事情も徹底解説!」という部分! これが好評であるというのが本当なら、日本の職場における女性の人権がないに等しいのも納得。こんなの冗談としても受け付けないよ。金融について何も知らないので知識部分はへえ〜と思いながら読みましたけど、読後感は最悪です。何でこんなものを読んだって、弟の電書アカウントに入っていたからです……あいつ趣味悪いな。

 中途半端なライターやビジネスパーソンが書いたものより、誰でも知ってるような人の伝記的文章を他者が書いているやつの方が当たり外れ少ないな。あと人権先進国の書き手を選ぶのがジェンダー地雷の多い人間には大事だと思いました。建前でもいいんだ、何が下衆なのかを意識するしないで全然違う。

 あと気づきとして、わたしがIT業界の端っこにいるからだと思うんですけど、自分のイメージしているエリート=GoogleApple等のテクノロジー系であり、金融・コンサルに興味が無いというのがよく分かりました。以前バズった、IT系はもはやマイノリティからマジョリティへの転換を果たした、的な翻訳記事を思い起こした。見つけられなかった。

荒木飛呂彦『超偏愛! 映画の掟』  ★★

クション映画、恋愛映画、アニメ…取り上げたジャンルを問わぬ映画作品の数々には、その全てに、まさに荒木飛呂彦流の「サスペンスの鉄則」が潜んでいる。本書は、その一つひとつを徹底的に分析し、作品をまったく新しい視点から捉え直した映画論であり、エンターテイメント論である。『ジョジョの奇妙な冒険』を描かせたとも言える、荒木飛呂彦独特の創作術とは?映画の大胆な分析を通じて、その秘密が明らかに。(Amazon

 何でも良いから軽くて短い文章が読みたいな、と思って弟の電子書籍アカウントからピックアップしました。思った通り軽くて短かったです。笑 荒木ファンが読めばとても面白いと思いますが、そうではない人や、物書きでサスペンスの鉄則が知りたい人なんかは『ベストセラーの書き方』読んでればいいんじゃないかな。 これはためになるし笑える。

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

 

 表題に戻って、本書の目次をぱらぱらめくると「第二章 名作の条件とは『男が泣けること』」と、見ただけで作品を読む気を失くす地雷が埋め込まれており、実はこの時点で本を読むことを断念しかけたんだけども、一応目を通してみた。

 すると、いわゆる「男ですいません」節をそこここに感じつつも、男性同士の同性愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」、レズビアンカップルを中心に据えたサスペンスの「バウンド」、ディカプリオと今をときめくアミハマがゲイカップルを演じる「J. エドガー」あたりを割合フラットに好意的に紹介していたので、ジェンダー観に疎い人って本当に疎いんだな〜と至極当たり前の感想を抱きました。

 わたしは映画に疎いから、初めての知識として触れる事もかなりあったけれど、映画に詳しい人が読んでどう感じるのかは分からない。そこまで深くも分析的でもないし。荒木さんが好きな映画について語っていること自体は微笑ましかったけれども。

 わたし自身は、ジョジョを読む日は来ないと思う。笑

フレドゥン・キアンプール『幽霊ピアニスト事件』  ★★★

幽霊ピアニスト事件 (創元推理文庫)

幽霊ピアニスト事件 (創元推理文庫)

青年ピアニスト、アルトゥアは死んでから50年後の世界にいきなり蘇った。音楽大学の学生たちと知り合い、共同生活をはじめるが、常に古風な舞踏会用ドレスを着ている少女や、双子の霊媒たちと過ごす新しく愉快な人生には、なぜ事件ばかり起きるのか。音大でのリサイタルの妨害や美人ピアニスト殺し、そして自分が蘇った理由を解明するため、アルトゥアと音大生たちは走る走る!(Amazon

 全然小説読むつもりじゃなかったけどちょっと時間が空いたから軽めなやつ読んでみよっかな、ミステリなら軽いだろクラシック込みだし、と手に取ったらクソ重かった。こちらの記事を読んで購入しました。

young-germany.jp

 小説としては上手くないかな……でもたぶん翻訳のせいではないだろうと思いつつ読み進めていたら元ピアニストが書いていた!笑 そいつはすごいな! 元ピアニストが描くピアニスト小説!

