石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』 ★★★

BG、あるいは死せるカイニス
石持 浅海
　生まれた時は女性、その後優秀な女性だけが男性化することができる（人口の四分の一）。その中でも、「別格」なBG。それによって変化する制度や常識はあるものの、他はあまり現実と変わらない世界の話。こういうのをパラレルワールドって言うのか！　SFミステリ。
　男性化有力候補だった姉・優子が殺された。この世界では有り得ない、レイプ未遂状態で。妹・遥は、警察・先生・ジャーナリストらから優子が殺される前何か言ってなかったか、と尋ねられる。思い当たるのはBGについて、優子が言及していたことくらいだが……。
　『月の扉』『扉は閉ざされた』と読んできた私にとって、はじめての学園もの。著者にとってもそうか。私は学園ものが大好きなのでとっつきやすかった。特殊な環境にも惹かれたし。女子校出身だし。レズとか読むの好きだし（おい）。リーダビリティーは他の作品よりもあると思う。
　ネットを彷徨う限りでは、賛否両論があり、否の方が割合としては多いかな。私は賛の方。まあね、確かに警察の捜査の杜撰さはどうしようもないですが……本当に能無しだったのか、みたいな。これはSFを普段読まないから、設定の甘さなどに気がつかないからなのかな。世界に入り込まないと、謎解きは難しいかもしれない。そんな考え方は勿論身につけておりませんもんね。
　BGはもっと飛びぬけた能力があってもよかろう。オリンピックや東大って、すごいよ。すごいけどさ、不可能な域ではないよね。優秀な女性が男性化した男性よりも更に優秀なんだからさ、世界を運営しているのはBGたちでもおかしくない。
　創元ミステリ・フロンティアとハヤカワSFシリーズって、背表紙の雰囲気似てない？　青っぽくて。私はパッと見よく間違えます。フロンティアとミステリ・マスターズが好き。全然読んでないけど、ソフトカバーの本もハードカバーに負けず劣らず魅力的。表紙素敵だし！

 　親友が男性化してすぐに「私を一番に抱いてね」なんて言えるか！？　友達の喘ぐ様を見るのか！？　そこが一番ひっかかった。無理だろう。あの世界ではありなのかもしれないけど、読者は置いてけぼりですよ。親友だよ。想像すると気持ち悪いな。