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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

岸見一郎、古賀史健『嫌われる勇気』  ★★★

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

世界的にはフロイトユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、

対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、
現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、
哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。
著者は日本におけるアドラー心理学の第一人者(日本アドラー心理学会顧問)で、アドラーの著作も多数翻訳している岸見一郎氏と、
臨場感あふれるインタビュー原稿を得意とするライターの古賀史健氏。
対人関係に悩み、人生に悩むすべての人に贈る、「まったくあたらしい古典」です。(Amazon

 さっと読了。大いに笑いました。ソクラテスプラトンの『対話篇』を読めていないので、ギリシア哲学のフォーマットである対話形式がいったいどこまで愉快なのか知らないんだけど、これに関して言えばものすごく愉快だった。私のテンションが高かっただけかもしれんが、前半爆笑してた。

 青年のバックグラウンド、そこから来る原因論的な性格形成、喋り方、疑問符感嘆符の頻発、突然の比喩、哲人への態度の不安定さ……絶妙におかしくて弟に向かって朗読してたら「お前人生楽しそうだよな」って言われた。楽しいのはこの青年だ。特にへちまとひまわりはよかった。一番心に残ったのは、「ひまわり! それはひまわりの理屈ですよ!」の段落で決定です。あとはいきなり哲人が「あなたは私の友人です」と言い出して、それを青年がいったんは否定しながら、最終的に全部受け入れてたクライマックスもどうかと思いました。本的に「ふふふっ」と笑う青年が「へっへっへ」と言い出したシーンでは、弟のiPadにも関わらずアンダーラインしてしまった。

 はー前半から飛ばしすぎててこっちは完全な笑い疲れだよ。久々に文章を読んで爆笑したよ。肝心のアドラー心理学については、書いてあることはわかりやすかったと思う。しかし本論よりも、ついさっきまでお前は偽善者だとか哲人を罵倒していた青年が、哲人の目標まとめをきちんとメモに記し、その後肌身離さず持ち歩いていた……とかの枝葉末節の部分にひっかかりすぎた。

 愉快な読書ではございました。