 あくまで小説としてすごく面白かったかと問われたらわたしにとってはYesではないんだけど(文章的な粗が気になってしまって)、作中での芸術の語られ方には鬼気迫るものがあり、該当人物の行動を肯定するだけの熱量と説得力があった。一歩間違えれば荒唐無稽になりそうなところが、なっていないんですよ。まあ背景が重すぎるしな。

 巻末には登場曲リストがついていた。これは嬉しい。シューベルトピアノソナタと怒りの日は聞きながら読んでいた。このピアノソナタ、ちゃんと聞いたことなかったんだけどすごくよかったです。作者自ら使用曲を収録したCD出してるのもすごい、聞きたい。曲を聴いてから再読する楽しみがあるよね。

 翻訳者はクラウス・コルドンの三部作の人だった。解説にドイツ音楽小説紹介が載っているのでおすすめ。いい読書ガイドです。

ラズロ・ボック『ワーク・ルールズ!』  ★★★★

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

君は、最強企業が欲しがる人材なのか?未来の新しい働き方のすべて、ベストチームをつくるアドバイス―世界最高の職場を設計した男、グーグルの人事トップが、採用、育成、評価のすべてを書いた。(Amazon

 久々に活字を読みました、サクッと読める短い本だけれど。それだけ読みやすく興味のある分野だったということで。

 一応人事的な領域で働いているんですが人事そのものではないので、人事にできることって何なんだろう、外出し可能なオペレーション以外でどういうことをしていけるのだろう……とぼんやり考えていたところに、こういう本を読めたのはよかった。車内カフェテリアやバスの送迎といった本流からは外れている些末な(ように見える)事柄を、快適に効率的によりよく働いてもらうために、すごいエネルギーと工数をかけて整理しているんだなあと。面白かった。

 一番印象に残ったのは「人間関係は自動化できない」って一文で、コミュニケーションへの積極性が欠如しているわたしはグサっときた(笑)あと巻末のパートナーへの感謝の言葉がすごかった、ありふれているけれどすごかった、USAは褒め文化と言うが、フィクションではなくあんなことが書けるんだな。

 この手の本を読むとやる気が少なからず湧く一方、でもそれって恵まれた、彼らの中では最低限のIQを持った人のお話でしょう……という士気の下がり幅の方がでかかったりして……からいつまで経ってもだめなんだけど! チェックリストでも読み直しますかねー。

2015年まとめ

 今年は2015年11月〜K-POPにハマった影響で11月12月とまったく読書をしない日々が続く、という異例の年でした。自分でも驚いていますが2016年3月くらいまでは小説読めないんじゃないかと思っています。

 ベスト3は図らずしも全て国内女性作家作品となりました。

 

江國香織『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』 

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

 江國さん、思想的に好きではないんだけど小説はやっぱりすごいよなと思っています。この本は読んだ当初は「ふ〜ん」程度だったのが(わたしの審美眼がない)、何度か読み返すうちに「こいつはすげえ……」に変わり、今では彼女の作品の中で一二を争うくらい好きです。登場人物の多い群像劇なのですが、何でこんなに自然体な文章が書けるんだろうな……。

江國香織『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』 ★★★★☆ - Memoria de los Libros Preciosos

 

皆川博子『開かせていただき光栄です』『アルモニカ・ディアボリカ』

 18世紀ロンドンの医者+医者の卵たちを中心に据えた、ミステリ小説……でもあり耽美小説でもあり。とりあえずBLが好きな人は読みなよ。全てが極上だよ。絶対後悔しない。ただしネタバレは見ないように気をつけてな!!

 皆川さんて1929年or1930年生まれの86歳でいらっしゃるんですよ。『アルモニカ・ディアボリカ』なんて2013年に出てるんですよ。もう本当わたしが死ぬまで長生きしていただきたい作家です。今『双頭のバビロン』を積んでいるので2016年前半には読みたい。

皆川博子『開かせていただき光栄です』 ★★★★☆ - Memoria de los Libros Preciosos

皆川博子『アルモニカ・ディアボリカ』 ★★★★☆ - Memoria de los Libros Preciosos

 

中山可穂『愛の国』 

愛の国 (角川文庫)

愛の国 (角川文庫)

 

