Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

本谷有希子『ぬるい毒』  ★★

ぬるい毒 (新潮文庫)

ぬるい毒 (新潮文庫)

あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで―。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。(Amazon

 うーんこれは……これは何とも言い難いな……語り手の若い女性と自分を馬鹿にして弄ぶ男との短い話なんだけれど……うーむ。内容としては胸糞悪い。面白いかそうでないかと言われるとよくわからん。芥川側だからな(逃げた)

 同じく芥川賞作家の津村記久子(の一部)を楽しんだのは、彼女かミステリやSFを愛読しているからだと思う。あとは、津村さんが『君はそいつらより〜』で書いたような女性と本書の女性と、どちらも対男性で問題を抱えてるけど、私が前者の方により共感するからかな。本谷さんの愛読書でも調べるかー。

 本谷さんがどういう女性を描く人なのか全然知らないので。これがあまりにも自分の女性観と乖離してると、もう読めないですね。本谷さん読めないのかもな。あまりにもナチュラルに了解しがたいことを描かれると(川上弘美とか)、もう読み進められなくなっちゃうんだよね。これが男性作家であれば物語さえ楽しめりゃいいけど、女性作家はダメだね。女性だからって連帯などできないと知っているのに。小説を読めないって話だけじゃなく、生身の人間との付き合いでも起こるねそれは。友達ではいらんないもんね。