Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

舞城王太郎『世界は密室でできている。』  ★★☆

世界は密室でできている。
世界は密室でできている。
舞城 王太郎

「すげーなオイ」。うん。その台詞を聞くために僕は体を張ったギャグをここで見せたのだ。今は笑えないだろうけれど、後から長い時間が経っても忘れられずに憶えていて、何度も何度も笑えるギャグを。痛みからいくらかでも意識を引き剥がすはずの痛烈なギャグを。


 ルンババは猫なのかと思ってた。人間ですから。ハードカバーの表紙のせいだ。舞城は文も書くし絵も描くし多才だなあ。
「何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった。」――煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで二年。十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は僕たちの“世界と密室”をめぐる冒険の始まりだった!(Amazon
 やはし根底に家族愛が。と言ったら弟に「煙~書いた人? うっそだー」と言われた。お前が最後まで読まないからだい! 文体はブッ飛んでて気分がのらないと読むの大変だけど核はシンプルに愛。ミステリとして他人に解かせることを前提としてないのはそれが中心ではないからか。
 話はめまぐるしく変わるし時も経つから、あらすじ読んでも内容に追いつけない。愛情を間違った方向に行使すると大変なことになりますね。
 友紀夫の体を張ったギャグには鳥肌が。ひえーそこまでしなくとも! 何より一番ショッキングだったのは某家々のあった土地の管理人の名前でした。え、ここで、来た……!

 

 奈津川なんですけどね。