 ラストはこれ、王子ミチルシリーズの完結編!! デビュー作の『猫背の王子』、続く『猫背の王子』、と来てついに出ました『愛の国』。

『猫背の王子』の溢れる若さとエネルギーが素晴らしすぎて、わたしは中山可穂の本の中では今でも一番好きですが、続きなんて書けないだろうという勝手な予想を覆して、そりゃもう見事に覆して、作家の魂を込めまくったとんでもない本をお出しになりました。驚いた。書いてくださり有難うございましたと言いたい。政治色が強めで『猫背の王子』とは少し毛色が違いますが、未読の方はぜひね。てかもう文庫が出てるんじゃん、買わねば。

中山可穂『愛の国』 ★★★★★ - Memoria de los Libros Preciosos

 

 積んでいる本がそこそこあるので、2016年のなるべく早いうちに読書環境を整えたい。昨今の動きに全然ついていけてない。小説も読まなきゃだけどビジネス書も、あまり興味ないながらも読むようにしたいです……。

島田荘司『夏、19歳の肖像』  ★☆

夏、19歳の肖像

夏、19歳の肖像

 

バイク事故で入院中の青年が、病室の窓から目撃した「谷間の家」の恐るべき光景! ひそかに想いをよせる憧れの女性は、父親を刺殺し工事現場に埋めたのか? 退院後、青年はある行動を開始する——。青春の苦い彷徨、その果てに待ち受ける衝撃の結末! 青春ミステリー不朽の名作が、著者全面改稿のもと新装版として甦る。(Amazon

 なぜいま突然島田荘司を読んだかというとですね、わたし最近K-POPにハマりまして、好きなアイドル(元EXOメンバー)が主演決定したっていうのを島田御大自らTweetしていて。

 これは読んでおかねばと、Kindleにあったのでワンクリックでポチったのですが。……ですが。

 Amazonレビューにあるように『異邦の騎士』系統の青春小説なんだよ。短いから何を言ってもネタバレになってしまうけど、若かりし頃にやらかした恥ずかしい思い出系なんだよ。19歳の夏の思い出を15年後に振り返って、俺はバカだったけど誇らしくもあるよ……ってやるやつ。ミステリではないがドッキリはある。

 でもね、これ書かれたの1988年なわけよ、主演アイドルが生まれてすらいない、携帯電話もポケベルもない時代の話でね。小道具のみならず、ジェンダー観も相当だし、2015年に読んだらどうしようもなく色あせてしまうところがあるんですよ。登場人物皆性格破綻してるし(これは作者のカラーかもしれない)。

 ほんっとに何でこの小説を現代中国で映画化しようと思ったんだよwww

 もーほんとにわからない。中国(都市部)は日本よりよっぽどスマホ大国でしょう、まあ政治レベルでは共産主義なので、ジェンダー観が多少古くても良いのかもしれないし(とはいっても職場における女性の進出は日本より数倍進んでいる、共産主義だから)、うん、でも、この小説のどこが監督を動かしたのか全然わからない……初心で馬鹿な青年の恋心が散る様を描きたいのかな?? でももっと他にいい題材があるんじゃないかな?

 島田さんが推しアイドルのことを好意的に紹介してくださっているのは大変感謝なのだが、後書きでご自身がおっしゃっている、「いったいこの未熟で下手クソで、しかも老獪な文字群は何なのであろう」、わたしは個人的に異論なくですね……いや勢いはすごくある、一気に書いたんだろうなって思うし、島田さん自身もお若かったのが伝わって来る……でも『異邦の騎士』には喜んだわたしにも、これは、女性を描いていると言う点で更に評価が辛口に……。ストーカー行為をそれと自覚していない主人公、かなりホラーですよ。

 散々言いましたすみません。しかし黄子韬にオファーが来た理由は分かりました。あの子も、少なくとも外に見えている部分は頭が良いとは言えない(婉曲表現)、非常に子供っぽい、わがままな性格だと思いますので。主演情報を聞いた直後は「演技大丈夫かな?! ミステリだけどシリアスな声とか出せるのか!?」と心配してしまったけれど、完全没問題、いつも通りに振る舞えば主人公になれます。よかったよかった、結果オーライ。

 全然関係ないけど、松浦理英子が1987年に『ナチュラル・ウーマン』を刊行したのがいかに偉業だったか感じ入ってしまった。いやはやまったくすごいよ。

 下記ネタバレです。

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ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』  ★★★☆

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。
真面目な青年アルベールは、戦争で職も恋人も失ってしまう。画才に恵まれた若きエドゥアールは顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる!
第一次世界大戦後のフランスを舞台に、おそるべき犯罪の顛末を鮮やかに描き上げた一気読み必至の傑作長篇。ゴンクール賞受賞作。(Amazon

