Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』  ★★

A Pale View of Hills
A Pale View of Hills
Kazuo Ishiguro
 英語で読んだからこんなに消化不良なのだろうか……と思って感想を探したらそうじゃなかった。大事なことが明らかにされていないんですね。
 故国を去り英国に住む悦子は、娘の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に想いを馳せる。戦後まもない長崎で、悦子はある母娘に出会った。あてにならぬ男に未来を託そうとする母親と、不気味な幻影に怯える娘は、悦子の不安をかきたてた。だが、あの頃は誰もが傷つき、何とか立ち上がろうと懸命だったのだ。淡く微かな光を求めて生きる人々の姿を端正に描くデビュー作。(Amazon
 カズオ・イシグロは五歳で日本からイギリスに移り住み、英語で執筆をしているらしい。『わたしを離さないで』の評判がいいからチェックしてたら、洋書コーナーで彼の名前を発見して(私を~はなかったんだけど)デビュー作をまず、と借りてきた。私が読んだペーパーバックの画像がなくて残念。
 何かね、日本人を描いてはいるんだけどかなり違和感。そりゃあ「Ogata-san」とか「noodle shop」(そば屋?)とか言ってるんだから違和感はありますよね。でもそれだけじゃなくて、会話とかよ。イギリスで育ったって聞いてから全てが胡散臭く感じられるマジック(笑)“Have a nice day”って普通に挨拶として日本人が言う!? 「良い一日を」でしょ? 戦後の日本では言ってたんですか? 「楽しんできてね」さえ、滅多に言わないなあ私は……。あ、邦訳だと「いってらっしゃい」とかになってるのかしら。意味が分からないまま読んでいて最後の最後に辞書で調べた単語(調べなかった単語の方が遥かに多い)に「肩をすくめる」ってのがあったんだけど、これもかなりアメリカナイズって感じ(イギリスですが)。まあ仕方ないか。
 悦子、景子、佐智子(幸子だと思ってた)、次郎、緒方さん……漢字に直した方が変かも。ニキのどこが日本チックな名前なのか私にはよくわかりませんでした。二木の菓子?
 日本語でも読むべきなのかもしれないけど、面倒なので放置。英語の文章にも関わらず読んでいてあまり眠くならなかったし、引っ張られてしまったので、評判の高い『日の名残り』と『わたしを離さないで』は洋書で読んでみようと思います。日本人の話じゃないしね。アルファベットで日本人の名前を読むの気持ち悪いもん!笑 
 講談社英語文庫に日本作家の作品が多くあるけど、わざわざ英語で読もうなんて思えない(それなら海外作品をもっと出してよ!) 日本語だからいいのにー。せっかく日本語の美しさを理解できるんだから、ねえ。英語の美しさとか全くわからないですよ。誰の文章がうまいとか。