 ブロマンスだと友達に聞いてポチりました。

 読み終えた感想は、つらい。笑

 今日で全部読み切るつもりじゃなかったのになあ。解説で言及されてる通り、手に汗握る「冒険小説」だから途中で止められるわけないのだが。もうちょっと小説的文章だったらすごくよかった(でも癖っぽいから直らなそう、翻訳のせいだけじゃない気がする)。あと勝手な感想として、過去エピソードを語る順番が結構とっ散らかっているので、そこもうちょっとスマートにならないかな? と思いました。

 登場人物で印象に残るのは小役人メルランですかね。『この女アレックス』のあのケチの同僚描写を思い起こしたよ。性格やアピアランスにやや(かなり)難のある、でも仕事はきっちりして、最後にほろっとするような行動を取ってみせる感じ。あとポリーヌ。ポリーヌが値切るとこ。

 BLというよりブロマンスというのが適切な小説でした。作中で夫婦と形容されていたくらいだからね。まあ女性はいるんですけど、ブロマンスなので……。

 以下本編とはあまり関係のない話ですが、小説畑でずっと書いてきた人と、映像畑から来た人と、やっぱりどうしても書き方が違って、私は小説畑ずっぽりの人間なので、もうちょっと脚本っぽさを消して! と言いたくなることがままある(無論そんなの本人の自由です)。

 最初から最後まで言葉で物語ろうとするのと、映像化が前提としてあるのと。有名どころでいえばガルシア=マルケスは祖母の語り口を参考にして小説を書けるようになったと言っているけど、彼の小説は言葉で「物語る」とはどういうことなのかを教えてくれてとても好き。

 小説だけで完結しておいてほしい、これどうしても脱しきれないわたしのエゴイズムです。出来のいいエンタメを読んだときの感動と、出来のいい小説を読んだときの感動って別種なのよね。そして出来のいい小説を読んだあとじゃないと、小説書きたい気持ちが湧いてこないんだよねw 言い訳ですけどww

ジョージ・オーウェル『一九八四年』  ★★★★☆

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。(Amazon

 友達が日本から来るときに持ってきてもらった。有難うございました。

 中身は、頭の悪いことを言うと、頭の良い人が書いた現在(当時)批判と未来実験的SF。思っていたよりものすごくSFしていた印象。わたしがSF寄り読者だからそう捉えてしまうのかもしれないけど、書き方自体は文学的とは思いませんでした。ただオーウェルの頭のよさはひしひしと伝わってきたよ。その上、解説がピンチョンだからな。

 まったく古びていないどころか現代日本かと思ってしまうな。教養をつける目的で読んだけれど、すごく面白かったわ。

稲森和夫『稲森和夫の実学 経営と会計』  ★★★

稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計

バブル経済に踊らされ、不良資産の山を築いた経営者は何をしていたのか。儲けとは、値決めとは、お金とは、実は何なのか。身近なたとえ話からキャッシュベース、採算向上、透明な経営など七つの原則を説き明かす。ゼロから経営の原理と会計を学んだ著者の会心作。(Amazon

 財務畑の友達に、財務の入門書教えてください! とお願いした一冊。

 読みやすくて素人にも優しい本でした。最初から最後まで読みやすかった。稲森さんの人となりが伝わってくる文章になっていた。うちも経費を下げなければ……下げられるところは分かってるんだからちゃんと決済を通してコストダウン達成したいと思いました……。

 しかしこの人、この年で2000年代から結構な本を出してるのすごいな。人に書かせるにしても大変だろうに。さすがバイタリティあるぜ。

服部まゆみ『この闇と光』  ★★★★

この闇と光 (角川文庫)

この闇と光 (角川文庫)

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!(Amazon

 すごいお勧めしたい層がいるのだけれど、その点を言ったらネタバレになるというジレンマww これはあらすじすら読まないまま中身を読んでほしいですね。短いし読みやすいからサクッと衝撃の結末を知れるよ。ゴシックミステリ……いや……何も言えぬ……笑

 巻末の解説は皆川博子です。彼女が書いている時点で惹かれる人はいるだろう! 分かるだろう!! 何も考えずにとりあえず読むと良いよ。教養は大事だよ(最終的な結論)

 下記は盛大なネタバレ。

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